第八話――閃光のパリ
カレー上陸作戦は膨大な犠牲を出しつつも、一応の成功を見た。
一時は本土失陥を経験した英国と、対ソ戦で莫大な犠牲を被った大日本帝国は、確かに反撃へと転じようとしていた。
フランス各地で
パリに迫った時、日英両軍は枢軸軍の地上部隊の抵抗が弱まったことに戸惑いを覚えた。
一方、枢軸軍はこれまで温存されていた戦闘機を一挙に投入してきた。
航空優勢を許したせいで混乱する日英両軍の上空に、ドルニエ417爆撃機を含む戦爆連合が殺到。
ドイツ軍の投下した多くの爆弾の中に、これまでの爆弾の威力を大きく超える新型爆弾が混じっていた。
閃光と衝撃波、目に見えぬ破壊が地表を灼いた。
パリ市内に突入しようとしていた日英連合軍の地上部隊は、一瞬にして壊滅的な損害を被った。
「あれが反応兵器なら、アメリカ人はやりやがったってことだ!」
この大戦でようやく独立を果たした帝国空軍が誇る最新鋭
アメリカが莫大な金や芸術品と引き換えに、共産主義者のドイツに反応兵器の機密情報を横流しした――そんな噂がささやかれていたからだ。
それが真実であるか、パイロットに過ぎない彼に判断する術は無いのだが。
反応兵器が炸裂しても、空の上に影響はさほどないらしい。
乾いた喉を意識しながらも、酸素供給瓶からの空気を吸い込み、ドイツ赤衛空軍のレルネ・ザイドリッツ中尉は、獰猛な笑みを浮かべる。
こちらへ向けて戦闘機動に移りつつある日本軍の戦闘機編隊を、神の使徒のごとく睥睨する。
「やってみせろよ、
彼はそう言うと、撃墜マークを見せつけるように、メッサーシュミット航空公社の製品である、Me262戦闘機を加速させる。
僚機がそれに続く。
「くそっ、ドイツ軍もジェットだと!だが、何とでもなるはずだ!」
稲架少尉はすさまじいGに曝されながらも、追いすがるドイツ軍戦闘機をにらみつけた。
#100文字の架空戦記
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