第14話
放課後千紗が、俺を捕まえて勉強会を開くことを強要してきた。
俺は教室でやろうと席に着いたのだが、「教室じゃ集中出来ない」などと言って、家ですることを求めて折れる気がなかったので俺が折れて今はこうなっている。
「こ、こんなの分かるわけないよー」
そう言って数学のワークに顔を埋める千紗。エアコンの効いた涼しい部屋で行う勉強でも彼女の元気のなさは変わらなかった。
「お茶も出せないのかね?この家は」
「俺に出せと言っているのか?もうおしえないぞ?」
「いいんだ?きょーすけの家の色んなとこ探しちゃお。いいもの見つかるかもしれないし?」
「よし、俺がだそう」
そう言って席を立つ。1回にキッチンがあるのでそこまで取りに行かなければならない。少々面倒だが、俺の家で自由に行動されるよりかは幾分かましである。
俺がオレンジジュースを入れて自分の部屋に帰って来た時には俺の部屋は荒らされていた。
「これはなんですか?へーこういう女の子が好きなんですか?」
そこには巨乳の水着の女の人がセクシーなポーズをとっている本があった。それがどういう本なのかは察して欲しい。
「そ、それはおれのじゃないんだ。俺のでは無い……」
「でもきょーすけ友達いないよね?こういうの見せてくれる友達も」
「それは事実だが……。それは俺のお母さんが高校生っていろいろとたまるでしょ?っていってお土産として持って帰ってきてだな?」
事実である。うちの母親は変わっている。こういうことがほんとにあるのだが……。
「別に怒ってはないんですよ?逆に安心しました。あなたも獣なんだなと……。でもやっぱり大きい方が好きなんですね……」
「別に大きければいいということでは無い。引き締まった体から……、ってそういうことではなくて勉強するぞ」
「わたしはまだせいちょーき」
そう言って机に戻った。高校生になって成長期は女の子には来るのだろうか?そんな心配こそしたが、勉強に関しては一切心配していない。なぜなら俺が付きっきりで教えてやるからだ。
◆◆
それから俺たちは長い時間勉強をした。1度始めると結構することができるのだ。
千紗がペンを置いて窓の外を見てこういった。
「もう暗くなってる……。今から帰ったら変な人に襲われる。今日は泊まっていく」
「それは多分ダメだな?俺自体が変な人かもしれないぞ?襲ってちゃうかも?」
「童貞は黙ってて。今日は泊まるの。こうなったのは鬼のように勉強させたきょーすけのせい」
ぐぅのねも出ない。やれやれとは言ったがここまで長いことするとは思っていなかった。俺も捗ってしまって時間の経過には気づかなかった。
時計を見ると深夜1時を回っていた。今日は家に誰もいないし、とめてもいいのだが、それはいいのだろうか?捕まったりしないだろうか?
「私、今家に帰っても暑い部屋で過ごさなきゃいけない。もう眠たい」
「ただ寝るだけだからな?」
「きょーすけ、変な期待してるの?」
「してない!」
そんなことを言いながら千紗はお風呂へと足を進めていった。俺は頭をフル回転で考えていた。俺の部屋にはベッドがひとつしかない。
親の部屋から持ってくると済む話なのだが、いいのだろうか?
千紗は性格をなしにすると美少女だし、何より女の子である。同じベッドで寝てみたいというのは男子高校生としては仕方ないことだろう。
「はぁ、はぁ」
俺は一人、自分の煩悩と戦っていた。かなりの強敵だったが俺は引き分けで手を打った。
ベッドの横に布団をしいて置いた。千紗にはベットで寝てもらって俺は布団で寝よう。妥協案だった。
「きょーすけ、着替えがないぃ」
「ん???」
「持ってきて」
俺の煩悩が強敵と化した。
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