転生してきた僕は強すぎて追放されたので、地元魔術師に鍛えなおされてみる

遠野麻子

追い出されてしまったのです

 どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!




 激しい轟音が周囲を覆った。ここはプルテラの遺跡。依頼された(と思われる)魔物退治に僕はここにいる。

 ともにいるのは最近仲間となった(と思われる)人物たち。リーダーのレイルは剣術を使う、いわゆる剣術士だ。


「あ~ぁ、またかよ~」


 レイルが苛立ち紛れにそう言った。僕はこの世界・パドマルにおいて魔術師という立場となっている。実を言うと僕がここにいるのは「偶然」。その一言にすぎる。

 僕はただ、家でゲームをしていただけなんだ。あるオンラインゲームを眠気もこらえて三日三晩。ふっと意識を失った時、この世界にいた。


 始めは目を疑った。頭がどうにかなったのかと思ったんだ。この遺跡の様相は僕がプレイしていたゲームの世界、そのままだったからだ。気がつけばレイルと共にいて、

 「どうしたんだ、大丈夫か」

 そう声をかけられて今に至る。

 なにがなにやらわからないまま、遺跡の奥深くにいるモンスターを倒したのが現在。


 ここに至るまで、僕は僕なりにゲームの世界を思い出しながら戦ってきた。しかし、僕はあのゲームの中では「廃人プレイヤー」と呼ばれていた。当然ながら各種魔法は鍛えに鍛え、雑魚程度なら簡単に倒せる。


 どうやら僕はレイルとはレベルが違うようだ。彼らは僕にしては雑魚相手に苦戦する。だからこそ僕は魔法を放つ。

 しかし、それがどうやら威力がすぎるらしい。他の「仲間」の名はなんだったろうか。それすら曖昧なまま、僕はここにいる。


 ときには壁を崩してしまうこともあり、レイルは呆れていた。そしてここ、遺跡の最奥。僕が放った魔法は的確に標的に当たったようだが、その死を確認することができなかった。


「マモル、お前が強いのは分かった。 でも、依頼が達成できたかどうか分からなければ仕事にならないんだ」

 レイルはそう言った。「マモル」というのは僕がゲームで使っていた名前であるかくして僕はレイルとたもとを分かつことになった。


 さて、これからどうするべきか。レイルが渡してくれた紙片に書かれた「月の塔」を訪ねるためにパドマルの都市のひとつ、シュオンに向けて歩みを進めた。。

 とにもかくにも明日の食事はどうするべきか。様々な想いが胸を去来した。

 そうして僕の冒険は始まったんだ。

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