110話 辻斬りと激突
「うらめしやー!!!! ぶふふっ! ご主人様、楽しいですよ!」
青白い火を揺らしながら驚かして回っている。子供かよ。
「早く返して」
「仕方ないですねー。楽しみを独り占めするのもよくありませんしね」
別に俺は驚かさないぞ。普通につけたいからつけるだけだ。
「それにしても、ご主人様」
「ん?」
「何で辻斬りしてるんですか?」
「混乱を起こすにはこれが早いから」
「驚かすより酷いですね」
「行くよ」
「はい」
それにしても人混みのせいで中々進めていない。一掃した方が早いか。
「【怨毒】」
辻斬りしていたキャシーちゃんのナイフのスキルを使って範囲いっぱいに発動。バタバタと倒れていく群衆。祭りの楽しい光景が、地獄かといった酷い光景に様変わり。
「行くよ」
「ご主人様こわ」
駆けていく、立派な天守閣目掛けてひたすら走る。
「【竜拳】!」
「っ! 【鬼拳】!」
横から人影が飛び出して殴りかかってきたが、マツの拳が相手の拳とぶつかり合い、火花を散らす。
「お前らがあの惨状をつくったのか!」
頭の横から羊のような角が生えている男、所々鱗のようなゴツゴツした所がある。
「ご主人様、これは私がやります」
「大丈夫?」
「弟を躾けるのも姉の役目です」
「そっか……え?」
うそーん、凄い偶然じゃん。
「姉ちゃん!?」
「誰に楯突いてるのか身をもって教えてあげる!」
「ちゃんと終わったら仲直りしなよー」
それだけ言い残して進む。俺があの弟だったら発狂してるね。自分の姉が変な恰好の男をご主人様呼びしてるとか耐えきれない。
ちょっと申し訳なさを抱きながらも走る。捕まえようとしてくる国家の犬も切り裂きながら進む。今更ながら坂本さんの好感度が下がりそうだな。船乗せてくれるよな?
よし、幕府軍のせいにしよう。歴史とは罪の
「くたばれ、外道!」
「おっと」
飛びかかって剣で斬りかかってきたのでナイフで受け流す。ナイフだと刀身が短くて受け流しづらいな。憑依のスキルは使えないが、布都御魂でいこう。ストレージから布都御魂を取り出して抜刀。構える。あっ。
「黒い外套、漸く見つけた」
勇者ちゃんか。着物姿もさまになっている。お仲間もどこかにいるんかな。
「ハクちゃん! 一人で行かないでよ」
「ごめん、他は?」
「皆で軍のお手伝いに」
「分かった。私たちでこいつを倒すよ」
「うん!」
名前は忘れたが、確か聖女の人だったか。金髪ウェーブの人。他ということはあのヨザクラとかいう侍も誰かと戦うことになるのか。心配だ。
「どいてくれればボクは何もしないよ?」
「そんなわけない! 後ろの人達は忘れたの?」
おっと説得力皆無だったか。
「とりあえず君たちも死んでもらうよ」
「何故そんなに軽々しく人を殺せる?」
何故か……なんでだろうか? 今まで疑問に思わなかった。タガが外れてる? どうして――
「死を薄めるには死が一番簡単だから、かな」
たぶん、これが一番正解に近い俺の本心だろう。
「どういう……」
「急いでるからこれ以上話すつもりはないよ、【深化】全身15%」
『【深化】出力:15%を確認』『レベルが強制的に上がりました』『レベルが強制的に上がりました』『レベルが強制的に上がりました』『レベルが強制的に上がりました』『レベルが強制的に上が………………
「【スラッシュ】」
「ぐっ!?」
剣で防がれたが、吹き飛ばせた。先に聖女さんから倒そう。
「はっ!」
「聖なる槍よ、〖ホーリーランス〗」
「うおっ」
攻撃の魔法もあるのか。厄介だな。少し距離をとってしまった。
「【飛斬】」
斬撃が飛んでくる。速度も攻撃範囲も団長さんの飛影斬とかいうやつよりかは劣っている。軽く避けて再び聖女さんに接近。
「【スリップ】」
「きゃ!?」
転ばせたところを上から叩き斬る。
「や!」
「やるねー」
まさかの杖で軌道を逸らされた。
「【グランドスラッシュ】」
「【バックステップ】」
横から斬りかかってきたから後ろに避ける。流石勇者たち、一筋縄では倒せないな。ちょっとゴリ押ししよう。
「〖chaotic arms〗〖chaotic arms〗〖chaotic arms〗〖chaotic arms〗」
最大14発打てる内の5発。合計50本の腕を二人の周囲に展開させる。
「【限界突破】【限界突破】【限界突破】【乾坤一擲】【勇猛果敢】【聖剣覚醒】」
「
赤、黄、青、金、幻想的な光の奔流が聖剣と勇者から
「【飛翔】」
高く飛びすぎて的にならないように低空飛行で調整。偶には黒幕っぽいことを言おうか。折角勇者と戦えるんだし。
「希望を――」
「絶望を――」
勇者ちゃんと被った。向こうは素っぽいな。
まあ、いいや。
「「――打ち砕く」」
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