88話 海鮮丼と昨日のこと

 


 模試のせいでログインできなかったが、今日はもちろん予定無いのでぶっ続けでやる。


 サービス開始から13日目。第二回イベントは15日目にあるようだ。運営からメッセージが来ていた。今回は早めに教えてくれたな。…… 前回もこんなもんだったか?



「……おはよ」


「おはよー」


 ネアと遭遇した。昨日のこと聞かなきゃ。



「昨日用事かあって入れなかったけど、何かあった?」


「…………私も来れてない」


 ネアもかー。困った困った。



「げっ」


「おはよー」「……げ?」


「いえ、おはようございます!」



 アホの片割れ、シロが登場。相変わらずネアに弱い模様。



「昨日何かあった?」


「えっと、昨日は三本皇国の革命軍とやらとの会談をしていたわ」



 革命軍は味方なんだっけ。



 外からいい匂いがする。この匂いは……

「海鮮丼。しかも醤油の匂いまでする」


「……犬?」


 生憎あいにく人間じゃい。……やっぱり人間ではないのかもしれない。俺の種族、よく分からんし。




「さぁ、食え食え! おかわりはたんまりあるからのー!」


 エプロンを着たちょんまげ頭の男が大きな魚を捌いてる。朝メシやー!



「ボクにも一つ」


「あいよ!」



 海鮮丼を受け取って適当に空いた席に座る。駐屯地なのにちゃんと机と椅子があるのはホントにすごいと思う。



「いただきます」


「……いただきます」


「あれ? もっと戸惑わない? 私がおかしいの?」


 お前はずっとおかしい。



「美味しいな。海の匂いがするほど新鮮な魚、日本のよりかは若干硬い米、どれもこのゲームでは味わったことの無い味だね」


「……美味しい」





「ごちそうさまでした」


「……ごちそうさま」



 現実でも海鮮丼食べたい気分になってきたな。



「おはようございます。ご紹介したい方がいるのですが、よろしいでしょうか?」


「お願いするよ」









「よぉ! おんしが北に行きてぇってやつか」


「どうも、クロだよ」


「おいは坂本竜馬りゅうまじゃ!」



 あんた、さっき海鮮丼盛り付けてたやつじゃねぇか。



「……ネア」



「昨日は顔合わせと情報交換を行いました」



 ソルさん有能すぎ。メガネをクイってする秘書とか似合いそう。


「異界人が竜陣営と幕府陣営にいるとのことです」



 へぇー、なら敵対するプレイヤーがいるのか。別に関係ないけど。


「それだけ?」


「いえ、幕府についたのが聖剣らしき物を使っているらしく、勇者ではないかと」


 勇者ハクさんたちか。そういえば聖王国の件すっかり忘れてたな。サキュバスさん生きてるかな?


「勇者はボクが相手をしよう」


「そうですか。実は竜についた人間も強いらしく……」


「……私がやる」


「分かりました。そのように作戦に組み込んでおきます。その前に、少し下準備が必要なのですがお手伝い願えますか?」


「うん」「ん」


「あれ? 私は?」


「適当に戦ってください」


 おったんか。


「クロとネアはおいに着いてきんさい」


 ソルさんも頷いてる。坂本竜馬と下準備をするようだ。

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