85話 複雑な国際情勢と駐屯地
「次に、三本皇国周りの国際情勢ですが、こちらは少し複雑でして、口頭だと混乱するかと思います」
いけるいける。こちとら受験生ぞ(?)
「大丈夫だよ」
「……私も聞く」
ネアが起きて混ざってきた。俺だけで十分だけど、まぁ、同じクランだし、しゃあないなー。
「分かりました。説明させていただきます」
「うん」「ん」
前フリ凄いな。
――スゥゥゥゥ
めっちゃ息吸うやん。そんな喋るん?
「まず、三本皇国の幕府軍というのがわたくし達の国、ピオニエ魔王国が魔大陸海岸で戦争中です。三本列島には現在三つの勢力があります。幕府軍と革命軍と鬼です。更にパライソ大陸の竜も混ざっています」
ほぇ?
「幕府軍は魔王軍と革命軍と鬼と竜を、革命軍は幕府軍を、鬼は魔王軍と幕府軍と革命軍と竜を、竜は幕府軍と鬼を、魔王軍は幕府軍と竜を、倒そうとしています」
?????????
「戦況は幕府軍は革命軍以外に押されていまして、鬼は竜に押されていまして、魔王軍は竜と鬼に押されていています」
ダメだ。さっぱりわからん。
「……魔王軍は鬼と……戦ってる?」
「そうです。魔王軍側は鬼との共存を望んでいるのですが、鬼は排他的でして」
理解出来たんか!?
「……革命軍組んでるの……竜?……魔王軍?」
「表立ってはどことも組んでいません。少しずつ歩み寄っているようです」
「……魔王軍は何故……竜と敵対?」
「理由は様々です。昔話、言い伝え、種族的な嫌悪感、強大な力を恐れて……」
「…………そう」
着いていけませーん。ネアって意外と頭良いのかな?
「ネア、つまりどういうこと?」
こういう時は素直に聞いといた方が後で面倒事にならないって相場が決まってんのよ!
「……幕府軍、敵……革命軍、平和……魔王軍、味方……鬼、場合による……竜、ノンタッチ」
ネアの中では過去一喋ったのでは?
でも何となく掴めた気がする。要するに魔王軍と革命軍と組んで幕府軍を倒して他は無視ってことだな。任せとけ!
「オッケー、完璧だよ」
「………………そう?」
「そうだよ」
バレてーら。
「見えてきました」
「ほんとだ」
「あちらの駐屯地に今日は宿泊しましょう」
「そうしよう」「……ん」
もう丸投げした方が楽やろ。
「「オロロロロロ」」
吐いてる二人は置いといて、世界が滅びるかもしれない事態が起きている。
「とってもお似合いですよ」
「……そう」
あのマツがネアにぬいぐるみをあげたのだ。さっきずっと縫ってたのはそれだったのか。これを機に仲良くして欲しいなー。
「ふっ、童顔ですし本当に良く似合っていますよ」
「……チッ」
違ったわ。煽りまくってるわ。ネアも思わず舌打ちしちゃってるわー。
「殿下! 空の旅、お疲れ様です!」
「お出迎えご苦労様です」
「いえ! あの……実は現在怪しい人間を捕まえているのですが、なんと言いますか、扱いづらくて困っています。どう対処しましょう?」
捕虜の扱いぐらいちゃんと教育しとけよ。全く……魔王軍の軍事力はあんまりなんじゃない?
「扱いづらいですか? 会ってみます。連れてきてください」
ソルさん、部下にも敬語なのか。癖なのかそういう教育を受けたのか。どちらにしても、清楚な感じが凄いな。
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