69話 スフィンクスと鳴き声?


 スフィンクス、それはギリシア神話に登場する生物。ピラミッドの横にいる、胸から下がライオンで上が女性の怪物だ。



「倒し方は有名だと思うけど?」


「……弱らせて捕まえたい」


「1人で出来ないの?」


「……スフィンクスじゃなくなる」



 ???? どゆこと?



「……手伝って」


「まぁ、そのつもりだけどな」


「そう……」


「でも、スフィンクスが出してくるなぞなぞの答えぐらい調べれば出てくるんじゃないか?」


「答えると死ぬ」



 そういえば、そんな話だったな。谷に身投げだっけか。


 西に飛んでいるが、そろそろかな?




「着いた」


「え、えーと、この鳥の群れは?」


「……ペット?」


「知らんがな」



 乗っている鳥より若干小さい鳥が……ざっと20は超えている。鳥の女王とかのスキルでも持ってるんか?



「……スフィンクス」


「おー、生きてるスフィンクスってあんな感じなのかー」



 〈朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足で歩く生き物は何か〉



 出た。小学校の時に一瞬流行ったよな。答えはもちろん……


「答えないで……」


「あっ、はい」


「……弱らせて」


「おまかせあれ!」



 俺が下っ端ぽい気もするが、怒った女性はこわいんだ。昨日それで竜をボコした人を間近で見たからな、身に染みてんだ。


「とりま〖chaotic arms〗」


 スフィンクスの背中側から腕を出し、叩きつける。


 〈朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足で歩く生き物は何か〉

 


 鳴き声がこれなんか!? ホラーでしかない。


「【スリップ】」


 ズドンッ



 さすが大先生。重そうなスフィンクスも楽々ひっくり返せた。


「〖chaotic hands〗」


 ひっくり返ったのでお腹から顎にかけて手の平で引っぱたく。スフィンクスがビクビクしだした。


「……」


 ネアが近づいて来てスフィンクスの眼前で立ち止まる。



「……できた」



 スキルじゃないのか? 声に出さないならパッシブか? 聞きたいし、戦力的な面でお互い共有した方がいいかもしれない。聞くか?



「なあ、どうやって仲間にしたんだ?」


「……内緒」



 内緒ならしゃあないかー。好感度を上げてから出直しまーす。



「にしてもあれぐらいなら倒せたんじゃないか?」


「……魔法の効き……悪い」



 さっきバリバリ魔術で弱らせたんだが? あれは物理扱いですか、そうですか。



「これからどうしようか?」


「……向こうの国?」


「そうするかー」



 自称妹の助言通りなのは気に食わんが、わざわざ東に戻るのもめんどくさいし、王国も帝国もトップが代わって大変そうだから北か西だけど、一番近いのは北だ。北しかない。



「着いたら俺、来た・・ーって言うんだ……」


「………………寒い」


「すんません」



 きっと標高が高いせいだ。俺は悪くない。今のはオリジナルだし。


「……行く」


 そう言うとネアはスフィンクスの背中に乗った。


「え? それで行くん?」


「ん」


 えーー、めっちゃワイルドじゃん。


 〈朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足で歩く生き物は何か〉



 いや、結局お前、それが鳴き声なんか?



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