55話 雑な殲滅と【支配】?
いつまでも眺めているわけにもいかないのでアクションを起こさねば。
「火よ波打て、〖ファイヤウェーブ〗」
「……風よ波打て〖ウィンドウェーブ〗」
合体技だと!? 火の波と風の波が同時に変な2人組に当た……
「【絶魔】でやんす」
男がスキルで魔法を消した? ようだ。
「あら、また
「愚かでやんすねー」
なんか無性にムカつくんだが。
「餌になるのはどっちだろうね」
「……」
ネアも無言で頷く。
「ふん! 私はシロよ、この名前を胸に刻んで死になさい」
「あっしはリューゲでやんす」
「ボクはノワールだよ」
「ネア」
シロは大鎌を、リューゲは
「俺らを無視すんじゃねーよ!」
「そうだぜ!」
「悪カルマ値3位程度で調子に乗りやがって!」
ガヤガヤ
10、いや、20人程が俺ら4人の周りを囲っている。うっざいなー。
「ネア、さっきの木に戻っててくれるかな?」
「ん、【チェンジ】」
あれ? 何か言われると思ったのにあっさり従ったな。信用があると捉えていいのか?
「まあ、いいや」
木の上に居るのを確認して、
「【怨毒】」
対象指定はできるけど一応ネアには離れてもらったけど、ガッツリ範囲内に入ってるかもしれんな。
バタバタと倒れてポリゴンになっていく周りのヤツらを尻目に、さっきの2人の様子を見てみる。
『レベルが上がりました』『【火魔法】のレベルが上がりました』
「グッ、な……に、これ」
「グァッ……痛いでやんす……」
いやいや、リューゲとやらの方は絶対余裕あるだろ。
「トドメを刺しちゃうかな」
「お助け……なんでもするでやんすから……」
…………
「いいのかな? トドメを刺しちゃうよ?」
「あれ? あっしは無視でやんすか!?」
「……クソ」
「助けて欲しいかい?」
「はい!お願いするでやんす!」
「さっさと……助け……なさいよ……」
「丁寧に言ってくれないとやる気出ないなー」
「助けてくださいでやんす!」
「助けて……く、ください」
「おっけー、解除」
シロのだけ解除した。というか勇者の名前がハクだったせいでごっちゃになりそうだ。白の読みという共通点で。
「あれ? あっしは!?」
「で、私にどうしろって言うの?」
「ボクの配下になってもらおうかな」
「あのー、死にそうでやんすけど……あっ」
……うるさい三下は退出したようだ。静かになったな。
「【支配】」
「?」
なるほど、プレイヤーには【支配】が効かない可能性が出てきたか。これもまた一つの成果だと考えよう。
「フレンド登録は……もう少し信用できるようになったらしようかな」
「……なら……代わりに……する」
ネアがいつの間にか降りてきていたようだ。代わりにフレンド登録するってことかな? ネアは既にプレイヤーネームを明かしてたからかな。
「ん」
「え? あ、はい」
ネアに友達ができてお父さん嬉しいです。……もしかしたら他にいるのかもしれんけど。
「もしかしてあんた達カルマ値ランキングトップの匿名のやつら?」
「ランキングを明かすメリットが無いね、信用できないしね」
「……なんで……信用?」
ネアが自分のことを指して質問してきた。なんでネアは信用しているのかってことか、う〜ん……
「実は生き別れた妹で……」
「……」
「そうなの!? なんて悲しいのかしら!」
頭沸いてんじゃないか、こいつ。
「冗談だよ」
「はぁー? 私を騙したわね!」
「……うるさい」
「え、はい……」
どうやら既に上下関係が明確になりつつあるようだ。
「まぁ、色々理由はあるけど、1番は方向性が一緒でお互いが秘密を知っている状態だったからかなー」
「……そう」
何か期待するような目で見つめてくるネアだが、何を期待しているのか全くわからん。鈍感主人公ではないが、流石に3回しか会ってないやつのことを好きになるはずがないしな。お金は持ってないぞ!
「秘密の共有? そこから始まる恋!」
「……うるさい」
「あ、すいません」
この女やっぱり殺しておいた方が良かったんじゃね?
「信用云々は置いといて、君は何が出来る?」
「えーと、戦闘かしら」
戦闘しか能がないのかよ。
「ネア、この子強いと思う?」
「……まあまあ」
「根拠はあったりする?」
「……レベルランキング5位」
マジかよ。すぐ見えるっぽいし、確認してみようかね。
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