29話 食事の挨拶とパツキンのチャンニー

今日の昼飯はチャーハンにした。

 姉さんはまだゲームしてるっぽかったので温めて食べるようにメモを残して冷蔵庫に置いてきた。あの姉は冷たいまま食べようとするからな。ちゃんとして欲しい。



 それよりログインしたが、今度はこっちでお腹がすく感覚。さっき食べたばっかなのに不思議で頭おかしくなりそう。


 ベルを鳴らして使用人を呼ぶ。なかなかいい音が鳴った。さてはお前、お高いベルだな!

 いや、知らんけど。


「失礼します」


 ノックして声掛けてから入ってきた。素晴らしい。どこかの姉も見習ってほしいな。


「なにか御用でしょうか?」


「そろそろ昼食が食べたくなりまして」


「かしこまりました。食堂までご案内致します」


「お願いします」


 この感じだと既に準備されてるな?




「それにしてもここ、見かけによらず広いですね〜」


「はい、この屋敷は帝国独自の技術によって内部空間を拡張しております」


 へ〜、すげ〜(小並感)




「着きました。食堂でごさいます。私はこれで失礼します」


「どうも」



 今朝の王国貴族の食堂よりでかい。謎技術のおかげか中だけ。


「ずいぶん遅かったではないか?」


 え? コイツ、俺と一緒に食べるために待ってたの? 怪しい。



「まだ警戒されておるようじゃの。それより待っていてお腹が空いたのじゃ。さっさと食べるのじゃ!」


「はいはい、いただきます」


「む? それは異界人の食事の挨拶か?」


 あ、つい癖で。


「まあ、そうですね」



「なら妾もそれをしよう。いただきます」



「ちなみにここの食事の挨拶って何なんですか?」


「太陽の化身に、帝国に、万歳! じゃ」



 うわー、なんかすごい君主制っぽい。昔の日本もここまではしてなかっただろうに。



「太陽の化身と同列にしちゃっていろいろ大丈夫なんですかね?」



「太陽神を信仰してるやつが聞けば発狂ものじゃな。まあ、この国の者は誰も気にしとらんしいいのではないか? しかし、妾も、妾こそが最強だから妾に万歳すべきと思うんじゃがの〜」


 ちょっと後半何言ってるのかよく分からんかったが、この国のやつらがおかしいということは分かった。いただきますは安全だな。


 閑話休題。


「ところで、何か用があって待っていたのでは?」


「そういえば、そうじゃったな。実はとある男の手伝いをして欲しくての」


「どういった手伝いですか?」



「行けばわかるのじゃ。この後さっきの応接室で待っておれ」



「そうですか」


 革命のお手伝いだと、暗殺とかかな? 割とスキル構成的に合ってそうだ。



「ごちそうさまでした」



「食べ終わりの挨拶か。ごちそうさまでした」


 えらい。挨拶できる人は俺からの好感度高い。








 只今絶賛待たされ中。いつ来るんだろ。



「はぁ」


「既にお疲れのようじゃないか☆」


「もう10分は待たされてますからね」


 俺は7分以上待てないのだ!





 ……ん? 誰かいるな。うん。


「えーと、どちら様で?」


 振り返ると白いハットをかぶり、目だけ隠すタイプの貴族とかの仮面舞踏会とかで使われそうなマスクをつけた、パツキンのチャンニー金髪のにぃちゃんがいた。


 俺の175cmより大きく、190cmくらいと思われる。スラッとしていてマスクしてても雰囲気がイケメンだ。羨ましい。




「君がこの部屋に入った時からいたんだけどなかなか気づいてもらえなくってね☆」


 なんとなく語尾に星がついてる感じがするし、イケメンスマイルを振りまくキザなやつだな。てか、こんな奴がいたら普通入った時に気づくだろ。


「居たらさすがに気づきますよ」



「いや、もうかれこれここで1時間も待たされてたんだよ☆」



 まさかの向こうの方が待ってた!?


「じゃあ、なんで自分が気づけなかったんでしょうか?」


「まずは自己紹介してからの方が話が早いから、させてもらうよ☆ わたしは帝国で怪盗をやってるルーシャスだ☆ よろしくね☆」


 怪盗? なんでそんな奴が革命の助けになるんだ?



「えーと、自分はクロです」



「そうかそうか☆ これからわたしのことは師匠って呼ぶといいよ☆」


 は? なんでこいつの弟子にならなあかんねん。


「どういうことですか?」



「そのままだよ☆ そうするように言われたんだ☆ とりあえず、わたしに着いて仕事を覚えるんだ☆」


 語尾が一々うざくて内容が中々入ってこない。どこかの迷子ちゃんの方が様になっててよかったんだが。こいつのを聞くと胃もたれしそう。


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