9話 初の魔物戦と勧誘?



「お待たせしました」

「いえ、大丈夫です」


 勇者ちゃんたちが来た。後ろには兵もいる。調査隊とかかな?


「何があったのでしょう」

「分かりません。あの後ご飯食べてからここに来たら既にこうなってました」

「この様子だとまだ近くに居る可能性が高いですね」


 無難に答えよう。



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 勇者ちゃんたちと、兵隊さんたちは、大した情報が見つからなかったのか、周辺の探索に向かった。次の村に行ってもいいが、くれぐれも気をつけるようにと言われた。









 あれから、森林の中をかれこれ1時間ほど歩いてる。別に迷ったとかではない。ただ単に遠いだけだ。


「グルルル」


 ん? 熊の 魔物だ。そういえば、まだ魔物と戦ったことないな。やってみよう。危なくなったら逃げればいいし。


 ナイフじゃあのぶ厚そうな肉は切れないだろう。両手剣を抜く。熊は立ち上がって、威嚇してきた。


「ガルルルッ!」


 左手を振ってくる。しゃがみながら間合いを詰め、胴を斬りつける。


「ギャウ」



 怯んだところでしゃがんだまま体を左に向けて……


「【バックステップ】」


 振り下ろした腕の間を通って脱出。距離はそんなに離れない。


「【スリップ】」


 ツルッ


「【踏み込み】」



 転ばせて、後頭部を踏み、剣を突き刺して仕留めた。ナイスコンボ!


『レベルが上がりました』『【歩術】のレベルが上がりました』『【成長促進】のレベルが上がりました』







 相変わらず解体の仕方はわかんないから、関節で切ってストレージにぶち込む。

 スキルレベルが上がってた。確認するか。


「ステータスオープン」




 プレイヤーネーム:クロ

 種族:人間?

 レベル:17

 特性:変人・狂人

 HP:2890

 MP:340

 スキル:□□・隠密5・歩術5・成長促進3・スリップ・支配2





 スキル

【成長促進】ランク:レア レベル:3

 人一倍以上よく育つ。人の可能性を齎す。

 獲得経験値1.3倍



 スキル

【歩術】ランク:ノーマル レベル:5

 歩き上手になる。歩くことに補正が入る。

 アーツ:踏み込み・バックステップ・サイドステップ(New!)




 アーツ

【サイドステップ】

 横方向に高速で移動。

 範囲内(背中から使用者の身長×2)に任意の距離移動できる。

 CT:10 秒




 うん、妥当なアーツだ。間に横向く作業が無くなるから無駄ではないよな。


 このステータスって2日目現在どのくらいすごいんだろう? 今度掲示板覗いてみよう。












 更に1時間程経過。狼やらゴブリンやらを倒して進み、漸く村らしきものが見えてきた。




 柵の前に兵士がいる。

 一応さっきの村のことを伝えて、怪しまれないように通過しよう。流石に今日1人で落とすのはしんどい。


 このペースなら途中で木の上とかでログアウトして明日には王都にも着くだろう。




「こんにちは」

「ああ、旅人か?」

「えぇ、王都に向かう途中でして」

「そうか、この近くの村が何者かに襲われたそうだ。気をつけるように」


 あんまり話聞いてこなかったな。

 念の為ここでリスポーン地点を更新しておこう。





 石の前に到着。触れればいいんだよな?


 ――PIPI

『リスボーン地点が更新されました』


 簡単だな。早速王都に出発しよう。






 ? おかしい。まだ村の中なのに人がいない。



「こんにちは、異界人のお兄さん♪」


 焦げ茶色のショートカットのちっこい子が近づいてくる。


「迷子って訳じゃないですよね」

「素を出していいよ♪ 今日は勧誘に来たんだ」




 フードはとってるが外套を着てる時点で怪しさ満点だ。ついでに言うと、いつものは黒幕RPであって素ではないだが。



「どういうことかな?」

「お兄さんが王都の三大闇ギルドの1つの〘レフテスの楔〙を下したこと、聞いたんだ♪」


 あいつらそんな強そうな括りの1つなのか。てか、どこから聞いたんだ? 今日のことだぞ。


「それで? 暗殺でもしに来たのかい?」

「ちがうよ♪ どんな人か試しに来たの♪ 【突貫の針】♪」


「!?」


 ――カキンッ



 危なっ! ギリギリナイフで防げた。急に攻撃すんなよ。試すとか上からでムカつく。



「……へえ。やるね、お兄さん♪ ワタシの針は特別製なんだけどな? そのナイフ何?」

「どこぞのキャシーちゃんのナイフだよ」


「! あのキャシー!? すごいね♪ どこでそんなの手に入れたの?」



 え? キャシーちゃんマジで何者なんだ?



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