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「へぇ、その前から手ぇ出してたの?へぇ」


「やべっ、……でもでもぉ、和香も結構ノリノリだったからセーフじゃなぁい?」




緑の鋭い視線から逃げるように、そう私に同意を求めて来る佐藤。


今日も今日とてちゃらんぽらんな佐藤は、珍しく緑に向かって自爆していたようだ。




まぁ恋するとチンパンジー並みに知能が落ちるって某メンタリストも言っていた気がするもんなぁ……ということは私も今チンパンジー真っ最中か。




「ねぇ和香?付き合う前からノリノリだったの?」


「え?」




緑からの鋭い視線が私に刺さる。


佐藤なんて両手を組んで私にお願いするようにキラキラとした瞳を向けて来るし、鞠に至っては珍しく静かで、ちょっとずつちょっとずつ味わって未だにチョコレートケーキを堪能している。


鞠、そんなに気に入ったのね、一口含むごとに目を輝かせたりなんかして……。




それから、私は思い出す。


佐藤が私に……キス、してきたこと…………。




「ノリノリっていうか」


「うん」


「ぐいぐい――」


「和香今度限定マカロン詰め合わせ買ったげる!!!」


「ノリノリでした」




……はっ、気付いたら買収されていた。




「それより和香、新作抹茶パフェと濃厚抹茶フロートが出てた気がするんだけれど」


「まって、それは行きた過ぎる」


「みどりん和香誘惑しないでよぉぉぉ」




緑と佐藤の誘惑の中で揺れ動く私。

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