魔王軍、オレ。ダンジョンの中ボスに配属されたけどツラすぎて辞めたい

@OctoBer1993

第1話

「ハァ……」


大きくタメ息をついた。

なんか最近タメ息が多くなってきた気がする。



オレの名前は【バチュリアス】


この世界に破滅と混沌をもたらすために存在する恐怖の魔王軍。

その魔王軍に所属するモンスターだ。


――――――――――――――――――――

【バチュリアス】


人間と同様に二本の足を持ち、二足歩行で歩く人型モンスター。

バチュリアスの人間との大きな違いは、その腕の数である。

6つもの腕を持ち、その6つの腕から繰り出される石をも砕く強烈なパンチの連打で相手を打ちのめし、剣を持たせれば目にも止まらぬ高速の剣技をお見舞いする。

――――――――――――――――――――


若い頃から野良のモンスターとしてヤンチャしていたオレは、ある時、魔王のカリスマ性に惹き付けられて、自ら志願して憧れの魔王軍に入った。


…のだが、最近どうも魔王軍に入ったことを後悔し出している。

というのも、それは今の配属先に問題があるのだ。


そう、『ダンジョンの中ボス』という役職に。


半年前、オレはダンジョンの中ボスの役職を与えられた。

魔王軍に入ってすぐの下っ端の頃。

当時は無鉄砲で向こう見ずなイケイケな若僧だったオレは、魔王討伐を夢みる冒険者たちを相手にバリバリ戦い、何組もの冒険者たちの魔王討伐という夢を打ち砕いてきた。


その働きが上に認められて、苦節7年、晴れてダンジョンの中ボスという出世街道にどうにか乗れたのだ。

当時はメチャクチャよろこんだものだが…。



だが……。


このダンジョンの中ボスが――。




想像していたよりも、はるかにキツかった…。

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