VERMIRION~紫紺の乙女と炎の舞~

@caramel298

第1話

ダッダッダッ俺は階段を小刻みよく降りていた

目に染みるほどの夕焼けが校舎を染めて一緒に足音を響かせる

階段を降り切って中庭につくと黒く長い髪の女の子バスケットコートにポツンと立っていた。

「___おまたせっ」

「・・・遅かったね、鮎真くん。用事って何?」

「うんっ!俺たち付き合わない?」


キーンコーンカーンコーン


夕日に染まった中庭にチャイムがむなしく響いた

あれ?どうして目の前の女の子は何も言わないんだろう?

「ごめん鮎真くん、私君についていけない。」

そう一言残して彼女は中庭から姿を消した

「あーぁこれで三人目かぁ」


長年住み慣れた米国を出て本当に好きになれる女性を見つけたいと日本の学校に編入してきたけど、この子だと思った子には声をかけたけど尽く相手にされず。

今日みたいに待ち合わせにつきあってくれた子には先に帰られた。

彼女の後ろ姿見えなくなった中庭から夕焼けを見上げた。

空にはとてつもなく高いビルが一つだけ空を突き刺している

「なんだあれ・・・」

その光景は小さい時には見覚えまったくない違和感を感じる風景であったが

「まっいっか」

と気にも止めず俺は校門に向かって歩き出した。

今日のことは忘れてまた明日も頑張って女の子に声をかけて見よう、と校門から出た時だった。


グニャリ・・・


視界がぼやけた


そして起こる身体中に走るキシキシと鳴る痛み


ちゃんと視界を元に戻そうと脳みそに訴えかけても俺の意思と反して目の前はゆがんだまま


俺はその場で倒れた

もう校舎には生徒たちが全員下校したのか誰も校門には通らず先生すら来ない。

おまけに声すらも上げさせてくれない俺の身体はキシキシと痛んだまま

気づけば瞼が涙で濡れていた。

(これが死ぬって事なのか・・・?なんで、どうして、いやだ・・・)

体内で思考だけが空回りする。

だけどその思考それすらも恐怖を感じて、眠りにつきたいと願い目を閉じた。


「起きて!!」

まるで鳴りっぱなしの目覚まし時計を直接顔面にたたきつけられた様な怒鳴りつける女の声が俺の瞼を閉じさせてくれなかった。

「いい!?絶対に寝ちゃダメだよ!!」

いきなりダメと言われても・・身体中痛いんだよ、苦しいんだよ、そっとしてくれよ・・

今のこの俺に無茶な注文をする大人びた女の声の姿を見ようとも視界はぼんやりと人らしき姿しか映してくれない。

「ひどい状態・・・こんなの見たことない、何これ?きっかけは何・・・」

と聴覚だけはぶつぶつと独り言らしき彼女の言葉を聞き取っていた。


おい、ちょっと待てよ

何他所の人のシャツのボタン外してんの?

視界は見えなくても女の声が明らかに俺のジャケットを脱がそうとしてるのは感触でわかった。俺の胸に女の指先が肌にふれるたび気のせいなのかキシキシと痛む身体が楽になってく気がした。

と楽になっていくかと思えば

コツンッ

と俺の額に彼女の額がぶつかった

え?びっくりしてると急に頭の中に目の奥に自分の胸に

深くインディゴブルーの色が目の前に現れて自分の体内に染みわたる感覚がした


気が付くと俺は初めて声の主の姿を見ていた


美人。メガネをかけた大人びた顔、毛先がうめりぎみのルーズにまとあげて決して下品じゃなく上品な髪の毛。ノースリーブからのびた白い二の腕。

俺より年上らしき女性は俺に問いかけた

「よかった、君の名前はなんていうの?」

「・・・・鮎真波斗

ためらいもなく俺は彼女に自分の名前をつげた

あたし紫瑠子君が助かって本当によかった」

彼女は心底安心した朝日のような優しい笑顔で俺に微笑みをくれた。


初めて探していたものが見つかった気がした。



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