第41話

「冒険者ギルドの誠意はそれなりに伝わった。1週間で頑張って調査したみたいだし」


正直やりたくなかってけど、キュアノス島に人を連れてきて1週間程経ってから冒険者ギルドでやらかしたのは誰なのか。詳しい話を聞くためにリンファス王都の冒険者ギルドに訪ねていた。


「まぁ、誠意も伝わったし。冒険者ギルドをキュアノス島に連れていくのはいいけど。グラトニーの襲撃が解決してからだな」


グラトニーの襲撃が再開するかまで1週間きってるしな。

それ以外のことに構っている暇は無くなるから仕方ない。

次から襲撃はグラトニーもそれなりに本腰を入れて来るはずだ。

冒険者だって戦力だし、俺に構っている暇なんて無いだろう。


それに、すぐにキュアノス島に連れていくとまた調子乗るかもしれないし。


「連れていくのは、前回話し合って決めた人間だけだからね。それと…次はこれじゃすまないからね」


少し威圧してギルドマスターの執務室を後にする。


「それにしても完全にトカゲの尻尾切りだよな〜」


俺を納得させるために色々と資料を用意してあったって、その資料的には今回を件を引き起こした張本人に処罰を与えた様に見えるけど…。


「こっちには風の精霊もいるんだ。お前らの会話はバッチリ把握してるんだよ。そもそもこっちが調査をしてないとでも思ってるのかね?」


グチグチ独り言を喋りながら王都を歩く。

問題を起こした組織だけに調査を任せるわけが無い。風の精霊王リースさんを始め、風の精霊達に調査のお願いをしてあった。

風の精霊なら風と同化して空気がある場所ならどこにでも入り込めるからね。誰が黒幕なのかバッチリ調査済み。

今回の件、さっきの報告書に書かれてなかった冒険者ギルドの総本部の上層部がめっちゃ関わってるのわかってるからな?

今回の件以外にも色々汚職をしている証拠も手に入れてある。

グラトニーの襲撃が片付き次第。冒険者ギルドの風通しを良くしてやる。

キュアノス島に冒険者ギルドを誘致する前にな。


「あっ。こないだチュロスを売っていた日本人っぽい人達。今日はポップコーン売ってんのか」


前回と同じキッチンカーでポップコーンを売っている男女を見つけた。

折角だし、ポップコーン買っていこうか。

ポップコーンは塩味、キャラメル味の2種類。


「そのふたつなら塩味かな。店員さん塩味のポップコーン1つ」


容器をだしてそこに入れてもらう。


「ありがとう。これ代金ね」


店員さんにポップコーンの代金を渡す。


「丁度ですね。ありがとうございます。それと…もしかして日本人じゃないですか?」


あっちから聞いてきてくれたか。こっちから聞く手間が省けた。


「そうだよ元日本人。あなた達もそうでしょ?ハジメくんと一緒に召喚された口?」


「ハジメのことを知ってるんですね。そうです。同じクラスの何人かがまとめて召喚されてこの世界に来ました。戦いに向いているスキルは持っていなかったし、力を手に入れた途端性格が豹変したクラスメイトが多すぎて危なかったので。こうやって街で屋台をしながら暮らしてます」


フェムトにちらっと聞いた話だとほとんどクハジメくんと一緒に転移して来たラスメイトはやらかしてほとんど残っていないはず。


「成程、それにしても。キッチンカーもそうだけど。チュロスの時もそうだけど。色んな食材持ってそうだね?」


「想像はついてると思いますが貰ったチートスキルがネット通販的なあれなんです」


良いなそのスキル。代価があればこの世界で地球産の物を色々買えるやつだよね。

地球に帰れないわけでは無いから絶対欲しいって感じじゃないけど、もしそうじゃなかったら死ぬほど欲しがっただろうなそう言うスキル。


「良いねそのスキル。車も買えちゃったりするの?」


「結構高かったですけど。おかげで移動は凄い快適です。同業者とか商人から凄い探りを入れられますけど」


そりゃ、見たことも無い乗り物に乗ってたら気になるだろう。


「やっぱり通販スキルってチートだね。君たちはこれからどうするつもりなの?」


「ハジメが開発しているって言う辺境の町に行こうかなと。俺たち2人だけじゃなくて冒険者をしているクラスメイトが2人居るんですけど。あそこならダンジョンもあるらしいから冒険者の仕事も多そうですし」


成程。まだ発展中だけど、あの町は暮らすには結構良いところだと思う。

そう言えばジンギスカンのお店をしてくれる人を探してるって言ってたな。

美味しい羊肉料理を売ってる屋台のおっちゃんを勧誘してたらしいけど。どうなったのかな?

ダメだったらこの2人を雇えばいいんじゃないか?


「今もそうかは分からないけど。ハジメくんジンギスカンのお店をしてくれる人探してたよ?」


「本当ですか!でも、元クラスメイトってだけで会ってくれますかね?」


「まぁ大丈夫でしょう?なんだったら紹介状渡しておこうか」


もし、元クラスメイトってだけで会えなくても俺の紹介状があれば会うことだけは出来るだろう。

なんでここまでしてあげるのか自分でも分からないけど。

そういった気分ってことだろう。

ハジメくんなら元クラスメイトってだけであってくれると思うしね。



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読んでいただきありがとうございます。

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