第17話

「それじゃ、麦チョコを実食して貰おう。まずはスタンダードなやつね」


口で説明されるより、実際食べる方が分かりやすいし。麦チョコを早く食べてみたいので

フェムトから麦チョコを受け取る。

見た目はほんとに麦の種子がチョコになってるな。ただ、種子のサイズはポン菓子にしたときと同じぐらいのサイズになってる。

普通の小麦の種子サイズだったら小さすぎるからサイズを大きくしようと考えるのは当然かなって思う。


「普通のチョコだね」

チョコなのはわかってたけど。麦チョコと同じ食感何かな?って思っていたけど、チョコだった。


「甘さと苦さのバランスが丁度いい感じですね。魔力を吸収すると甘さが増えると言っていたのでもっと甘いのかと思ってました」


確かに、精霊、幻獣種がいるキュアノス島は

人間界ではトップレベルの魔力の濃さだし、そう考えればそれなりに甘くなりそうだけど。


「ただ、甘いだけよりこっちの方が美味しいでしょ?甘さの上限は決めてあるんだよ」


チョコが甘すぎるの得意じゃないし、甘さの上限が決めてあるのいいと思います。


「すごく甘いチョコを食べながら、渋めのお茶を飲むのも僕は好きだけどね」


俺は渋いお茶に合わせるなら餡子を使ったお菓子が良いかな。


「まぁ、次の麦チョコに行こう。水、地の精霊石に光の精霊石を使った麦チョコね」


フェムトに渡された光の精霊石を育てるのに使った麦チョコは白色をしていた。

ホワイトチョコになるらしい。


「当たり前だけど。さっきの麦チョコより甘いね。苦味も全くないし」


沢山は要らないけど、偶に少量食べたくなる味。


「ドンドン次に行こう。これは闇の精霊石を使った麦チョコ」


スタンダードな麦チョコに比べて色の濃さが明らかに上がっている。

光の精霊石を使った麦チョコがホワイトチョコ風だったから恐らくこっちはビターチョコ風という事だろう。


「あれだね。これはカカオ70%とか箱に書いてあるチョコだね」


チョコ特有の苦味が全面に出てきている。

眠い時とかに食べたら目が冷めちゃいそう。


「僕としてはわざわざチョコをこんなに苦くする必要ある?って思うんだけど」


フェムトはやっぱり甘いチョコの方が好きらしい。

食べれない物は無いけど。基本甘いものの方が好きみたいだからな。


「残りのふたつは、また違う感じに変化してるんだ。まずは風の精霊石を使った方」


見た目はスタンダードな麦チョコとそっくりで、前のふたつみたいに見た目でどんな味か判断することが出来ない。

流石に食べれない物を出したりはしないだろうと口の中に入れる。


「これラ〇ィだ」


冬になると販売される洋酒入のチョコそっくりの味がした。

これはちょっと予想外でも悪くない。

という事は火の精霊石を使った麦チョコもアルコール入のチョコという事だろう。


火の精霊石を使った物も見た目は変わらない。ただ今までと違い中は空洞になっていてそこに液体が入っているようだ。


「やっぱりウイスキーボンボン見たいな感じか」


ただ、想像以上に度数の高いお酒が中に入っているようで、1粒食べただけでメルの顔が赤くなってる。

俺はこの体になってから酔わなくなっちゃったから。問題ないけど。


「メル、とりあえずお水飲んで」


収納魔法からコップを取り出して、魔法で作り出した水を注いでメルに渡す。


「ありがとうございます」


メルが水を飲んでいる間に椅子とテーブルを出してテーブルには冷たい水が入ったピッチャーも置いておく。


「ちょっと休みながら水を飲んで酔いを覚ました方が良さそうだから。メルは座って休憩してて」


はぁいと返事をして少しフラフラしながら席に座ってからになったコップの自分で水を注いで飲み始めた。


「ねぇフェムト。これある意味危険物じゃない?メルって比較的お酒強い方なのに1粒食べただけで軽く酔うって相当だよ?」



マタタビ酒だとどんなにアルコール度数が低くても酔うけど。(本人曰くお酒に酔うと言うかマタタビに酔っているらしい)

お酒には割と強い方のメルが小さじ1杯も無い量で酔うお酒って。悪い男がかわいい女の子をお持ち帰りする時とかに使われちゃったりしない?


「確かに、普通の人じゃ1粒食べただけで泥酔だろうから。そう言った使い方も出来るだろうけど。そもそも流通させるつもりないし」


物がで回らなければそんな事件起こらないか。


「ただ、ドワーフの女性とか。すごい欲しがりそうなんだよね火の精霊石を育てるのに使った麦チョコ」


こっちの世界に来てから実はまだ1度も会ったことがないドワーフだけど、やはりお酒は大好きらしい。


大好きなお酒とお菓子が融合したこの麦チョコをドワーフの女性が気に入らないわけが無いだそうだ。


「普通にカカオから作ったチョコを使ってウイスキーボンボンを作れば良いんじゃない?」


そうすれば獣王国の貿易商品も1つ増えることになるし。

ドワーフの女性に絶対人気が出るって分かってるなら尚更。


「確かにそうだね寧ろそっちの方が正規の作り方だよね」


丁度、王妹のメルもいるし話を進めやすいって思ったんだけど。メルが完全に寝ちゃってたので、この話はまた今度という事になった。




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読んでいただきありがとうございます。




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