第8話

「魔族の魔物創造でこの魚の燃えないって特性を引き継いだ新しい魔物を創造して貰えば解決できるかも」


魔物創造は既存の魔物を作り出して使役するだけじゃなくて、異なる魔物や生き物の素材を新しい魔物を作り出すことも出来る。

なので、燃えない特性を持った魚の魔物を創って貰って、養殖しようと言う作戦だ。

お世話はお給料として魚をあげるかわりにフェニックスにして貰えば良いかな?と思っている。


ただデートの次の目的地が魔界に決定しちゃうので、どんどんデートっぽくない感じになっちゃうのが申し訳ないけど。


「コウさんが何を考えているか何となく分かりますけど。フェニックスの雛が可愛そうですし。次の行先は魔界で大丈夫ですよ」


母親フェニックスさんはどういう事か完全に理解してる訳では無かったけど、追加で魚を渡して。魔族の人たちに魔物創造をお願いするために早速魔界に向かった。


魔界で絶賛開拓中の魔族の村に転移してきた。

オーク達が農作業をしていて狼系の魔物が警備をしている。夜の警備も夜行性の魔物がしてくれるので結構安全らしい。

魔力だけで働く労働力が居ると言うのは大きくて、来る度に発展していってる。

魔族の総数は200人いるかいないかぐらいなので農作物が収穫できるようになれば既に時給自足できる規模まで発展している。

ハジメくんも魔力だけで働いてくれるオークを欲しがってたけど、自由行動をさせるなら必要ないけど。農業みたいな作業をさせるには魔族がある程度近くにいて命令をする必要がある。

魔族は人類に対して苦手意識があるので人間界に行くのはちょっとと断られてしまった。


「コウだ!今日は何しに来たの?」


魔族の村を眺めているとハスキーを大きくしたような魔物、ガルムに乗って魔族の少女がこちらに向かってくる。

見た目は7歳児だけど彼女は魔王。魔族の中で1番魔物創造を使いこなしていて魔族の中で1番強い。

自分が倒した魔物でも、魔物創造のスキルを上手く制御出来ないとスキルが発動しないこともある。

ほとんどの魔族がCランクの魔物が限界。1部Bランクの魔物を創造する事ができると言う中。たった1人Aランクの魔物の創造に成功している。

そのAランクの魔物が今、彼女が乗っている犬の魔物ガルムがそのAランクの魔物だ。


普通は群れで生活するガルムが何故か単体で活動してたり、ちょうどCランクの狼の魔物の群れを指揮していたり運が良かった面もあったらしいが、運が良くても魔物創造の才能がなきゃガルムを創造することは出来なかったんだからやっぱり才能が有るんだろう。

因みに魔族は必ず闇属性魔法の適正が有るらしく。デバファーとしても中々優秀。

その代わりほかの属性の適正を持つ者は極端に少ないらしい。


「エリーゼ久しぶり。ボスも元気そうだな。今日は魔族の力を借りたくて来たんだ」


エリーゼが魔王の名前でボスはガルムの名前だ。ガルムを創造した時にエリーゼがボスと名付けた。


「そうなの?コウには既に返しきれない程の恩があるから私たちにできることなら何でもするよ」


見た目7歳児に何でもすると言わせると少し犯罪臭がするけど。見た目が7歳児なだけで知能は大人の合法ロリのような存在なのでまぁ問題ない。

合法ロリだからこそやばいのか?

今はそんなことを考えるより今日来た目的をしっかり話さないと。


「エリーゼからしたらそんなに難しい事じゃないと思うんだけど。魔物創造を使って新しい魔物を創り出して欲しいんだよ」


エリーゼにどんな魔物を創り出して欲しいのか。何故、その魔物が創り出したいのかを説明した。


「手伝うのは勿論問題ないけど。問題なのは私が倒した魔物や生き物しか魔物創造には使えないです。だから、私が人間界に行く必要が有るんだよね…」


ああそっか魔物創造に使う素材は自分で倒した物じゃないと使えない分かってたはずなのに、人族が苦手なのはエリーゼも同じだからな…。結構無理させてるかも。


「燃えない魚が捕まえられるのは俺とフィア以外はまだ行ったことがない場所だから人と会うことはないと思うし、それ以外の素材は魔界で集めても問題ないから…。万が一人にあったとしてもエリーゼには指1本触れさせないから」


「あぁ、確かに人に会うのは怖いけど。コウが一緒なら問題ないよ。それより、マルねぇと2人っきりでデートしてるんでしょ?それを私が邪魔することになるのは嫌だなって」


悩んでたのそこ?


「エリーちゃんそこは気にしないで良いの。フェニックスの雛に無事育って欲しいのは私も一緒だから」



「確かに子供が餓死しそうなのに見ていることしか出来ない母親フェニックスも可愛そうだよね。マルねぇがそう言うなら今すぐ始めよう。私が居なくても問題ないぐらいには村もしっかりして来たし。ただ出かけてくるって知らせて来るからちょっと待ってて」


そう言ってガルムに跨って村の中心に向かっていった。


「初めはもっとガチガチだったのに今はあれだけ活発になって良かったですね」


不具合として生まれたから、存在すること自体、悪として扱われてたからね。実際魔族を生み出しちゃった別の世界の神様はどうにかしようと頑張ってたらしいけど。

結局、世界神様が介入して魔族たちは助かった。

存在しちゃいけないって言われて元気に振る舞えるわけが無いし、こっちの世界に来て元気になってくれてほんとに良かった。






読んでいただきありがとうございます。




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