第6話

「そう言えばウサギ肉って食べた事ないな。どんな料理にするのが良いんだろ?」


ウサギ肉のパイとか煮込み料理イメージが有るけど。このウサギはそう言う料理に使うには少し脂身が多い気がする。寒いところに暮らしているからかな?

脂身を切ってから使うか、それとも焼いて食べるか。


「コウさん?解体するのには何も言いませんでしたが、料理を始めるのはダメですよ?

まだ野営地を決めるような時間じゃないですし。このペースで行けば、今日中に頂上まで行けそうですし」


確かに。でも、ここまでなんにも考えずに登ってきたけど高山病とか大丈夫なのかな?って不安になってきたんだよね。もうヒマヤラ山脈以上の高度まで来てるし。生身で空飛んだりしてる訳だからそんな心配今更か。



「頂上についた方がゆっくりできそうだし。我慢するか」


と言っても今日中に頂上に着くかも知れないと言っても今までのペースで向かうと日が落ちてからだと思うし、頂上手前で一泊して明日頂上に到着って感じだと思うけど。


「それと、ここまで来たら飛んで頂上まで行きませんか?もうじゅうぶん雰囲気も楽しめましたし」


マルタも山登りに飽きたってことね。

俺もそうだしこっからは飛んで頂上に向かうか。

飛んで向かうとなると時間は掛からないので10分程度で頂上に到着した。


「やっぱり飛んでくるとすぐだね。でっかいフクロウがいつもここで暮らしている幻獣種で赤系の色をしている孔雀がフェニックスでいいのかな?」


頂上には真っ白なフクロウと赤系の色をしている孔雀がいる。フクロウに抱きついてもふもふさせて欲しい。毛の中に沈みたい。

フェニックスの飾り羽を広げたらさぞ綺麗だろう。子育て中って話だから多分メスのはずなんだけど。飾り羽有るんだね?オスがメスにアピールする為のものだからメスにはないとか聞いたことあったけど。

まぁ孔雀じゃなくてフェニックスだし。

フェニックスの場合オスメス関係なく飾り羽があるって事だろう。


「フェムト様からお話があった水の精霊王様で宜しいでしょうか?」


頂上に来て何も喋らず、ジーッと見つめてたから少し警戒されてしまったらしい。

俺も突如来た相手がそんな感じだったら警戒するから。当然の行動だと思う。


マルタはまたコウさんのケモナーの血が騒ぎ出しましたね。とか言ってる。

ケモナーなんて言葉誰から聞いたんだって思ったけど、アイ以外有り得ないよな。

そう言えばこないだ、けも〇みちみんなで見てた気がする。

俺はあそこまで酷くないぞ?


「その水の精霊王であってるよ。今回はフェニックスさんがフェムトに相談していた。燃えない木材がタイミングよく手に入ったので届けに来ました。これが現物です。溶岩で燃えないことは確認してるんですけど、フェニックスさんの炎に耐えれるかは未知数なので試して見てください」


溶岩とフェニックスの炎じゃフェニックスの炎の方が強そうだし。

もしかしたら、この木も燃えるかもしれない。

寧ろこの樹が燃えるところをちょっと見てみたいとも思ってたりする。

実際に燃えてしまったらフェニックスさんはガッカリするだろうけど。


「そうですね。では遠慮なく試させて頂きます」


フェニックスが木の上に片足を乗せると

木が業火に包まれる。普通なら水分を含んだ生木でも一瞬で灰になる熱量だろう。

だと言うのにこの木はしっかりと原型を留めている。

所々引火し始めてる気はするけど。フェニックスの炎には耐えられなかったかな?

と観察を続けていると、どうやら引火し始めたのは樹皮の部分のみのようで、中は無事のようだ。


「それなりの熱量で焼いたつもりだったんですけど。樹皮しか燃えないとは…。これなら子供たちが地面にそのまま寝る必要が無くなります。ありがとうございます」


野生の孔雀は木の枝の上で寝る種類もいるらしいからフェニックスもそうなんだろうか。

とまり木を石材とか金属で作れば解決したんじゃないの?木材よりはフェニックスの炎に耐えられる素材を見つけやすいと思うけど。

今更言っても遅いし、フェニックスからしたら木材じゃないとダメな理由とかあるかもしれないし。口に出すのはよそう。


早速、フェニックスの雛がいるところに向かうと、5匹のフェニックスの雛がウーウー唸りながらなにかしている。

あと凄いガリガリな気がするんだけどなんでだろう?


「なんで、雛たちはガリガリなんですか?」


フェニックスさんの感じからしてわざと餌をあげてないとかじゃ無いだろうし。なにか理由が有るのだろうか?


「生まれたばかりのフェニックスは自分の炎を上手く制御出来なくて周りにあるものを全て燃やしてしまいます。それは食べ物も例外ではありません。なのでフェニックスは早く炎が制御できるようにならないと餓死するしてしまいます」


確かに食べ物だけ燃えないとかそんな都合のいい事なんて無いか。母親のミルクを飲んで育つタイプだったら問題なかったんだろうけど、鳥類だからそのタイプじゃないだろうし。

仕方の無い事とはいえ餓死するのをただ見ていることしか出来ない母親フェニックスさんは相当辛いだろう。


「フェニックスさん実はこの燃えない木が取れた場所で溶岩の中を泳ぐ魚が捕れたんですけど、これなら食べれませんかね?」








読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る