第5話

岩塩プレートで焼いたステーキはなかなか美味しかった。

でも、ワサビとか山椒があったらもっと美味しくなるだろうなと思った。

世界樹が生えてる付近の森の中なら生えてるかな?

世界樹が生えてる付近の森は独自の植物も多いって二ーズさん言ってたし。

リアとのデートは森で食材探しするのもいいかもな。


そんなことを考えながら景色の変わらない山を登っているとついに魔物の反応が現れた。


「ここまで来て初の魔物の反応!」


一体どんな魔物かな?とスキップをしながら魔物の方に向かっていく。


「あれってもしかしなくてもカメノテ?」


釣り場でよく見るカメノテが岩に何個も張り付いている。反応のあった魔物はあれみたい。カメノテって確か貝類じゃなくて甲殻類なんだよね確か。塩ゆでにしても食べれるし、味噌汁のいい出汁がとれたはず。


「亀の手ですか?岩の中に隠れている亀の手だけが露出してるとしたら。だいぶ残念ね魔物ですよ?」


あぁマルタはそう解釈したわけね。


「カメノテって言う。亀の手に似てるからそう名前をつけられた生き物がいるんだけどそれにそっくりだっ_____________うわっ危な!すっ飛んで来たんだけど」


カメノテの説明をしてたらカメノテが自爆めいた特攻を仕掛けてきた。魔物のカメノテは1つ1つが人間の手と同じぐらいの大きさがあるしもし当たったら体に大きな風穴が空くぞ。カメノテの先端って結構鋭利だし。


なんか求めてた魔物とは違うけどカメノテ見た目の割に美味しいから良しとしよう。

スペイン料理だとカメノテの近縁種が高級食材だって言うのもどこかで聞いたことあったし。


カメノテは自爆めいた特攻でこっちに飛んで来るのでそれを凍らせるだけで楽に討伐採集が出来た。


「見た目はあまり良くないですけど。虫よりかは断然マシですね」


虫料理ね。俺はこっちに来てから1度も食べたことないけど、こっちの世界でも結構ポピュラーみたいなんだよね。

大きなバッタの魔物の後ろ足とか人間と同じぐらいのサイズがある蜂の子とか美味しくて人気の料理らしい。

地球にいる時に罰ゲームで食用のコオロギを食べた事があるけど、味はまぁ普通に食べれるんだけど、口当たりが最悪だった。

罰ゲームに使うために持ってきた友達がオケラをボリボリ食べてるのを見て。まじかよって思ったのはいい思い出だ。


「虫は俺も嫌だな」


「コウさんも嫌いな食べ物って有るんですね。ちょっと意外です」


「そりゃ好き嫌いぐらい有るよ?果物は大丈夫だけど、酸っぱい料理とか食べ物は基本苦手なんだ」


だから、料理を作る時にそういう料理は作らないし。


「マルタは苦手な食べ物は無いの?私も酸っぱいものですかね?後、納豆は苦手です」


納豆は嫌いな人多いからね日本でも嫌いな人が多いぐらいだし。俺は好きだけど。カレーのトッピングにしても美味しいし。

朝ごはんにもちょうどいいから。


「おっ、また魔物の反応が…でも、さっきのカメノテみたいな待ち伏せタイプの気がする」


これ、俺が魔力を抑えてるから魔物が戻ってきたんじゃなくて、元からほとんど移動しない待ち伏せタイプが残ってるだけか。


魔物の反応があったところに行くと一見石がゴロゴロ転がっているただの広場にしか見えない。

魔物の反応がしてる石に向かって適当に氷を飛ばしてみると石から蜘蛛の脚が生えてきて氷を避けた。


「キモ!」


どうやら石に擬態する蜘蛛の魔物らしい。


「お前、蜘蛛なら糸を出すのはまだ理解出来るけど。尻からじゃなくて口から糸をだすのな」


蜘蛛って尻らへんから糸出すんじゃないの?

でも、口から糸を出す蜘蛛も一種類だけ存在するって特撮好きの友達が言ってたな確か。

蜘蛛の糸がついたらベタベタしてそうなのでしっかり避ける。


「アラクネさん達に渡したら喜んでくれるかもですね」


アラクネは自分たちがだす糸以外の素材を使って服を使うことも出来るのでこの蜘蛛の死骸を持って帰ればそこから糸を取り出していい服を作ってくれるだろう。

そう言えばこの世界で蚕をまだ見た事ないな。シルク結構人気でると思うけど。


この魔物は無視でもいいかなって思ってたけど。アラクネ達のお土産になりそうということでサクッと殲滅した。


「もっと石を纏った大型のトカゲとかもっと魔物っぽい感じのが出てきてくれるのを期待してたんだけど。あとは鳥系の魔物」


その後も黙々と山を登って行くと遂に凍っているエリアまで到達した。

氷からは魔力を感じるので、頂上には炎を自在に操るフェニックスだけじゃなくて、冷気を自在に操れる存在がいるってことで確定だろう。

話が通じるやつだといいな。


「あっ!お前は!?」


頂上に向かって歩いていると魔物の反応があったので期待せずに確認に向かったら、フロンダンジョンで縦に真っ二つにしたせいでお肉を回収出来なかったロップイヤーがこちらを見ていた。目が合った瞬間全力で逃走しようとしたのでそれより早く凍らせて倒した。


「よっしゃ!ダンジョンでは失敗したからな。今晩の料理に使いたいからここで解体していこう」


自分のミスで食べられなかったお肉を思いがけない場所で手に入れることができて上機嫌に解体をするコウだった。






読んでいただきありがとうございます。



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