第5話

ニーズさんの後をついて世界樹のダンジョンを進む。

敵は出て来ないけどだいぶ入り組んでいて、案内無しだったら、相当時間がかかっただろう。

シャルを連れてきて探知能力で探って貰えば

問題ないかも知れないけど、このダンジョンは1番得意なスキルを封印されてしまうので

シャルに探知をして貰うのは無理だろう。

このダンジョンってギミック重視で、敵は出て来ないのかな?

と言っても今のところトラップとかも無いし…ニーズさんが正解ルートを突き進んでるから、何も起きてないとか?

ここ分かれ道だらけだし、そっち行くと酷い目にあってたとか有り得そう。


「ここからは敵が出てくるから注意してくれ。まぁ、この面子なら不意打ちをくらっても痣ができるぐらいだろうけど」


ここからは敵が出て来るらしい。

両サイドが本棚で3人横並びでギリギリぐらいの道幅しかないから、ニーズさんが言うにはそんなに強くないらしいけど、不意打ちもしてくるみたいだから注意しないと。


「ここからは敵が出てくるんですね」


「さっき迄は敵もトラップも何も無い道を選んで通ってたからね。でも、ここからはトラップ満載の道、敵が出てくる道、両方盛り沢山の道しかないから、1番楽な敵が出てくる道を進む。トラップは分かっててもうっかり作動させる可能性が有るからね」


これ、道を間違えると想像以上に酷い目にあうタイプだ多分。

絶対ニーズさんとはぐれ無いようにしないと。


「本が浮いてる。あれが敵かな?」


ページを開いて宙に浮いている本が視界に入った。ゲームにこんな感じの見た目で魔法を使ってくる敵いたな〜。あの敵もそうだろう。

今回、水属性魔法が封印されていて剣士スタイルなので、敵の攻撃が始める為に一気に距離を詰めようと走り出す。


「痛った!?」


本型の敵と距離を詰めようと走っていると、横の本棚から本が飛び出てきて横腹にクリティカルヒットした。

フェムトが作ってくれた防具を着てれば問題無かったんだろうけど、クトゥグアとの戦いで1着ダメにして、今回来てきた予備の防具もニーズさんにダメにされちゃったから、前に買った魔法使いのローブっぽい防具しか着てなかったからちょっと痛かった。

大したダメージは無いけど、びっくりしたのもあってその場に止まってしまう。


そのタイミングを待っていたかのように前から火球が飛んできた。


横腹に突っ込んできた本型の敵に肘鉄を食らわせ地面に叩き落として、飛んできた火球を精霊刀で切り裂き霧散させる。

再び宙に浮こうとする本型の敵に精霊刀を突き立ててグリグリすると、本型の敵は光の粒子になって消えた。


「本って使い道有るの?って思ってたけど、倒したら消えちゃうのか」


残ったところで火種ぐらいにしかならなかっただろうが、敵を倒して何も手に入らないというのも少し残念に感じる。

その後、横から本が飛び出てきて来ないか警戒しつつ、魔法を撃ってくる本型の敵まで距離を詰め、間合いに入った瞬間精霊刀で一刀両断。前の敵と同じように光の粒子になって消えたので戦闘は終了した。


「飛び出してきた本型の敵魔力とか全く感じなかった…大して強くなかったから良かったけど」


一応、魔力感知は使用して不意打ちの警戒はしていた。これをすり抜けてくる敵はちょこちょこいたけど、やっぱり厄介だな。


「お疲れ様です。コウさんの横腹に本が突っ込んだ時はビックリしましたが大丈夫でしたか?」


「うん、元々物理攻撃効きにくい体だし、痛いとかよりビックリした」


「ここ、本棚に入っている本がランダムに襲いかかってくるんだよ。感知系のアンチスキルを持っているらしくて感知できないし、感知が得意な仲間を連れてくれば見つけられるかも知れないが、私達でも感知ができない本を感知できるのに、それより得意なスキルが無いと行けないからほぼ無理ゲーなんだよな」


確かに、そんな人材探してもほぼ見つからないだろう。

不意打ちされてもダメージはないようなものだし、くらっても気にしないのスタンスで行くのがいいのかも。


その後、本型の敵に何度も不意打ちをされながら進んで行くと前と左右が本棚になっている行き止まりに到着した。


「ニーズさん行き止まりですよ?」


まさか道を間違えた?そんな事もないだろうし、ニョグダの侵食を受けた影響でダンジョンの内部構造が変わってるとか?


「ここはギミックを解かないと先に進めないんだ」


そういう事。ニーズさんが前の本棚から本を抜き出し並び替えて本棚に戻していく。

並べ替えが終わっても何も起こらない。

あれって思ったニーズさんは両サイドの本棚も本を抜き出し並び替えて本棚に戻していく。

何この凄く面倒臭いギミック、ヒントも無いし。

強い魔物より足止めするのに効果的な気はしなくも無いけど。


ニーズさんが前と両サイド全ての本棚の本の並び替えが終わると、前の本棚が下に下がって、魔法陣が有る部屋が現れた。

この魔法陣で先に進むのかな?

魔法陣の有る部屋に入ろうとしたら、ニーズさんに止められた。


「あの魔法陣はフェイクで部屋の中に入るとモンスターハウスに強制転移させられるよ」


えっ!じゃあ今までギミックを解いた意味は?って思っているといつの間にか出現していた後ろの本棚から1冊の本を抜き出して

開いて地面に置いた。

すると本から魔法陣が浮かび出て来た。


「これが先に進む魔法陣だ」


ニーズさんに案内して貰わなきゃ絶対、前に進めなかったなと思うコウだった。




読んでいただきありがとうございます。





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