第3話コラーソ公爵家のお家騒動

「結論から言ってしまうと今回私を殺そうとしたのは、次男のアンセム兄様なんだ。」


悲しそうな顔をしながら話してくれた。

お家騒動に巻き込まれちゃったわけか本当だったらそんな面倒事絶対嫌だが俺も男ですフィア様可愛いし。


「貴族からしたら次男というのは保険なんだ。長男が死んでしまった時のそれで劣等感をずっと感じてたんだと思う」


それで家の乗っ取り、でも成功したところでこの国の全てを敵に回すだけでは?

その先は破滅しかない。

公爵家の権力で野心のある他家を先導してる?だけどこの国に敵国がある場合、恐らくこの国と敵国、同時に攻め込まれる可能性が高い。

いや、乗っ取った後この国を一緒に

攻める同盟を既に結んでる?

もし、こうなってた場合無事に解決しても

公爵家は責任問題がやばいだろうな。

もしくはただの大バカか?


「この国の敵国とも通じてる?」


ぼそっと呟くと2人が感心したという顔で

こちらを見ていた。


「どうしてそう思った?」


「それが一番公爵領を乗っ取った後、敵が少なそうだなと無い頭で考えただけです。敵国からしたら成功せれば御の字。最終的に乗っ取った後、安定する前に責め滅ぼす。

今の状態の公爵領を落とすより簡単、失敗しても自国の損耗は少なくこっちの国力を落とせる。地理を知らないので国境沿いから遠く

ここまで考えてない可能性も充分ありますが。」


この世界の実情を全く知らないので全て想像の話なのだが。


「実は、アガール帝国というのだがその国が

コウが考えた通りの事を考えてる。公爵領を乗っ取った後共にこの国、リンファス王国を攻めると約束した密書がある。手に入れたのだがバレてしまってなあいつらに襲われてたんだ」


氷漬けになった5人を見ながら言った。

証拠はもう持ってるのか。

じゃあ5人は生け捕りとか要らないか

ドゴォーン

突然爆発音のような音が聞こえてきた。


「あっちは領都フロンの方向だ。まさかもう始まってしまったのか」


時間が無さそうだ。力をくれたフェムトに

感謝しつつ今回は自重を捨てることにした。

さっきは魔力を使った時に精霊の腕に

偶然なったが感覚は掴んだので自分の意思で発動できる。当然発動させる。


「水の精霊達さっきの爆発音がしたところは

どうなってる?教えて欲しい」


すぐに思念のようなもので伝わってくる


「そうか、街が燃えてるみたいだね。皆、雨を降らせて火を消しといて得意でしょ?」


これで時間は稼げるか

後は移動手段、氷で大鷲作って生き物みたいに動かせば飛べないかな?

取り敢えず作って飛ばしてみると成功する。


「当然どうしたんだ?」


「作った大鷲で飛んでけないかなと思って

単体なら飛べてるし行けるかなと」


大鷲の高度を下げ乗れる高さまで移動させる。少し考える2人だが。早くつけるのならと大鷲の上に乗る。

氷漬けの連中も完璧に凍らせて粉々に砕いた

大鷲に乗り高度をあげる。よし人が乗っても飛べるぞ!


「そのまま一直線で向かうぞ」


空からなら街を覆う大壁に穴が開いた

街が見えるあれがフロンだろう。

速度を出せば10分ぐらいで着くだろう。


「ちょっと飛ばしますね」


そういいスピードを出すが、風が強い。

風魔法が作れれば何とかなりそうだけど。

そんなことを考えながら、フロン上空に到着する。

両陣営こちらを見ている。

同じ鎧でどっちが味方か分かりずらい

壁の外に固まった団体がひとつある。

あれ次男派の本陣だったりする?


「外に固まってるのあそこに件の次男いたりします?フィア様」


「件の次男って、まあことを起こしてしまった以上仕方ないが、間違いないだろうあれが反逆者の本陣だ」


まあ、血の繋がった兄弟なわけであの言い方は、さすがに酷かったか。

まあ、まだ殺しはしない氷の中に閉じ込めるだけだ。


「アイスコフィン」


固まっていた連中は1人残らず、閉じ込めた

これで、俺のやれることは1度終了だろう

帝国相手に1戦やり合う可能性はあるが


「後は フィア様が宣言して敵の武装解除お願いします」


最初からそのつもりだったのだろう

頷いて返事をしてくれたので。

大鷲の高度をゆっくり下げる。

ある程度下げたところで

「ここまででいい」

と言われたのでとめる。


「領都フロンを襲う反逆者ども首領であるアンセムは既に水属性の精霊魔法使いである。コウによって氷漬けにされ拘束されている。これ以上の抵抗は無駄だ直ちに武器を捨て投降せよ」


フィア様の言葉を聞き次々と武器を捨て投降する。

だが中にはまだ武器を捨てない者もいる。


「コウすまんが」


「分かりました。お任せ下さい」


まだ戦うつもりのやつは容赦なく氷漬けにしていく。

全て終わったところで地面に降りる為

更に高度を下げる。

もう精霊化(腕が青くなっている状態を

そう呼ぶことにする)を解こうかなと思っていると。


「まだその状態でいてくれ」


「確かにその方が面倒ごとは減りますね」


地面に近づくにつれ騎士がこちらに

近づいてきて地上に降りれる高さになると一斉に跪いた。


「楽にしてくれ。それより団長どうなっている」


「は、アンセム様による反乱です。

オフィーリア様のおかげで収まりました。

今はけが人の治療と倒壊した建物の調査をしております。幸い火事は爆発した直後

晴れだったのに急に雨が降り出しまして

既に鎮火しています」


雨も役に立ったみたいだ。

「反逆者に様などいらないぞ団長 。来る前に水の精霊に話しかけてたな。雨を降らしたのはコウか?」


フィア様から突然話を振られる。

空気に徹してたんだけどな。

皆チラチラ腕見てきてたけど。


「オフィーリア様、私がしたのはあくまで精霊たちにお願いをしただけです。聞き入れて雨を振らせてくれたのは水の精霊です」


取り敢えずこんな感じでいいかな。

後オフィーリア様って呼んだとき

ちょっと悲しそうな顔をしていましたが。

無理ですよこの状態でフィア様なんて

呼ぶのは。


「その、オフィーリア様その少年を紹介して頂いてもよろしいでしょうか?」


「水の精霊魔法使いのコウだ今はそれで十分だろう。それとコウが、氷漬けにしたアンセムが壁を出て少ししたところにいる筈だ急ぎ回収してくるように」


まあ、重要な事だな。


「殺してないんだよな?」


確認で聞かれる


「はい、ただ周りを凍らせて閉じ込めてるだけなので生きてますよ。火で炙れば氷も溶けると思います」


試した事ないけど火なら溶けるよね?


「そう言うわけだすぐ回収してくるように

コウはお父様に紹介したいから着いてきて欲しい」


それも重要だろうけどけが人の治療を先にしたいな。


「オフィーリア様、先程けが人の治療を

していると騎士団長様が話されていました。私にも怪我の治療が出来ます。治療を先にさせて頂けないでしょうか?」


「確かにそうだったなそれじゃあ先に治療をしに行こう団長、場所を教えて貰っても?」


いや、フィア様が案内するみたいな

言い方だけど無理ですよね?


「その、騎士団から案内をお付けしますので

オフィーリア様は御当主様のところに向かって頂けると」


そう言って1人の騎士に声をかける。


「ケルディオお前が案内しろ」


「は、承知しました。ではコウ殿案内致しますのでこちらへお願いします」


歩くこと10分程、教会らしき建物の前に着く。

普段は綺麗な広場なのだろう。

けが人で溢れ帰っていた。


「住民を気にせず攻撃してきたので、けが人が多く出てしまいました」


悔しそうに説明してくれる。

早く治さないとな一気にけが人を治すために

治療を受けていない人を一気に水でつつみこむ、フィア様にやった時と同じようにして治していく。

五分ほどで全員完了する。

凄い集中する必要があったので精神的に疲れた。


「まさかこれ程とは、お疲れ様でした」


騎士さんにそう言われる。

正直もう寝たい、まだやる事いっぱいあるしなー。

人がいっぱい集まってくる。


「副団長、今のは一体何が起こったのですか!」


この人副団長だったのか。


「オフィーリア様が連れてこられた。水の精霊魔法使い殿だ一気に治療をおこなって今はお疲れだ。それだけ分かれば十分だろう。

ほかのもの達への説明も同様で構わない」


「畏まりました」


確認に来た騎士が帰って行った。


「お疲れのところ申し訳ないのですが屋敷に向かいましょう。屋敷の方が本格的な休憩もできるでしょう」


確かに、もうちょっと頑張るか


「分かりました。案内お願いします。」


対して時間がかからず屋敷に到着する。

特に検査とかされず通れてしまった。


「君がコウ君だね?街を救ってくれてありがとう。私はオルトレー・コラーソ公爵家当主だ」


挨拶をされ握手を求められる、いいのか?

貴族と握手とかもうどうにでもなーれ


「ドリフターのコウです。よろしくお願いします」


オルトレー公爵と握手する。


「君は今、うちの家がどんな状態か知っているだろう。優秀な魔法使いがいてくれるのはとても心強い、フィアも気に入ってるみたいだしな。滅多にないどころか初めて見た。

今後もフィアと仲良くしてやってくれるか?」


まあ、普通にいい人だし可愛いし

仲良くどころか、もうちょっと進んだ

関係になりたいけど。

わざわざこう聞かれるということは

仲良くするのは見逃すが、

身分が違うのはわかってるよな?って釘を

刺してるってことかな。返事は一択だけど


「是非、オフィーリア様と仲良くさせて頂けること光栄に思います」


「そうか、そう言ってくれて一安心だ。

長かった、じゃじゃ馬姫って言われている。フィアで大変かもしれないけど頼んだよ。

なんせじゃじゃ馬すぎて公爵家なのに嫁ぎ先が決まらず、今じゃ1件も打診が来ないからな」


公爵が乾いた笑い声をあげる。

後フィア様から殺気を感じる。

他の人達からもようやく決まったか

みたいな空気を感じる。


「ちょっと思っていたのと違ったのですが。身分が違うのに仲良くするのを許して

あげるんだぞ、勘違いしてそれ以上の

関係になれると思うなよってことかと」


そういった瞬間場の空気が一瞬でお通夜状態になってしまった。

別に結婚できるならそれで良かったのに

なんで余計なこと言っちゃったんだろう

完全にやらかした。


「コウ君はドリフターだったねこっちの言い回しとか詳しく知るわけなかったね。

そういった意味で使う時は、友達としてとか冒険者としてとか加えて強調するんだよ。

今回は何も入れてないからね。

妻としてどうだろうってことだったんだ」


あ〜やらかした。ほんとにやらかした。


「まあ、双方勘違いがあった訳だ。もう一度、今度はストレートに聞こう。フィアを妻にもらってくれるかい」


「はい、絶対に幸せにします」


場の空気も

いや〜丸く治まって良かった〜って感じだ。

フィアの方に近づいて行って


「色々こっちの常識を知らないから

今みたいに迷惑かけちゃうかもしれないけどこれからよろしくねフィア」


「それはお互い様だぞコウ私もいっぱい迷惑かけると思うからなよろしく頼む」


そのままフィアを抱きしめキスをした。



読んでいただきありがとうございます。




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