第4話 国境の街を救え

「仲がいいことは結構だがコウ君にお願いがあってね。」


オルトレー公爵の声で、2人っきりじゃなかったと思い出した。めっちゃ恥ずかしい

フィアも顔が真っ赤になってる。


「本当は邪魔したくなかったんだけどね。コウ君の氷が溶かせなくてね。折角の生け捕りなんだ。情報が欲しい溶かしてくれないか?」


本気でやらなかったから溶かせるかなとか思ってたけど、無理だったらしい。

薄々感じてたけど精霊ってやばいな

俺まだLv1だよ?


「分かりました。案内してください。」


すると中庭に案内された。

氷の棺に向かって、めっちゃ火魔法で攻撃してる。だが全く溶けてないように見える。


「やはり無理そうか?」


余程集中してたのだろう。

公爵の声に驚いて火魔法を使っていた。

魔法使いが返事をした。

「申し訳ございません。氷を攻撃しようとすると、火の精霊が手伝ってくれないんです。契約してるシルフィも出てきてくれないし。」


もしかしなくても俺のせいっぽい

精霊化して話しかける


「シルフィって言うのかな?出てきて説明してくれる?」


すると、いつも大量にいる球体状では無く

翠色をした少女が出てきた。


「水の精霊王様が私のような下位精霊になんの御用でしょうか!」


まだ違うんだけど、やっぱり俺が原因か

小精霊(小さな球体状の精霊)や彼女の言う下位精霊からしたら精霊王に見えるってこと?


「まだ水の精霊王じゃないし出来たらなってねって言われてるだけだぞ、今はLv1の精霊魔法使いだ」


シルフィは顔を横にブンブン振って否定している。


「今は違くても必ず精霊王として即位されるでしょう。既にそれだけの力を感じます。」


フェムトも出来ると思ったから。

君にお願いしてるんだって言ってたけど、

それ程なの?


「まあいいや、火の精霊たちもだけど、魔法使いさんが氷溶かすの手伝ってあげて」


これで手伝ってくれるだろうか。


「魔法使いさん火魔法使って見てくれます?」


声をかけた瞬間、魔法使いさんがビクッっとなって凄い怖がられてる。

そんなに?


「オフィーリア様?水の精霊王候補って人間からしたらやばい存在だったりします?」


オフィーリア様って呼んだからだろうか

ムスッとした顔でこっちを見て返事がこない


「フィア?」


はぁとため息をついて

「普通、力を貸してくれるのは下位精霊だ

それ以上が力を貸してくれることはまず無い中位精霊とかなら何件かあったはずだが。

精霊王なんて伝説の存在だ。だが私はコウはコウだと思ってるぞ」


それだけ聞ければ十分だ


「それが聞けて良かった。後、水の精霊王って話内緒ね話しても信じて貰えないと思うけど、もし話したら精霊たちが力を貸してくれなくなるかも?」


ついさっき精霊とのやり取りを見てる人達だ

そうなってもおかしくないと思ってくれるだろう。


「あの、火魔法使ってもいいでしょうか?」


そう言えばそうだった、どうぞと合図をする


「ファイヤーボール!溶けました成功です。」


精霊もちゃんと手伝ってくれたようだ。


「がはぁ、ここはどこだ?平原に陣取って居たはずだぞ。」


アンセムが喋りだした。問題ないみたいだな。


「久しぶりだなアンセムよくもやってくれたな。」


オルトレー公爵が直接尋問するのか


「精霊に愛される俺じゃなく、才能がない

あいつを当主にすると言う。無能め」


口悪、それに精霊に力を借りれないと無能なのか?そんなわけないだろう。

精霊のこと道具としか思って無さそうだし。

自分で愛されてるとか言っちゃうあたり

だいぶキモイ。


「こんな氷一瞬で溶かしてお前らも灰にしてやる、やれ火の精霊」


シーン、何も起こらない。

当たり前だよなー

ただの氷でも許可しないと手を出さないのに本人に攻撃しろとか、小精霊達がする訳ないだろう。


「何も起こらないじゃないか精霊にも愛想つかされたんじゃないか?お前の言う無能だな、お前自身も」


オルトレー公爵が煽る煽る俺も笑うの必死に我慢してるんでそれぐらいにしてください。


「ふざけやがって、だが今頃帝国軍が

オーストを襲撃してるころだろうよ、フロンも蹂躙されるお前たちも死ねばいい!」


そこまで聞いてまず口だけ凍らせる。


「もう十分でしょう?これ以上は耳が腐る」


オルトレー公爵に確認をとる


「ああ、オーストに兵を出さねばならんしな。」


「オースト?でしたか俺に任せてくれませんか飛んでいけば間に合うかもしれません。」


「そうだな頼めるか?」


「お任せ下さい。」


「待て、コウ私もついて行くからな」


フィアがついてくるって言ってる


「当然です。俺一人じゃどこにあるか分かりませんから。」


結局、俺、フィア、エルさん、

ケルディオさんの4人になった。

大鷲を作り出しフィアの指示する方向に

飛ばす。今回は前方に目に見えないくらい

薄い氷を流線形に作って置いている。

風も来ないし、スピードも阻害されない。


「このスピードなら3時間もすれば着きそうか?それにしても全く風が来ないが何をしたんだ?最初乗った時は凄かっただろう。」


だよねだから改良したんです。


「前方に目に見えないぐらい薄い氷を作ってるんです。」


その後も街の特徴などを聞きながら飛んでいると、街が見えてくる。あちこちから火が上がってる。それにあれは熱気球か?

上から街を爆撃してるみたいだ。

精霊化して小精霊に命令する。


「雨を降らせろ、後は熱気球の周りの温度を

極端に下げろ」


雨も降って、気球部分の温度を下げれば、

熱気球なら勝手に墜落してくれるだろう。

案の定、熱気球達はドンドン高度を落としている。


「コウはあれを知ってるのか?」


まあ気になるよね。

帝国のスパイだとか思われてもおかしくない


「俺の前の世界にあった空を飛ぶ乗り物です。比較的再現しやすいものだとは思いますが 、ドリフターか召喚者がいるんでしょうね。」


それを聞いた同行者達は少し不味そうな顔をしている。


「帝国にいるとなると厄介だ。皇帝が自ら神だとか言って教会を追い出す奴らだ。帝国に召喚者が召喚されたとは考えにくい」


面倒事の匂いがプンプンするな。


「まずは街を救いましょう」

「そうだな」


スピードをあげて一気に近づく。

壁があってもこの速度はきついな。


「まずは壁に空いた穴を塞ぐか」


そう言って穴を氷で塞ぐ

中は敵味方の判別が難しいので、外にいる兵士から凍らせていく。

すると後ろの方で巨大な火柱が上がった。

「中々面倒くさそうなのがいるな。直接今の奴を倒しに行ってきます。皆はオーストの人に説明お願いします。」


「分かった、死んだら絶対許さないからな」


「まだまだ死ぬ予定はないです」


火柱が上がった方向に向かうと人間と火の精霊がいた。


「やっぱり精霊か」


オーラが凄いこれ上位精霊とかじゃないの?


「なんださっきのは精霊じゃなかったのか

まあいいサラマンダー奴を焼き殺せ。」


ブレスを放って来たので。

氷の壁を作りガードする。


「結構、本気で作ってるんだけどな。」


ドンドン溶けてしまってる。


「当たり前だ中位精霊サラマンダーだぞ、その程度で防げるものか」


まあ、それなら数を出して対処すれば良い。

何とか防ぎきる


「な、人間ごときが防ぎきっただとサラマンダーめ私が使ってやってるんだぞこの約立たずめ」


男が持っている道具に魔力を流し出した。

するとサラマンダーが苦しみ出す。


「お前、精霊をなんだと思ってる!」


「私が使ってやると言ってるのに大人しく従わないからこうなるんだ。」


もう我慢の限界だ。


「お前はもう死ね。顔も見たくない。」


(条件を満たしたため称号、水の精霊王を目指すものは、水の精霊王の卵に変化しました。)


精霊化をして一気に凍らせていく。


さっき迄とは、比べ物にならないぐらいの力を出せる。


「全て等しく凍りつけ〈コキュートス〉」


一瞬で周りが凍りつき名前も知らない男も

凍っている。

サラマンダーは火を出し抵抗している、徐々に凍っていってる。

最後には完全に凍ってしまった。


「水の精霊王就任、おめでとう。」


突然後ろから声が聞こえ、振り返ると、この世界に来て初めて友達になったやつがたっていた。


「久しぶりフェムト精霊王ってこんな簡単になれるものなのか?」


卵ではあるが精霊王になってしまった。


「今回は特例だよ実は水の精霊王不在っていうのは結構大惨事でね。僕が騙し騙しやってたんだけどもう限界だったんだ。それこそ世界崩壊の危機ぐらいには」


割とやばかったらしい。

だから今回は簡単になれたと。


「そう、条件は一つだけ精霊への接し方がどうかのみ、もしコウが今回殺した男みたいなやつだったら大変でしょ」


成程、男に切れたからOKと

「後、早く凍らせていくのやめた方がいいよ?街まで冷気が届いてるだろうし、このままじゃ街まで氷漬けだよ」


やっべ切るの忘れてた。


「まあ、既に今凍っているところは一生このままだし。生き物は魔力で保護しないと凍ってしまう土地になっちゃてるけどね」


そんなことになっちゃてるの!


「どのぐらいの範囲がそうなってるの?」


「半径10キロぐらいかな」


やばい、街の人になんて言おう


「後サラマンダーはあれでも大丈夫なんだよね。」


直感だが大丈夫と感じたのでそうしたのだが。


「大丈夫だよ今頃本体は精霊界さ」


それなら良かった。


「心配してるだろうし、そろそろ街に行くよ

ここの説明もしなきゃいけないし」


なんて言えばいいんだろう?

正直に言うしかないか。


「そっかじゃあ僕も帰ろうかな、そうだ

精霊界に来れるようになる魔法教えるから

今度遊びに来てよ」


そういい〈精霊門〉という魔法を教えてもらい。

(行ったことのある場所に繋がる魔法らしく練習がてら一瞬だけ精霊界にもいった)

覚えたところでフェムトと別れた。


「言い訳考えながら歩いて行くかー」


ゆっくり歩いて街を目指すのだった。


読んでいただきありがとうございます。

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