ほのかに香る

ぴんくのーと

第1話 不思議な日

高校1年生の私、桃海ももみほのかは、今日も学校に行く。

いつものようにニコニコと笑顔で。


「なんで、ニヤついてるの?」


ほのかの友達、音那おとな夢乃は、ほのかの顔を覗き込む。


「ニヤついてないよ!気のせい気のせい!」


(アニメの主人公気分だったなんて、絶対に恥ずかしくて言えない。)


「そういえば、今日は雨予報だったのに晴れたね!」


「うん!そうだね!良かったぁ!」


次の瞬間


バンッ


ほのかは誰かにぶつかった。


「すみません。大丈夫でしたか?」


そこには倒れた30代くらいの女がいた。


「大丈夫よ。私はもうすぐ死ぬから。」


(この人、病気なのかな?)


「そうだ。私の大切なものを受け取ってくれない?」


そう言うと、女はカバンから小さい瓶を取り出した。


「これは私の大切なものなんだ。この瓶の中には特別な飲み物が入っていてね。これを飲むとびっくりするほど体が軽くなるの。私はこの最後の1本を飲むことなく死ぬことになるでしょうけど…」


(この人なんか怖いな。)


「これは最後の1本なの、無駄にしないでね。」


(これで私はこの使命から解放される。)


そう言うと女は去っていった。



「さっきの女の人不思議な人だったね。」


「うん。この瓶どうしようかな?」


「捨てた方がいいと思うよ。」


「私もそう思ったんだけど、無駄にしないでって言われたからなぁ。」



教室についたほのかは、まるで取り憑かれたかのように、その瓶を開けて飲んでいた。


ゴク、ゴク、ゴク、ゴク。


「ほのか…どうしたの?なんで飲んだの?」


震えながら夢乃はほのかを見る。


「なんでだろう。そこに瓶があったからかな!」


「もう、何それ!」


夢乃はいつものほのかで安心した様子だった。



しかし、次の日ほのかに異変が起こった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る