第14話 リトルドール

『わたしのちいさなオモチャたち第10話 春』と短編小説『縮小転移星人ちゃん』を先にお読み頂く事をオススメします。

(OvO)






「オモチャ………!?」


 200人のこびとたちが一斉に騒ぎだした。

 助けてくれると言っていたのは嘘だったのか。やっぱり最初から助けるつもりなどなかったのか。

 抗議の声を上げるこびとたち。

 だがしかし、自分の大切なワンピースを燃やした彼らにそんな事を言われる筋合いはない小百合は、薄ら笑いを浮かべながらつま先の前にいるこびとたちに話しを続ける。


「じゃあまずはわたしの足の指に登ってもらおうかな♪ちなみに言うことを聞かないダメなオモチャは~………。」


 ズギュギュギュギュギュゥッ!!!


「うわあぁぁあッ!」


「ひいぃぃぃいッ!」


 つま先をこびとたちのいる所まで滑らす小百合。ただそれだけの行為でさえ、こびとたちに恐怖心を与えるのには充分だった。

 高層ビルよりも大きな小百合の両足が一瞬ですぐ目の前にまで迫ってきたのだ。

 しかも素足である為潤沢な足裏とフローリングとの間に摩擦が生まれて発せられた摩擦音が、こびとたちにはまるで怪獣の鳴き声のように聞こえていた。


「………わかるよね………?」


 天から轟く小百合の呟き声。

 こびとたちの視界は小百合のビルのような大きさの2本の足の親指で埋め尽くされ、小百合の顔を拝むことさえもできなかった。

 目の前に聳える10本の足指はとても広大で、小指までの距離でさえ80メートル程もあった。

 こびとたちからは足指の底辺部しか見えず、足の甲や爪も見ることができない。

 如何に自分たちが小さな存在なのか身に染みる想いだった。


「これを登れだって………?」


「冗談だろ……?デカ過ぎる……。」


「これがただの女子小学生の足の指だっていうのかよ………。」


「俺たちはメスガキの足の指以下の存在だってのかよ………。」


「こんなに間近で見たのは初めてだ………。これが奴の本当のデカさなのか………。」


「バカ言え!奴は体育座りしているんだぞ!それも目の前のこれはただの足の指だ!もし奴がこの距離で立ち上がったら………。」


「あぁ……頭じゃ理解できない位の大巨人を足元から見ることができるだろう。まぁ最も……俺たちじゃ結局足の指の底辺しか見えねぇんだけどな………。」


「………次元が違い過ぎる………。」


 あまりの壮大な大きさに不覚にも感動を覚えるこびとたち。


「………ねぇ、何してるの………?」


「!!!!!」


 怒気を含んだ小百合の声が響き渡り、我に返るこびとたち。


「もしかして……みんな役立たずのオモチャだったのかな………?じゃあ、もう要らないよね………。」


 怒っている。

 顔は拝めないが、間違いなく怒っている。

 このままでは殺されてしまう。


 自分たちの置かれている状況を把握したこびとたちは、恥も外聞もなく小百合の足の指に向かって走り出した。



 ※



 足の指にこそばゆい感触が伝わる。


「あはは、くすぐった~い♪なぁんだぁ、みんなやっぱり役に立つオモチャだったんだね~。よかった~踏み潰さなくて♪」


 身を乗り出して自分のつま先を覗く小百合。

 そこには自分の足の指の底部分でわらわらと動くこびとたちの姿があった。


「うひひっ♪もしかしてみんな足の指の上に登ることさえもできないのぉ?ちっちゃいって惨めだねぇ~♪」


 足指にも登れないこびとたちを見て嘲笑う小百合。


 か弱く愛しいこびとさんたち。


 憎き哀れなオモチャたち。


 愛と憎しみの感情が昂る。

 それに加えて、小百合の中では新たに嗜虐心が芽生えつつあった。



 一方、こびとたちは足指登りに悪戦苦闘していた。

 まずは足指付近の気温だ。

 お風呂上がりなのでまだ肌が温かく、特に指先の先端部はまだ桜色に染まっており真夏の炎天下にいると錯覚する程暑かった。


 次に足の匂いだ。

 お風呂で足を洗ったにも関わらず、尚も足の匂いは消えずに周辺に拡散していた。

 別に小百合の足が特別に臭いという訳ではない。ただ、1000分の1サイズのこびとたちにとっては小百合の足はあまりにも巨大な存在であり、その分体臭も1000倍になっているだけなのだ。

 また、足指との距離がゼロに近いというのもあるだろう。石鹸の力を以てしても消え切らない小百合の足の匂いは、足指登りに励むこびとたちの鼻を確実に狂わせていった。


 最後は小百合の足の指の大きさだ。

 どの足指も軽く10メートルは優に越える高さを誇り、最も身近にある親指に至っては20メートル近くはある。

 例えこびとたちの身長が2メートルだったとしても、梯子もなしにこれを登るのは至難の技だった。

 しかも足指の底辺部は地に着いておらずこびとたちの真上に天井の如く存在している為、登り始めるにはまず天井に引っ付く姿勢にならなければいけない。

 虫でもない限りそんな姿勢は不可能だった。

 そして追い討ちをかけるように、小百合の足の指は常にごりごりと音を立てながら動き続けている。

 だがこれは小百合が意図して行っている事ではなく、自らの体重を支える為の無意識下での微動に過ぎない。

 だがこの無意識による微動はこびとたちにとっては地を揺るがす激動であり、動き続ける巨大な足指は近付くことさえ困難だった。


「畜生!暑いし臭ぇし動くしで全然登れねぇじゃねぇか!」


「ていうか足の指に引っ付くことさえできねぇ……はぁ……はぁ………。」


「このままじゃ全員まとめて磨り潰されてしまう………!クソッ!一体どうしたらいいんだ………!」


 焦るこびとたち。

 足指の上にさえ登れない自分たちの無力さを呪う。

 だがそれよりもこの巨人の機嫌を損ねてしまう事の方が問題であった。

 今、巨人はどんな気持ちで我々を観察しているのか、気が気ではなかった。



 ※



 小百合は高揚感に浸っていた。

 大の大人が揃いも揃って自分の足の指に登ろうと必死になっている。

 その事実に嗜虐心が刺激される。

 もっと可愛がってあげたい。

 もっと苦しめてあげたい。

 足元にいる200人のオモチャたちでどう遊ぼうかと思考を巡らせる小百合。


「………あ………そうだ……クスッ………。」


 悪い顔をする小百合。

 宣告もなしにこびとたちが群がる足の指を開いた。足指にしがみこうと密着していたこびとたちは無防備のまま床に弾き飛ばされていた。


「みんな苦戦してるみたいだから、ここでサービスターイム!足指の間なら少しは登りやすい筈だよ。さぁ今がチャンスだ!がんばれ~♪」


 小百合の楽しそうな声が響き渡る。

 だが床の上では弾き飛ばされた数名のこびとが全身複雑骨折の瀕死状態に陥っていた。

 小百合が足の指を開いただけで、数名のこびとたちは再起不能に陥っていた。


「いでぇ……!いでぇよぉ……!」


「俺……首……どっち……向いて……。」


「あがっ……かっ…!たず…げで……。」


 痛々しい姿になった人たちを見てゾッとするこびとたち。

 自分たちがもしあのタイミングで足の指にくっついていたらと思うと恐ろしかった。


「こいつらはもう助からない……切り捨てるしかないだろう………。」


「そんな………まだ死んだ訳じゃあるまいし………!」


「死んだも同然だろ!そんな事より、あの女巨人の言葉を聞いたか!?足の指の間の空間が広がっている!登るには今しかない!」


「そ、そうだ!この機を逃す手はない!急げみんな!」


 負傷者を放置して一斉に最寄りの足指の間に向かうこびとたち。

 近付くにつれて視界の両側に大きな肉の壁が広がっていく。

 同時に足の匂いもより強力になる。悪臭漂う渓谷へとこびとたちは走っていった。



 ※



「ふふっ、大勢の人たちが足の指の間に入ってくる………。かわい~。」


 教えた通りに足指の間に集まるこびとたちを見てほくそ笑む小百合。

 遥か上空からちいさな人間たちを操るのはさながら神になった気分だ。

 いや、正確には女神だろうか。

 とにかく絶対的な力を持つ自分の壮大さに小百合の高揚感は更に高まっていた。


 そして芽生えて間もない嗜虐心もまた急速に高まっていく。

 暫しこびとたちの様子を見た後、心の中の嗜虐心を露にする。


(みんなちゃんと登れたかな………?そろそろサービスタイムの終了時間だよ~?急がないと………うひひ♪)


 小百合はゆっくりと足指に込めていた力を抜いていった。



 ※



「はぁ……はぁ……よし!何とか登ることができたぞ……!」


 小百合の足指の上に黒い点がポツポツと現れだす。足指の間にしがみついて登ってきたこびとたちだ。

 彼らは続々と足指の上に到着していった。

 到着者が半数を過ぎたその時。


 ズズズ…ズズズズズ………!!


 大きな震動がこびとたちを襲う。


「な、何だ!?何が起きている………?」


 いち早く足指の上に着いた集団が這いつくばりながら辺りを見渡すと、先程まで開いていた足指の間の空間が徐々に閉じられているのだ。


「おーーい急げーー!足の指が閉じられていくぞーー!」


 頂上から大声で叫ぶこびとたち。

 しかし彼らも震動に足を取られて落下するのを防ぐ為、足指にしがみつくので精一杯だった。


「う、うわあぁぁああぁぁあッ!!」


 まだ登っている最中だった人々は震動に耐えきれず皮膚から弾かれて床へと落下して行った。

 足指の間にはまだ100人程のこびとたちが取り残されていた。


「ひいぃ!か、壁が……迫ってくる……!」


「足が動かない……!誰かッ!誰か助けてくれぇッ!」


「待ってぇ!待ってえぇぇええ!」


 小百合の小さな足指よりも更にちいさなこびとたちの姿が消えていく。

 小百合が足の指の力を抜いただけ。

 たったそれだけで、自然に元の位置に戻ろうとする高さ10メートルの肉の壁が間にいた小さな人間たちをその圧倒的な質量で圧死させていった。


「あぎゃッ!!」


「ぐぎゅッ!!」


「ぷぎぃッ!!」


 プチプチと潰されていくこびとたち。

 その遥か上空では足指に伝わる感触と潰れゆく様を見て冷笑を浮かべる小百合の顔があった。



 ※



「~~~~~ッ!」


 なんという快感。

 なんという優越感。


 足指の力を抜いただけで多くのこびとが死んでいった。

 何の抵抗もできずに。

 みっともない声を出しながら。


 こびとたち『で』遊ぶのがこんなに楽しかったなんて知らなかった。

 生かすも殺すも自分の気分ひとつで決められる扱いやすいオモチャ。

 命令を聞いたり逃げ出したり、泣き叫んだりとそれぞれに個性があって面白いオモチャ。

 自分と同じ知能のある人間がただ小さいというだけでわたしに好き放題に弄ばれ惨めに死んでいくという、えも言われぬ背徳感と優越感を楽しめるオモチャ。


 こんな素晴らしいオモチャと出会えてとっても嬉しい。

 きっとあの女の子は『お友達』としてじゃなくて、『オモチャ』としてわたしにプレゼントしてくれたに違いない。

 今までちょっと使い方を間違っていただけなのだ。

 オモチャはちゃんと正しく使わないといけない。



 ………もっとあの子が意図した通りの使い方をしないと。



「ねぇみんな………。そこからこの手に飛び乗って………。」


 自分の足の指の上にいるこびとたちに語りかけ、両掌を足の両側に置く小百合。

 残り100人となったこびとたちを掌に乗せて移動を始めた。



 ※



 ベッドで仰向けになる小百合。

 その白くか細い身体の表面には100人のこびとが散らばっていた。


 顔の上に20人。

 胸の上に30人。

 恥丘の上に35人。

 お尻の隙間に15人。


 小百合から言い渡された最後の命令「わたしを気持ちよくして」を実行する為に各場所に配置されていた。


「さぁ……はじめて………。」


 そう合図する小百合の声は、小学生とは思えない程妖艶な声色だった。


 言われるままに小百合の各部位で愛撫を始めるこびとたち。

 片方につき15人のこびとが配置された両胸では早速全力を以て乳首を責め始める。

 最も人数の多い恥丘では陰核を中心に刺激し、残り数人は陰唇の入り口や陰毛の生え際を担当していた。

 お尻の隙間という窮屈な空間を任された15人は目の前にある巨大な肛門を恐る恐る弄りだした。

 しかし小百合の顔面上に配置されたこびとたちは一体何処を愛撫すれば良いのか分からず、額の辺りを右往左往していた。


 見兼ねた小百合はなるべく小さな声でこびとたちに伝える。


「顔の上のみんなは鼻や口を刺激してね~。」


 鼻?口?そんな箇所を刺激して何が気持ち良いのか?

 甚だ疑問だが言われた通りに従わなければならない。さもなくば無慈悲に潰されてしまうだけなのだから。


 斯くして顔の下側に向かう一行。

 途中で見かけた定期的に開閉して突風を巻き起こす巨大な両目に怯えながら、ようやく鼻と唇付近に到着した。

 鼻と唇は呼吸による空気の吸入と排出を繰り返しており、下手をすると巻き込まれる可能性があった。


「危ねぇ……こんな所どうしろってんだ………?」


「知らねぇよ!とりあえず蹴っ飛ばしときゃいいんだろ!?」


 深く考えずに唇をゲシッと蹴る男。

 すると男の足は上唇にぺたっと貼り付いてしまった。


「あ!クソ!くっついちまった!このっ……このっ……うわぁ!」


 男は足を引っ張るがびくともせず、逆にバランスを崩して上唇に仰向けで倒れてしまった。

 男は仲間に助けを求めるが、自分たちにも危険が及ぶと考えた仲間たちは男を見守ることしかできなかった。


 ごおおおおおおおおおおうぅッ!!!


 突如として唇から発せられた規格外の大音量に鼓膜をもっていかれるこびとたち。

 それが単なる感情の昂りによって発生した喘ぎだったとは誰も気付かなかった。


 聴覚を失ったこびとたちは耳から血を噴き出してもがき苦しんでいた。


 ズズズズズズ………!!!


 すると唇の間からテカテカと光るグロテスクな肉塊が姿を現した。

 小百合の舌である。


「うぎゃああ!助けてぇぇええ!!」


 上唇に貼り付いた男が発狂する。

 赤くざらついた巨大な舌は唇周辺をぺろりとひと舐めし、10人余りのこびとを口内に連れ去っていった。

 絡め取られた人々の悲鳴は唇が閉じられると同時に聞こえなくなった。

 残り数人はその場から逃げ出そうとするも背後の鼻からの吸入によって一瞬で鼻腔の奥深くへと吸い込まれていった。


 小百合の顔の上にいた20人は配置されて僅か5分足らずで全員死亡した。



 同時刻、お尻の隙間で肛門を叩くこびとたちはその巨大なゲートがヒクヒクと動きだした事に驚いていた。

 嫌な予感がした者たちは肛門から離れようとしたがお尻の隙間は密閉空間になっており、脱出は不可能だった。

 そしてその直後、


 ブフォォォオオオオオオオッ!!!


 菊の花が開かれ、中から凄まじい爆風が噴き出してきた。

 小百合がおならをしたのである。

 おならはお尻の隙間の中で渦巻き、トルネードのような嵐を引き起こした。

 当然その場にいたこびとたちはその規格外な放屁によって吹き飛ばされ、衝撃波によって四肢がバラバラになってしまった。

 数人は運良く五体満足であったが、お尻の隙間に漂う濃厚な異臭に耐えきれず、静かに物言わぬ死体となっていった。



 ※



 小百合は快感に酔いしれていた。

 舌舐めずりをして鼻で息を吸って小さなおならをする。

 これだけの行為だけで35人のこびとが死んでしまった。

 どれもたいした攻撃行動ではないのに、無意識の動きや生理現象で人を殺してしまった。


 自分はなんて強いのだろう。

 これじゃあまるで無敵じゃないか。

 神話に出てくる女神も同然だ。

 そう考えるだけで股間が激しく疼く。


 正直のところ彼らの愛撫なんて何の足しにもならない。刺激未満の感触だ。

 だがこれがちいさな人間たちが全力で与えているものだと考えると、物理的な刺激を遥かに越える感情の昂りを得ることができた。

 この快楽こそが、このちいさなオモチャたちを正しく使った故に得られる賜物なのだろう。


 そろそろ我慢の限界だ。

 乳首がむず痒さから解放されたがっている。

 アソコがもっと大きな刺激を求めている。


 小百合は更なる快感を求めて、胸と股間に両手を移動させた。



 ※



「ぎゃあぁぁあッ!」


 必死に乳首を責めるこびとたちは上空を占領する巨大な掌に悲鳴を上げていた。

 掌は形を変えて親指と人差し指で乳首を摘まむように位置取られ、その太く大きな指で乳首を刺激し始めた。

 乳首を囲んでいたこびとは指と乳首に挟まれぐりぐりとこねくり回されていた。

 翻弄されるこびとたち。


 遠くから大気を震わす大きな声が聞こえる。小百合が感じているのだ。

 こびとたちは自分たちの必死の愛撫は結局何の意味もなかったのだと気付かされた。

 その直後小百合の乳首が熱を帯びながら大きく膨張しだす。

 より大きく硬くなっていく乳首は、最早先程までのサイズとは比較にならなかった。

 そして一層激しさを増す指での愛撫。


 本格的な自慰が行われる最中、既に指と乳首の間には人の形を成すものは存在していなかった。

 その代わりに乳首には赤色の潤滑油が纏わりついていた。



 ※



 小百合の股間で汗だくになりながら働くこびとたち。

 そこにはかつて小百合の遊びに付き合わされたこびとがいた。

 小百合が感じた時に出した愛液にいち早く気付き、かつ仕返しの際にリーダーとして指揮をとっていた例のこびとだ。

 彼は今回の大虐殺で運良く生き残り、運悪くまた小百合の股間の上に立っていたのだ。


「クソッ!こんなメスガキの性の玩具にされるなんてッ!なんて人生だッ!」


 クリトリスの上で不満を口にする男。

 自分が小百合覚醒の引き金になったことを棚に上げ、怒りに任せて足下の陰核を蹴り続けていた。

 陰核は全く包皮から出てこようとしない。

 男は自分の全力の蹴りが何の刺激にもならないことに内心ショックを受けていた。

 大の大人が女子小学生の陰核相手に全く歯が立たないだなんて………。

 男は自分の無力さにうち震えていた。


 ゴゴゴゴゴ………!!!


 大気が鳴動する。

 股間のこびとたちが空を見上げる。

 そこには股間に向かって伸びる小百合の広大な掌があった。

 突然の出来事にパニックに陥る群衆。

 その巨大な手は陰唇の手前で止まり、真下にある陰毛の林に降ろされた。


 ゴオォォォオオリッ!!!


 ゴオォォォオオリッ!!!


 5本の大きな指が陰毛の林をまさぐる。

 その光景はまるで5匹の怪獣が並んで辺りを蹂躙しているようだった。

 こびと目線で見ても決して広くない陰毛の林は余すところなく掻きむしられていた。

 陰毛の生え際にいた数人のこびとたちの生死は火を見るより明らかだった。


 暫くすると今度は陰核に向かって指が迫る。

 例の男は咄嗟に陰核から飛び降り、50メートルもある巨大な割れ目の中に自ら落ちていった。


「うわあぁぁああッ!」


 ズブッ


 落ちた先は丁度膣の中心だった。

 内部から溢れてきた愛液の上に落ちたのだ。


「ぶはッ!クソッ!やっちまったッ!これじゃ逃げ場がねぇッ!」


 何とか愛液から顔を出した男は真上を仰いだ。


 手は陰核をくりくりと弄くっていた。陰核を愛撫していたこびともろともだ。

 30人以上で責めても何の反応もなかった陰核が、徐々に巨大化を始める。

 包皮の裏側からその全体像を露にし、更にムクムクと丸く膨張していく。


 陰唇付近にいた数人のこびとたちは震動の余りその場に這いつくばっていた。

 もし振り落とされたら割れ目の中へまっ逆さまだ。

 そう思いながら耐え忍んでいると、陰核を責めていた指が陰唇の方に近づいてきた。

 こびとたちは悲鳴を上げて逃げようとしたが、中指が割れ目の中に挿し込まれた際にできた隙間へと転がり落ちてしまい、結局割れ目の中へ落ちていったしまった。


 一方、例の男は止めどなく溢れる愛液の中で立ち泳ぎしながら好機を窺っていた。

 このまま愛液が上昇していけばいずれ陰唇から溢れだす筈。それまで何とか溺れずにさえいれば、ここから脱出できる。

 むせ返るような甘酸っぱい匂いとドクンドクンと脈動する肉の壁に困惑しながらも、男は最後の最後まで諦める姿勢を決して崩さなかった。


「ぶはッ!もう少し…もう少しで……!」


 頭上の出口まで後もう少し。


 その瞬間だった。


 膣の奥深くから声が聞こえた。

 男は耳を疑う。

 他のこびとたちの悲鳴かとも思ったが、どうも違う。

 男は真下の暗い空間を見つめていた。


「………何だありゃ………?」


 膣の奥深くから愛液に混じって何かが急接近してくる。

 透明の愛液から白く濁った線が伸びてきたのだ。


「ひッ……!?何だこれはぁッ!?」


 ソレは愛液に包まれた男の足に絡みつき、膣の奥へと引っ張っていた。

 堪らず足を動かして振り払おうとするが、下手に動くと顔が愛液の中に埋もれてしまう。

 男は必死に足に巻き付く白い線を蹴り取り除こうとした。


「………ニガサナイ………。」


「へっ………!?」


 また声が聞こえた。

 何かが自分を逃すまいとしていた。

 だが女性器にそんな機能も声を出す器官もある訳がなかった。


「何だよ!誰だてめぇ!?」


 男が震えながら吠える。

 すると白い線は膣の奥深くで増殖し、白い身体に赤色の瞳を持った人型へと変形していく。

 そして男を睨みながら呪詛の言葉を言い放った。


「コノコヲイジメルヤツハ……ワタシガユルサナイ……ゼッタイニニガサナイ…!」


「ひーーッ!ひーーーーーーッ!!」


 あり得ない。

 白濁人間が膣の奥から自分を逃すまいと足を引っ張っている。

 こんな事ある筈がない。

 幻覚でも見えているのか?

 恐怖の余り頭がおかしくなってしまったのか?

 男はパニックになってた。

 未曾有の出来事に泣き叫んでいた。


 ゴゴゴゴゴ………!!!


「………ひ……………?」


 男の周囲が一気に暗くなる。

 真下に気を取られていた男はふと天を仰ぐ。


 小百合の巨大な中指が自分めがけて接近していたのだ。


「………!!あ………あぁ………!」


 絶望に打ちひしがれる男。

 足に違和感を感じ見下ろすと先程の白い生き物は足に絡みついていた線と共に消えていた。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!


「あああぁぁぁああああッ!!!」


 小百合の中指に衝突され指の腹に貼り付く男。

 男はそのまま膣の奥深く、子宮の入り口まで中指と共に愛液の底へと消えていった。



 ※




「あっ…あうッ!ぎぃもぢぃぃ~……!」


 快楽の余り変な声になる小百合。

 こびとを使ったオナニーがこんなにも心地よいとは思わなかった。

 膣の中の愛液をじゃぷじゃぷと粘性のある音を立てながら中指でかき混ぜる。

 時折膣壁に指の腹を擦り付けたり、気持ちの良い部位をぐりぐりと責めたりしながら、指を高速でピストンさせる。


「ん……あぁッ!もうダメぇ!イク……イっちゃうぅぅううああぁぁああッ!!!」


 ベッドの上で小百合の愛液がぷしゃあああっと勢い良く噴き出す。

 膣は最大限まで締め付けられ、中指以外の隙間は無くなっていた。


 小百合の頭の中は、絶頂を迎えた高揚感とオモチャをくれた女の子への感謝の気持ちでいっぱいになっていた。


 ベッドに背中を投げ出し横になる小百合。

 幸せを噛み締めながらそのまま深い眠りについた。

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