第4話 オモチャの使い方

小百合は街の真上に立つと徐々に腰を下ろしていった。そして街の手前側に内股座りの格好で座り込んだ。


 ズズゥゥゥン………!


 臀部の下にはいくつもの住宅街と商業施設が建ち並んでいたが、それらは砂でできていたかの如く跡形もなく崩れていった。建物の中にはまだ多くの人々が残っていたが、小百合は気にもしていない様子だった。

 なんとかぺしゃんこになるのを避けた周囲の人々は小百合が座る際の地震のような揺れによって立つことさえできなかった。上空には上半身だけでも壮大なスケールを誇る小百合が瞳を輝かせており、まるでこれからオモチャを使って遊ぶ無垢な子供のようだった。

 そして目の前には肉で構成された超巨大なクレバスが広がっており、中は艶々とした大きな肉の洞窟が意思を持ったようにピクッピクッと蠢いていた。そしてその生きた洞窟からは小さなビルさえも容易く飲み込んでしまう量の愛液が溢れだし、股の間の街並みをその甘酸っぱい匂いと共に包み込んでいった。


「どう?こんなに近くで小百合のおまんこを見られるなんて嬉しいでしょ?触ってもいいんだよ?」


 頬を紅く染めながら小百合は小人たちに自分の陰部へのタッチを促したが、小人らにそんな余裕はなかった。強い粘液を持った大量の愛液が押し寄せて来るのだ。あれに取り込まれたら最期、死は免れない。

 そして何よりも、そんな惨めな死に方はご免だった。そこにいるひとりひとりが人間としての尊厳ある死を望んでいたが、これでは真逆だ。

 少女の性欲を満たす為に自慰の玩具オモチャとして消費される。いくらなんでもこんな死に様だけは迎えたくない。ひとりの人間として死にたい。

 尊厳死を守る為必死に人々は走るが、無情にも1000倍の差は大きかった。1ミリにも満たないゴマ粒サイズの小人たちがいくら全力で走ったとしても、小百合からすれば全てが股下の出来事。彼女にとっては小人の逃げ足など遅すぎるのだ。自分の割れ目から流れる愛液は小人たちの走る速度とは比べ物にならない程に速かった。例え車や電車で逃げたとしても、程なくして追い付かれてしまう位の速さだった。


「あんっ、みんなわたしのおまんこから出る愛液からさえも逃げられないの……?やだぁ、余計に興奮しちゃうよぉ~♪」


 小百合がクスクスと笑う。股下では次々と街の人々が粘液に飲み込まれていった。



 ※



 一方その頃小百合から離れた位置にいる街の住民たちは、突然の彼女の振る舞いに未だに戸惑っていた。


「小百合ちゃんが……まさかあんなことをしでかすなんて………。」


「あんなに優しかった小百合ちゃんがこんなことする訳がない………そうだ!これはきっと夢だ、そうに違いない!」


 中には小百合の横暴を未だに信じられずに現実逃避している者もいた。しかし目の前で起きている光景は間違いなく現実そのものであり、その証拠に街の住民は皆小百合の素足の匂いで目や鼻が刺激されておりその苦痛はまだ続いていた。


「くそ………俺たちはこのままアイツのオナニーの道具として死ぬしかないのか………?」


「冗談じゃない!ここで惨たらしく死ぬくらいなら、やつに一泡吹かせてやる!」


 小百合の裏切りに腹を立てた者たちはなんとか反撃してやろうと考えた。だが幾人の者がいくら知恵を絞っても、このサイズ差で自分らに一体何ができるのかは全く分からなかった。


 結局のところ、現実逃避しようが打つ手を考えようが彼らは無力であり、この惨状は現実なのだと認める他なかった。

 今彼らができることはただひとつ、死に物狂いで逃げることだけだった。


「じゃあ、今度はわたしのおっぱいに触らせてあげるね。ちっぱいだけど、皆からしたらきっとすごくおっきいから問題ないよね♪」


 上空から彼女の話す声が聞こえる。鼓膜が破けそうになる程の音量だが、何を言ったのかは理解できた。

 しかしそれは彼らにとって喜べることではなかった。


 ゴゴゴゴゴ………!!


 街に巨大な小百合の上半身が影が落とす。曲げていた脚を伸ばして上半身を前に倒していった。

 開脚前屈の姿勢である。

 圧倒的な質量を以た小百合の上半身が大気を震わして降りてくる。身体が傾くにつれ小百合の小さな乳房が重力に引っ張られてゆっくりと垂れていく。

 ………といってもちっぱいなので殆ど変形しなかったのだが。


 街の人々は上から迫り来る巨大な乳房とその先端にある乳首がはっきりと見てとれた。



 ※



 ズリッ………!


「ん……ッ!感じるよ!みんなの街がわたしのおっぱいに潰されていくのが!」


 乳首が街のオフィス街周辺に触れる。ひんやりとした冷たさと尖った造りが気持ち良い。そのまま乳房を降ろすと建物は勃起した乳首に耐えきれずに崩れ、乳房が乳首を中心に周囲の街並みを飲み込んでいった。小百合は自分の乳房が少しだけ拡がったように感じた。

 小百合のちっぱいは1000分の1サイズの街の二区画をクレーターへと変えた。ふたつの穴にはかつてそこに在った筈の街並みの痕跡は見られず、全てが土色と化していた。

 小百合は身を起こすと眼下のふたつの穴を見下ろした。


「うわあ、キレイに小百合のおっぱいの型ができたねぇ。………ふふ♪小百合のおっぱいに揉まれて死ぬなんて、幸せ者だよね♪」


 たった今千人以上の人間を殺めたとは思えないような黄色い声で楽しそうに喋る小百合。街の中は何処も阿鼻叫喚だったが、小百合の雷のような声によって全てかき消されていた。


「まだまだいくよー!次はみんな大好き小百合ちゃんとのチューだよ!」


 小百合はもう一度上半身を街に近づけた。両手を先程作ったふたつのクレーターに固定して今度は顔を降ろしていった。

 街の人々は巨大な小百合の顔面を見上げて狂ったように泣き叫んだ。近づいてくる小百合の顔のサイズが桁違いなのだ。屈託のない少女の笑顔がこれ程までに恐ろしいと思ったことはない。こんなにも自分たちは小さいのかと改めて思い知った。巨大な女神の微笑みに人々は畏怖した。


 小百合は地表に近づくとそっと目を閉じ、その滑らかなピンク色の唇を街の駅辺りに押し付けた。


 グシャ………!


 小百合の柔らかい唇が駅周辺を押し潰す。プルンと弾けるような唇が強固な建築物を磨り潰す光景は異様なものだった。駅に避難していた多くの住民が、うら若き乙女のキスによって潰されていった。


「んん……んんん……… はぁん……♪」


 小百合は興奮のあまりハイになり無意識にベロチューを始めた。奇跡的に助かった人々はその唇から突如として現れた巨大な舌に恐怖した。

 淫らな音を出しながら艶かしく暴れ狂う赤い肉の塊は、駅の周りにいた人々を襲い始めた。

 地獄絵図とはこのことだった。舌に磨り潰される者、舐め取られてそのまま口内に運ばれ呑み込まれる者、歯に磨り潰される者、唾で溺死する者、舌と唇の間に挟まれて唇を彩る者。

 小百合がエロい声を挙げながら地べたの街を無心でベロチューしている間、その口元では真っ赤な陰獣が小人たちを蹂躙していた。


「んぁ……ん!いけないいけないッ!」


 夢中で街を舐め回していた小百合はハッと正気を取り戻す。ちょっとやり過ぎちゃったかな?と舌をぺろっ出して照れ笑いする。その舌にはまだ数名生き残っている人がいたが、小百合がその存在に気付くことはなかった。


「ごめんごめん!ついやめられなくて……。これで最後だから許してね♪」


 最後?と人々が不安に思うなか、小百合は残酷な言葉を吐き捨てた。


「さぁここまで生き残ったみんなには、わたしからの特別大サービスだよっ!今からこの街ごとみんなと生で『せっくす』してあ・げ・る♪」


 小百合はそう言うと両手を街の左右の端に置いた。手のひらの真下にあった街はズンッという音と共にぺしゃんこになった。

 そして街の手前側に両膝をついて街全体を自分の身体で覆った。小百合の呼吸が荒くなる。もう身体全体が過敏になっている。何処を刺激されても感じてしまうだろう。


「それじゃあみんな………いっぱい楽しんでね♪」


 愛情たっぷりにそう告げ、小百合は全身を街に擦り付けた。


 ドオォォォオオオオオンッ!!!


 これまでとは比較にならない被害面積だった。 小百合の顔や乳房、お腹、太腿、そして濡れてぐしょぐしょの股間が一度に落ちてきたのだ。街と殆どの建物がその下敷きとなった。

 小百合は身体中に感じる街の感触に、思わず身体をビクッと振るわせた。


「あふん……ッ!ちゃんと感じるよ 、みんなのこと!もっと……もっと動き回ってぇ!!」


 腰が勝手に動き出す。アソコが獲物を求めて街中を這い廻る。建物や人間が自分の下のお口に貪り喰われるのを感じながら、きっと怪獣に襲われているような感覚なんだろうなと他人事のように妄想していた。

 実際に小人たちからするとまるで怪獣に襲われている感覚だったのだが、この巨大な縦穴の口を持つ化物は怪獣ではなくただの女の子のマンコなのだ。まだ怪獣に殺される方がましだ。かつてない屈辱感を味わいながら人々は小百合の襞やクリトリスに磨り潰され、大量の愛液に溺れ、膣内へと取り込まれていった。


 膣内に囚われた小人たちがぴちぴちともがいているのが膣壁から伝わってくる。今、小百合の膣内には千人程の小人が囚われていた。

 自分と同じ姿をした大勢の小さな人間たちが自分の膣の中にいると思うと、少し滑稽であった。しかしそんな大衆を容易に体内に収めることができる自分はなんて壮大な存在なのだろうと、小百合は自身の圧倒的な大きさを改めて噛み締めていた。


「んあ……ふっ……あぁん…ッ!」


 街に小百合の淫らな喘ぎ声が響き渡る。通常なら性欲を煽る妖艶な響きに聞こえるだろうが、小さな人々にとっては鼓膜が破れんばかりの爆音と口から漏れだす熱い熱波でそれどころではなかった。


 気持ちよすぎて思わず指を入れてしまいそうになるが、それを必死に耐える小百合。きっと小人が指と膣壁の間に挟まれてプチプチと潰れていくのはさぞかし快感だろう。だが小人のみんなと約束したのだ。自分の指ではなく、みんなの街を使って絶頂を迎えることを。


「はあ……ッ!イクよ…みんな……ッ!」


 自分も、そして街もそろそろ限界だ。

 感情の昂りがピークに達しようとしている。陰唇の奥が究極の快楽を求めている。

 小百合は渾身の力を以て自分の膣を締め上げた。


「ん……ん〰️〰️〰️………ッ!!!」


 淫らな声を上げながらキュッとアソコに力を注ぐ。小人たちがもがき苦しむ肉壁の洞窟が一気に膨張し柔らかかった肉が硬直化する。そしてその奥から夥しい量の愛液を噴き出しながら膣内の空間が瞬時に圧縮された。

 いくら小さな小人たちでも、全力で締め上げられた膣圧の中で形を保てることは不可能だった。


 小百合の陰唇から更なる愛液が溢れだし股間周辺の街一帯を愛液の湖へと変えた。

 身体をビクビクッと痙攣させながらオーガズムを堪能する。全身に力が入り上半身は大きく仰け反り両脚は街を削りながら外側に拡がっていった。街全体に小百合の甲高い喘ぎ声が轟音となって響き渡り、街ひとつを使った盛大なオナニーは終わりを告げた。



 ※



「……………………はぁ………。」


 ゆっくりと息を吐き出して呼吸を整える小百合。強張った身体を脱力させてうつ伏せになり、暫し余韻に浸る。


 今回も最高だった。多くの命が自分のひとり遊びによって消えていった。

 わたしが気持ちよくなる為だけにだ。

 そんな儚い人生を送った小人に、小百合は心の中で感謝した。彼らもこれで浮かばれるだろう。

 むくっと起き上がり街の上で体育座りになる。街は廃墟と化していた。建物は全て崩れ去り、人気は微塵も感じられなかった。残されたのはわたしの身体の型と愛液の湖だけだった。


「あはっ、跡形もなくなっちゃった。」


 んーっと背伸びする小百合。どうやら満喫できたようだ。立ち上がりかつて街だった場所の角に手を置く。

 そこには透明のナイロンの端っこがあった。街は最初からナイロンの内側にあったのだ。

 角を剥がし手慣れた様子で上手に包み込む。自慰の舞台となった街は小百合の手の中で揉み砕かれ、ただの甘酸っぱい砂へと成り果てた。そのままギュッと縛りごみ箱へ投げ捨てる。


「さてと。次はどうしよっかなぁ。今度は二週間くらい我慢してみよっかな~。」


 独り言を呟きながら小百合は机の引き出しから手作りの大きなナイロンを取りだし、先程の場所に設置した。


「ふふっ♪これでよしと!」


 そう言って全裸のまま部屋を出てバスルームへと足を運んだ。



 ※



 シュンッ


 突如青空が消え、人々が騒ぎだす。辺りから自然が消え代わりに何処までも続く平面が現れた。空には太陽の代わりに巨大な蛍光灯のようなものが浮かび、遠くの風景も人工的な巨大建築物が建ち並んでいる。

 街中の人が状況を飲み込めない最中、大きな地震と共に遥か向こうで何かが動き出した。


「え……ッ!?う、うわあぁぁ!」


「きゃあぁ!何あれぇぇ!」


 人々は信じられない光景を目にした。遥か遠くにある巨大な建築物から人の足がにょきっと生え、その上にあり得ない大きさの少女が姿を現したのだ。

 遠距離にも関わらず見上げるようなサイズ感を誇る彼女は大きな欠伸をしながら背伸びをする。パジャマらしき服を着て眠たそうに目を擦る様子からするに、起床したばかりのようだ。

 一見日常的な光景だと錯覚するが、ここは屋外だった筈だ。女の子も山のように大きい。あまりの出来事に理解が追い付かない。

 巨大少女がふとこちらを見る。街の人々の背筋が凍る。彼女は眠たそうな表情から一転して笑顔で立ち上がりこちらに向かって地響きと共に歩み寄る。

 人々は悲鳴を上げて逃げ出そうとするが、あっという間に巨人の少女は街の手前に辿り着いていた。

 真下から見ると改めてその大きさに驚く。あまりの高さに顔が霞んで見える。目の前にある足の指ですら小さなビルのようなサイズだ。彼女からしたら我々はアリよりも小さい存在だろう。

 街の人々が命の危機を感じる中巨人はゆっくりと屈み、可愛い声で喋りだした。


「大丈夫だよ。わたしはただの人間で、ここはわたしのお部屋なの。ただ、あなたたちとこの街がとっても縮んじゃっているみたいなの。」


 人々は巨人の雷鳴のような声量に振るえながらも、その言葉の意味はなんとか理解できた。


「どうしてあなたたちがちっちゃくなってわたしの部屋に現れたのかよく分からないけど、わたしはあなたたちを見捨てたりなんかしないよ。しばらくここで匿ってあげるね。」


 そう言って彼女はニコッと笑顔を見せてくれた。どうやら彼女も状況が理解できないらしい。だが敵意はないようだ。それに、暫くは匿ってくれるらしい。人々は突然の出来事に一時は驚いたが、取り敢えず現時点で危険はないようだ。街の人たちは皆安堵した。


「わたしの名前は望月小百合。女子高生なんだよ。みんな、今後もよろしくね♪」


 小百合は街のみんなにそう話すと、もう一度にっこりと笑った。

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