玉座物語

木島別弥(旧:へげぞぞ)

第一篇

第一部 黒曜石の都

  黒曜石の都


 物語はここから始まる。ここは黒曜石の都。現代的な都市だ。東京という地名は、もっと広い場所を意味する。東京の中にある都市。それが黒曜石の都だ。



  巨匠


 人物の名は、巨匠。無名の作家だが、愛読者の女が巨匠と呼ぶので、この作家の名前は巨匠。この名前は、ある有名な文学作品に由来している。名前がパクリなくらいどうしようもない二流作家だ。それでも、名前は巨匠。愛読者の女が呼ぶ巨匠という名前が気に入って、周囲にも巨匠という名前を使っている。

 まだ若い。早熟の天才。

 女によればだが。女は、巨匠を大衆作家の中から探したことを自慢に思っている。



  税を払う


 巨匠は、所得税を払わなければならない。無駄なお金のない巨匠には、税金は痛い出費だ。なぜ、税金など払わなければならないのか。みんなが払う税金は誰がどのように使っているのか。

 黒曜石の都は、税率が高いことで有名だ。

 誰がどのように税率を決めるのかわからない。高い税金によって、黒曜石の都の豊かな暮らしが実現できていると政府はいうが、巨匠は豊かな暮らしができている気がしない。

 だから、税金を払いたくない。少しでも贅沢したい。

 税金を徴収され、公務員の贅沢のために使われるなど、この上ない屈辱。税金を払う時、巨匠の誇りは激しく傷つけられるのだ。

 なぜ、税金などというものが存在するのか、巨匠にとっては激しい謎だ。



  神の課税政策


 黒曜石の都の公務員はいう。税金は神が課していると。市民が税を支払わなければならないのは、神が課税するからだ。徴収された税は、神のために使われている。いったい神の課税政策はどうなっているのか。

 本当にこれが神の良心によって行われる課税政策なのか。それは巨匠には疑問でしかたない。

 税金が神の存在を証明している。なぜなら、黒曜石の都で課せられた高額の税金は神によって使われているのだから。

 神を知るには税金を調べるべきだ。税金の謎は、神の性質の現われなのだから。

 いつか税金の仕組みを知りたい。巨匠はそう思った。



  神の名を恐れる


 巨匠は、神の名を恐れる。

 神の文句をいうと、役人に怒られる。神の悪口は、黒曜石の都では許されない。神の尊厳を守るために、黒曜石の都には憲兵隊がいる。憲兵隊は、神の名誉を守る。

 神を称えることは、大衆の流行によって行われるが、うまくいかない時は政府によって強制的に実行される。

 それが現実の社会だ。

 巨匠も、神と対立するのはやめたい。

 だが、税金を払わないためには、神と対立してしまうのは仕方ない。

 税金を払うたびに、神が好きではなくなる。



  魔除けの飾りをもらう


 神の悪口をいっていたら、巨匠は友人から、魔除けの飾りをもらった。魔除けの飾りを持つと運が向くらしい。なかなか凝った造形の首飾りで、巨匠も気に入った。

 黒曜石の都では、いつも魔除けの飾りが流行っている。みんなが魔除けの飾りを付けている。魔除けの飾りが本当に効果があるのか。仕組みは理解できないが、魔除けの飾りを大事にする人は幸せになっていくように思える。

 巨匠は、魔除けの飾りを身に着けることにした。



  海のうわさ


 巨匠は、黒曜石の都で、海のうわさを聞いた。

 海は広い。海は大きい。海は強い。

 黒曜石の都で困ったら、海に行くといい。そう巨匠は聞いた。いろんな問題は海が解決してくれると、巨匠は聞いた。



  海はもっと怖い


 巨匠は聞いた。海は、神より怖いと。海は、神より強いと。

 そんなはずないのに、巨匠にも、海は神より強い気がした。



  徴税役人の冗談


 徴税役人の冗談は怖い。

「今年は税率が二倍になった」

「実は、税金は公務員が遊んで使っている」

「税金を払うやつは、みんな、公務員より弱い」

「税金はもちろん公務員への上納金だ」

 そんなことを徴税役人はいう。冗談なのかもしれないが、笑えない。

 巨匠は、税金が嫌いだ。



  追徴課税


 巨匠が税金を払わずにいたら、追徴課税を課せられた。追徴課税は、神の名のもとに行われている。

 巨匠は仕方ないから、追徴課税を払った。本当は払いたくなかった。



  隠された玉座の探索


「誰がこの世界を支配しているのか、知りたければ玉座を探せ。この世界を支配している玉座を探せ」

 巨匠はそういわれた。確かに、巨匠は玉座を見たことがない。玉座に誰が座っているのか知らない。玉座に座っているのが人類なのかどうかすら知らない。

 実は、玉座には宇宙人が座っているかもしれないし、玉座には動物が座っているかもしれない。

 巨匠は、玉座を確認したい。

 黒曜石の都の玉座には、神が座っているはずだ。それが本当かどうか確認したい。この世界を支配しているのが、黒曜石の都の主なのかどうか知りたい。

 黒曜石の玉座が外国のいいなりである可能性もありえる。

 確かめなければならない。巨匠は、玉座の探索を志した。死ぬまでに玉座を見つけ出そう。必ず、玉座を確認しよう。そうでなければ生きている意味がない。

 がんばって玉座を探す。巨匠はそう決意した。



  画家


 巨匠には画家の友人がいる。彼女は、水彩画や油絵で、抽象画を描いている。けっこううまいと巨匠は思っている。

 しかし、巨匠は、「おれが本気出せば画家より上手な絵が描ける」と思っている。

 もちろん勘ちがいだが、巨匠はそれくらいうぬぼれが強い。

 巨匠がそう思うのは悪いことではない。なぜなら、画家の友人も、「本気を出せば巨匠より小説を書くのが上手だ」と思っているからだ。

 二人とも若いので、自分について強い自信がある。



  絵画収集が趣味の女


 彼女は、いろいろな画家の絵画を集めている。自分で描くための研究が目的だが、それでなくても絵を買ってくる。彼女は、絵画収集が好きなのだ。

 巨匠も、絵を描いて彼女に渡したことがある。

「きみはまだまだだな」

 と彼女はいっていた。



  この街で神に会うには絵を買うこと


 玉座を探しているといったら、画家の女がいった。

「この街で神に会うには絵を買うこと」

 それを指摘された巨匠はうなった。

 マジかよ、と思った。

 絵画をそのように考えたことがなかった。なぜ、この街に集まってくる連中は、絵が好きなのだろう。巨匠には疑問で仕方ない。

「きみは、この街を支配しているのは税金だと思っているかもしれないが、それはちがう。この街では、紙幣で生活していてはわからないことがある。実は、この街の貨幣は、紙幣ではなくて、絵画なんだ。絵画はこの街の貨幣なんだよ」

 画家にいわれた。

 仕方ない、絵画を買おう。

 巨匠はそう思った。



  安い絵画


 巨匠は、絵画を買う決意をした。あまり大金は出せない。絵の値段とは、いくらが相場なのかわからない。

「安い絵画、ある?」

 巨匠が画家の女に頼むと、画家の女は答えた。

「わたしの失敗作」

 画家の女が一枚差し出した。

「いくら?」

「ただでいいよ」

「ただより高いものはない」

「それなら、きみにとって好都合でしょ」

「十年後、希少価値が出るかもしれないしな」

 巨匠は、変な抽象画を手に入れた。



  思い出の贈り物


「値段がついたら売る」

「売るな。わたしからの贈り物だ」

 悔しいが、大事に保存しよう。

 巨匠はそう思った。



  画商


 巨匠は、友人の画家の絵だけでは心もとないので、ちゃんと画商を訪れた。

 玉座の探索のためだ。

 画商の店にいって壁に飾られている絵を見た。絵の価値など、巨匠にはわからないが、きっとすごい絵画たちなんだろう。

 巨匠が絵を選ぼうとして、うんうんうなっているのを、画商は愉快そうに見ていた。

 絵を買えば神に会えるのか。どの絵を買えば神に会えるんだ。巨匠は迷った。



  高価な絵画


 巨匠は、絵を選ぼうとして半日ずっと粘っていた。日が暮れてしまったので、巨匠は家に帰った。そして、次の日も巨匠は同じ画商の店へ絵を選びに行った。

 絵を選ぶのに何日かけるつもりだ。巨匠はなかなかどの絵画を買うか決められない。

 二日目も日が暮れようとしていた。

「これを」

 巨匠はやっと一枚の絵を指さした。ちょっと高価な絵画だった。



  鑑定士に頼む


 巨匠は、買った絵画を速攻で鑑定士のところへ持って行った。もちろん、購入した金額より高い値段がついたら売るためだ。

 いくらの値段がつくか。絵画の購入には夢がある。ギャンブルとしての絵画購入。麻雀より高価で、株券よりは安いギャンブル。それが絵画だ。



  ぼったくり


「100円ですね」

 鑑定師はいった。

 はあ。

 巨匠は、力が抜けた。おれの見る目はあまかった。いや、鑑定士が嘘をついているかもしれない。嘘でなくても、鑑定をまちがえたかもしれない。

 この絵で神に会えるのだろうか。巨匠は、神に会える自信がなくなってきた。

 おのれ、鑑定士め。そして、あの画商だ。

 巨匠は、まちがった怒りを理不尽に向けた。



  行列のできる絵画


 どんな絵画が良い絵画なんだ。絵画の価値はどうやって決まるんだ。画家が傑作を描く確率とは。巨匠は、そういうことに興味が出てきた。

 そして、行列のできる絵画を見に行った。確かに、大勢がその絵画を見ている。これが傑作というものか。

 巨匠は数時間並んで、絵画を鑑賞すると、行列のできる絵画の値段が知りたくなった。



  芸術品への課税


 行列のできる絵画のところにも、徴税役人はやってくる。黒曜石の都は、芸術品にも課税している。芸術品への課税も、神の課税政策だ。

 役人に絵画の価値がわかるのか。巨匠はいぶかしがった。

「いくらなんです、この絵」

「今調べているところです」

 巨匠の質問に、役人が答えた。芸術品の価値は変動するものかもしれない。おれの買った絵画も、もう一度鑑定すれば、高い値段に変わるかもしれない。巨匠はそう思った。

 鑑定に納得いかずに、何度も鑑定を依頼する収集家は多い。



  贋作


「贋作ですね」

 徴税役人が行列のできる絵画を鑑定していった。

 嘘だろ。

 おいおい、それは困るよ。今まで行列に並んでいた人々は、どういうことになるんだ。みんな、褒めてたぞ。

 ひょっとしたら、真作より贋作の方が褒められるのかもしれない。

 こんな不安定な仕組みで、黒曜石の都は運営されているのか。若い巨匠には、ちょっと信じられなかった。



  芸術家に会う


「絵画の値段に納得していますか?」

 巨匠は出会った芸術家に聞いてみた。

「仕方ないと思ってるよ。絵画の値段は神が決めているんだ」

 芸術家はいう。

 神か。

 絵画を買ったのに神に会えない。

 黒曜石の都を統治しているという絵画の値段を決める神。



  非課税店


 芸術家に、絵画の非課税店を教えてもらった。

「ここはいい絵が多いな」

 非課税店ということは、徴税役人を通していないということだ。ひょっとして、政府から干渉されない芸術家の店なのだろうか。非課税店の絵画の値段はどうやって決まるんだ。気のせいかもしれないが、安くてもいい絵が多い。やはり、政府による芸術品の管理は、優れた芸術の邪魔なのではないか。ことばにするのは怖いが、違法の店なのかもしれない。この店が摘発される時、善良な芸術家たちも犯罪者とされてしまうのだろうか。



  真の傑作


 非課税店で目を奪われる傑作を見つけた。巨匠は財布を調べた。この絵が買えるだろうか。

 巨木の絵だ。

 幻想的な巨木の絵だ。

「この絵を買いたい」

「お安くしておきますよ」

 ちゃんと絵を売ってくれた。

 これは売りものじゃないんですよ。

 そういわれることもあるのだ。

 絵画の取引に成功した。



  鑑定士による支配


 非課税店の店主が黒曜石の都のからくりを教えてくれた。黒曜石の政府は、芸術品で統治する。芸術品を買った者しか、幸せになれない。官吏がそうする。芸術品を買うと、黒曜石の都の選民になれる。政府は、芸術品の価格を上乗せすることで、選民の幸せ度を調整して支配する。黒曜石の都を支配しているのは、芸術品の鑑定士たちだ。鑑定士によって、富裕度が操作される。



  摩訶不思議城


「あなたは、物の価値のわかる者だ。あなたを玉座に案内したい」

 神の使いが巨匠にそういった。

「我々は、芸術品の価値のわかる者を繁殖させて、芸術品の価値のわかる民族に進化しようと計画している。あなたはその試験に合格した」

 巨匠は神の使いに導かれて、摩訶不思議城の城門をくぐった。

 やっと神に会えるのか。

 画家の女のいったとおり、この街で神に会うには絵画を買うべきだった。



  神の棲む城


 摩訶不思議城の中は複雑だった。迷宮のように錯綜している。これだけの巨大建築を改築しながら使うので、どうしても複雑な設計になってしまうのだという。いつも改築工事をしている城。それが摩訶不思議城だ。

 いったいどんな人たちが住んで、ここで働いているんだろうか。興味は尽きない。



  神に会いたい


「神がお会いになります」

 使いがいった。

 巨匠は身構えた。まだ、神に会う心の準備ができていない。

「神はどんな人ですか」

「人によって印象はちがうようです」

 そうだろうな、と巨匠は思った。

 巨匠は、首にある魔除けの飾りを確認した。



  黒曜石の玉座


 巨匠は玉座に招かれた。案内された部屋には、黒曜石の玉座があり、そこに神が座っていた。

 これが隠されていた玉座か。

 巨匠は目を見張った。

 神は普通の人間のようだ。宇宙人でも、動物でもなかった。むしろ、植物であってくれた方が安心できたかもしれない。性別は男に見える。幾人もの書記官や警備員が立っている。書記官も警備員も、客が来ることには慣れているらしく、自分の仕事をしている。全員直立不動のようなことはなかった。

 せっかく神に会ったが、いったい何をすればよいのか巨匠は困った。このかすかな機会を逃したら次はないかもしれない。

 神への謁見は人生の難しい問題だ。



  笑いなれた神


「神は、普段はどのようにおすごしですか」

「最近は、臣民が有能なので、毎日、笑い転げている」

 神はそういった。

 巨匠が見ても、笑顔の表情筋が発達した幸せそうな顔に見える。この国はうまくいっているようだ。安心した。実は、この国が大丈夫なのか不安だったのだ。

 ずっと神に支配されていた巨匠の人生。わずかな謁見で確認できたことはわずかだが、神に対するいろいろな誇大妄想が修正されていく。最強で、常にこちらの先を読み、あらゆることに精通した達人かと思っていた。少なくても、筋肉が発達しているだろうという先入観が巨匠にはあった。神は喧嘩が強いだろうと、根拠もなく思っていた。



  神はどのように地上を治めているか


「神はどのように地上を治めているのでしょうか」

 巨匠は単刀直入に聞いた。

「神は税収で地上を治めている」

 神自信がそういった。



  神は税収で支配する


 ひょっとして、徴税役人たちは、神の直属の配下なのだろうか。巨匠は、黒曜石の政府の組織の構造に頭を思いめぐらした。神が正直に答えているとは限らない。巨匠は当然、神が嘘をつくことにも備えなければならない。絵画を買わなければ神に会えないことをずっと黙っていた黒曜石の政府ではないか。簡単に神に心を許して支配されてなるものか。

「神は筋トレをしますか」

 巨匠は聞いた。

「うむ。神は外来語を使うことができないのでいうことができないが、その筋肉訓練もたしなんでいる」

 神は答えた。

 やはり、筋トレは大事だよな。

 と、巨匠は思った。

 神が筋トレをするということは、神は全知全能ではないということなのだ。

 賢明な人は、神に会った時ではなく、平民たちの中に全知全能がまぎれている可能性も考慮しなければならないのだろうが、巨匠はそこまで全知全能の可能性を重視はしない。

 全知全能が趣味で筋トレをする可能性はありえるのか。

 巨匠は迷う。



  神は何年生きているのか


「神は何年生きていますか」

「長いこと生きている。正確な日付は書記官に確認しなければならないが。神は、自分の年齢を数えるより重要なことを考えている」

 神はそういった。



  神の本名


「神の本名は何というのですか」

「タクサンアル」

「いちばん大事な名前はなんですか」

「オシエナイ」

 これは、答えたくないという意味だろうが、オシエナイという発音の名前でもあるかもしれない。そのように、忙しくて名前の多いものの名前は機能するらしいと聞いたことがある。そのようなくだらないことを巨匠は考えた。

「なんとお呼びすればよいのですか」

「ナゾカケル」

 小学生のなぞなぞのような会話に本当になってしまった。



  魔除けの飾りに盗聴器があると知る


 神との謁見を終えると、近くにいた男が近づいてきて耳につぶやいた。

「魔除けの飾りには盗聴器が付いている」

 巨匠はびっくりした。

「誰がそんなことを」

「黒曜石の玉座の連中だ。気を付けろ」

「みんな、持ってるぞ」

「持ってるやつ全員が聞かれている」

 嘘だ。

 巨匠はびっくりした。

 世の中の仕組みをあまく見ていた。



  芸術品の本当の価値


 巨匠は、摩訶不思議城の中にいる鑑定士に絵の鑑定を頼んだ。

 三枚の絵がある。

 安い絵画。

 高価な絵画。

 非課税店の絵画。

 どれがどのような値段なんだろう。

「わたしは絵画の鑑定の専門家ではありますが、わたしのいう値段が絶対ではありません。絵画の価値は、それを見た人の本音で決まります」

「いや、それでも、おれは城の鑑定士の付ける値段が知りたい」

 鑑定士は十分もしないうちに三つの絵の値段を決めた。

「安い絵画がいちばん良いですね。次が、非課税店の絵画。最後が、高価な絵画」

「黒曜石の政府が税収と芸術品で支配しているってのは本当ですか」

「たぶん、本当でしょう。芸術品の値段など、鑑定師の言いなりです」

「いや、怖いなあ」

「わたしもですよ」

 そして、巨匠は鑑定士と別れた。



  思い出の贈り物の本当の価値


 巨匠は城から帰ると画家の女に会った。

「おまえの失敗作、高い値がついたぞ」

 すると、画家の女は笑って、

「あの絵は自信があった」

 と答えた。

 自信過剰も良いものかもしれない。巨匠が画家の女の絵を持っているかぎり、絵画の値段など関係ないのだが。

 絵画の経済学は難しい。



  古文書の解読


 巨匠は、摩訶不思議城で手に入れた古文書の解読を始めた。翻訳は難しかった。古文書には、黒曜石の玉座の目的が書いてあるらしかった。



  資産の最大化が目的の国


 巨匠は、古文書の解読によって、黒曜石の玉座が目的としているのは、資産の最大化であることを知った。あの神は、金儲けがしたかったのか。いつ頃から、黒曜石の玉座は金儲けを至上命題としてきたのだろう。それで国が運営できたとは驚きだ。

 あの神は、黒曜石の玉座の何代目なのだろう。それすら、わからない。旅に出るか。巨匠はそう思った。

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