千風
鈴江さち
千風
「おばさんと住んでるの?」
「ああ。親が転勤で引っ越して、オレ東京に残りたかったし、だからうちに彼女が越して来てさ」
そう言うと代返ちゃんは「好奇心旺盛な子です」みたいな顔を作ってオレを見つめてくる。その雰囲気作り、透けて見えんだよ、と胸の中で毒づく。
オレが高校に入学した時に前のアパートから今の中古のマンションを購入して、三年経って今年から父さんたちは異動で地方へ。会社って個人なんか見てないんだなとつくづく思う。不動産のためにサラリーマンになってからの人生を全部かけて、大人はなんのために働いているのかなって思う。
大学食堂のテラス席に差し込んだ太陽光がラムネの瓶にちかっと映ってオレは目を細める。早く話を切り上げたいなっていう、オレの心の内も知らない、代返ちゃんの呆けた声。
「へえー。どんな人?」
「たぶん聞いてもつまんないよ」
「えー、いいじゃん。ほれ、話してみ」
話してみ、じゃねーんだよ。言い方で分かんないかなあ。面倒くさいし、あの人の事こいつにあんま話したくない。
普通の平日の、普通の学食で、普通の女と話す、この苦痛ね。
「名前は
いい加減面倒くさくなっていたオレはかなり雑な説明をする。
「昔、千の風になってって歌あったよね。あの千の風?」
「同じ字。あの頃カラオケで見つめられながら歌われるの死にそうだってすげーキレてたな」
ふうん、といった顔で代返ちゃんが吟味する表情になる。その顔やめろって内心思う。
「ねえ、それじゃ今度遊びに行ってもいい?」
「今聞いてたよね? うちおばさんいるんだって」
「うん。だから。私は気にしないよ」
ホントバカ。死ね。
「ちょっと無理かも」
替わりにそう言うと、代返ちゃんは難しい顔になる。
「えー。じゃあさ、バー行こ」
じゃあって、どっから出てどこにつながってるんだよ。これなら苦い虫でも噛んでた方がまだマシだな、と思いながら作り笑いを浮かべる。
「オレさ、大学生はバーに行くべきじゃないと思うんだよね。ましてや昼間から」
「なんで?」
「恰好悪いから」
「えーなんで。バーカッコいいじゃん。
バーが格好悪いんじゃなくて、バーに行く空っぽの学生が格好悪いんだって。なに、なんなの? こう言うのってもっと丁寧に言わなきゃ伝わらないの?
もうムリ。しんどい。だれかマクラ持ってきて。
「あ、ヤベ。そろそろバイトの時間だ」
言いながらエガちゃんみたいだなって思う。言わずと知れた江頭二時五十分。好きだとこういう時ぽろっと出るんだな。
「次の授業は?」
「また代返頼む」
「じゃあ報酬はバーで一杯ね」
「ああ、そのうちね」
バーバーうるせーんだよ。お前はいつものように代返だけしてろ。
※
「……って思ったんだけど、オレ性格悪いかな?」
「悪いと思うよ」
「ああ。否定しないんだ、そこ」
「お前人間不信だしな」
麻布で有名なたい焼き屋で、
「純平ほどじゃない。お前の完璧な笑顔に騙されてるやつら見てると、お前怖いなって思う」
「そうか? ボクはお前を初めて見た時嬉しかったけどな。あ、おんなじ匂いのやついるって」
純平はそう言って髪を整える。
純平は自分の髪が好きだ。前に聞いたら昔はずっとボウズだったらしい。それが上京して大学生になってから髪を伸ばし出したらしい。柔和な顔立ちに似合うツーブロックヘアは少し猫っ毛で、言いたくはないがそこはかとなく可愛いと周りの女からは好評だ。
でも、オレが好きなのは純平の目だ。
年に似合わない落ち着きがある。パニック映画で一人はいるような、冷静なその瞳。
優しい笑顔で隠しているけど、その目には深い落ち着きと失望がある。
「双葉はさ、心開かないじゃん。それで利用したい女に何かを求めるってそもそも間違ってると思うよ」
「女って言うか代返マシーンなんだけど」
「そういうのいいから」
「オレ双葉って名前じゃん。女の子みたいじゃん。飯塚双葉は女の子だって思ってる教授、多いと思うよ」
「どんだけ授業出てないの、お前」
甘党の純平が指定したこの店。
午後五時の甘味処の四人掛けテーブルで、オレは温かいお茶を飲みながらラムネが飲みたいなって思っていて、純平の方は運ばれて来たたい焼きに嬉々として齧り付き、衣の羽根の部分が机にパラパラと落ちる。
食い方が汚い気もするが、普段飯食ってる時にはそんな感じしないので、たぶんたい焼きに関してのポリシーなんだろうと勝手に納得してみる。
「そういや、純平はカノジョ作らないの?」
「ん? 狙ってる子はいる。知ってるだろ?
純平がたい焼きを食べ終えた。皿からもう一つ、速攻で二個目を手に取る。ちなみにその二個目にはクリームの餡が入っている。
「ああ、うちの科の一番の美人だろ」
「へえ。年上好きと、女の子の美醜は違うんだな?」
「客観的な事実。セックスは顔と忍耐と演技力でするものだから、圏内の子は一応、そりゃチェックするよ」
純平は一度たい焼きを置き、茶を含んで椅子の背にもたれかかった。
「素朴な疑問なんだけどさ、同い年とか年下で恋愛圏内の子って、双葉はどう対処するの?」
「そうだな、年下でも精神年齢が高いならセーフ。純平は誤解してるけど、オレが好きなのは、子どもじゃない女。世の中にはバカな女が多すぎる。大学に入って、煌くキャンパスライフとステキなボーイフレンド? 死ねよって思うよ」
「そこが食い狙いなんだよね、普通の男って」
「セックスならその辺の犬とでもできる。女を食いたきゃバイトでもしろよ。風俗にでも行けば、無駄なデート代使わずに好みの女とデキる。需要と供給の話だよ。オレにはそんな気さらさらないけど」
「双葉のカノジョは社会人なんだっけ?」
「別にカノジョって訳じゃないけど、まあ端から見たらおんなじか。勝手な考えだけど、オレたちは恋人が欲しいんじゃない。自分でいられるパートナーとして、お互いが心地良いんだと思う」
「なんかお前、すごい合理的に生きてるな」
彼は何となくぼんやりした感じで再びたい焼きを手に取り、手つかずのこっちの皿を眺め、こう言った。
「でもまあ、お前の例えも分からなくはないけどね。好きなあの子に片想い、よりは風俗通いの方が邪念がない」
「へえ。純平にとって片想いは邪念なんだ?」
「邪念だよ。ボクは片想いっていうのは、『自分が好き』ってのと同じ事だと思ってるよ。伝えずに、想い続ける? そんなのはただの臆病な自己満足だ」
「オレ、今お前を尊敬してる」
「なんで?」
「さあな。似たとこあるからじゃないか?」
「じゃあ、お前のぶん一個もらっていい?」
「じゃあってなんだ。勝手に食えよ、もう」
※
「なんでバーなのよ」
「いや、久しぶりにいいかと思って」
「ラーメンが食べたかった」
「俺みたいな男とラーメン屋なんて行ったら浮いちゃうよ、おばさん」
「おばさんゆーな」
千風ちゃんが笑って、緩めのショートボブが揺れる。
色は軽いブラウンで軽くして、小ぶりで鋭角な鼻。眉と瞳の緩やかなカーブ。大きな白目が透き通っている。
一言で言えば、とても柔らかい顔をしている。欠点は、薄い唇。
春秋物のオレンジのコートを脱いだ千風ちゃんは、顔だけ見れば二十代後半に見えなくもなく、でもその身長のせいで小学生、とよくからかっている。
その小学生が、少し高めのスツールに座って届かない足をプラプラさせながらビールグラスを咥えて喉が鳴る。
「千風ちゃんは俺のこと好き?」
「当たり前でしょ」ノータイムで返事が返ってくる。
「それはどこが?」
「甥っ子だから」ノータイムで返事が返ってくる。
「一匹の、都会のオスとしては?」
「若過ぎ」
「身内だからって否定の仕方はしないんだ?」
「ラーメンが食べたい」
「頭弱いな、ちかちゃんは」
「本気よ。本気なの。豚骨醤油のスープをグラスに入れて欲しいぐらい」
「なんかそれは本気な気がする」
あのねえ、と言いさして千風ちゃんはオリーブをひとつ口に入れた。
「あんたはバカなのよ。バカバカなのよ。おばさんをからかって、本気にされないから本気にしないでプカプカ浮いているだけ。年上好きでいいわよ。私もそうよ。だけどね、ああっ、もうっ、豚骨醤油のスープっ」
「もう酔ってるね」
「疲れてるのっ! 分かんないでしょう? 職場ってね、学校なの。保育園なの。アホしかいないの。子どもの相手を黙々と。入って数年経ってもバブバブちゃんよ。キツく言えばお小言オバさん。おだてればセクハラオバさん。どうしたいの? 未婚のアラフォーが育児? 保育士さんに土下座したいわよっ!」
「ははっ、ホント可愛い」
「笑いごとじゃないわよ。見てなさいよ。今にIT企業の社長と結婚して、ボクには千風さんだけだよ、ってセリフをあんたにきかせてやるからっ! 考えてみなさい、未成年のボクちゃんっ! おばさんはまだまだ女なのよ。やる時はやるのよ」
「それ下ネタ?」
「エロガキ! マセガキ! ああ、ほんと豚骨醤油!」
「それすごい推すね、今日」
見た目の愛らしさとテンションが合っていなくて、それがおかしくって、自然に口元に微笑が浮かぶ。いつもの溶けてしまいそうなくらい優しい顔が酒の酔いで朱に染まっていて、オレはお疲れ様って心の中で思う。言わないけど。
縦長のウナギの寝床のようなバーの窓の外には、道沿いに植えられた咲いたばかりの紫陽花が見える。
六月。そろそろ梅雨。叔母の千風ちゃんと成りゆきで生活を初めてもう二か月。
最初の頃にあった微妙な遠慮や気遣いもいつの間にかどっかに行って、小さな頃から憧れ続けた親戚のおねえさんとの、夢みたいな暮らし。
楽しくて飛べるんじゃないかって思う、大学一回生の晩春なのか初夏なのか分からない時間。
「ねえ、バーではなに頼むと恰好良いの?」
「迷ったらマティーニ一択。常識よ、赤ちゃん」
「あ、そう。オレ今すげえラムネ的な物が飲みたいんだけど」
「なんでバー来たのよ、あんた」
キャンキャンとよく吠える子犬のように、打てば響く二人のやり取り。
千風ちゃんがまた笑って眉を下げ、隣りのスツールから俺を見つめる。
「もうちょっと愚痴ってもいい?」
「もちろん」
愚痴ってもいいかどうか聞くなんて、そんなやつこの世にいるんだな。千風ちゃんは本当に可愛くて、俺はその可愛さを傍に置いておきたかったから一緒に住むのを決めたようなものだ。
相変わらずの、可愛い愚痴。
いくらでも聞ける、可愛い愚痴。
オレのそんな内心も知らず、きかんしゃトーマスのように彼女は湯気を立てて話す。
「小さい頃から勉強して、良い学校出て、期待に応えて、スバらしいわよ? でもね、ホントに、勉強以外なにもできないやつっているの。そしてそういうやつを何故か人事は採るの! せめて大学のランクを二段階落としてもいいからバイトでも勤め上げた人を採ってって思うのよね! 極論、人間って何って思う訳なのですよ!」
「ああ。今年のの新卒でそういうやつが入って来たんだ」
「せめてね、出来ないならできないで根性くらい見せなさいよ! 可愛くなくはないわよ、だって後輩よ? でもね、思うのよ。例えばそいつが三年働いて、学生気分も甘えも消えて、いっぱしの社会人になる訳よ。
でもね、そんなの出来るやつは入る前からできてるのっ! あんたの三年は、私の三年はなにって思わない? 思うでしょ? 思いなさいっ!」
「最近、ちかちゃんがイライラしてた原因はそれか」
「やってらんないわよ。自分のことだって自分でできないのに、私に他人の面倒なんて見られる訳ないじゃない! 拙僧にできるのはお尻にできたかさぶたを上手く剥がすことだけよ」
「その例えやめろ」
愛おしいけど、千風ちゃんの例えはバカそのものだな。
「双葉はなんかないの、愚痴」
絡んでくるなあ、と頬を染めた千風ちゃんの顔を見て思う。可愛すぎんだろ、その酔い方。
「別にないけど」
「生きていて愚痴がない訳ないでしょ! 言いなさい、命令よ」
「じゃあ言うけど」
「なあに」
「ちかちゃんと愚痴以外の話がしたい」
「う……」
彼女が槍で突かれたように黙り込む。
「冗談だよ」
千風ちゃんはこめかみに指を当て、一瞬目を閉じてまた開いた。
「なんか、ダメだな。甘えてるね。私だけ甘えてるね。キレイでいたかった。双葉の憧れたままのおねえさんでいたかった。もうおねえさんって歳じゃないけどさ」
脇を向いている俺の横顔を彼女が見ている。その顔を、俺はさり気なく横目で見ている。
「ゴメンね。雰囲気壊しちゃったね」
「そんなことないよ。何で気にしてるの? 俺、千風ちゃんと飯食えてうれしいよ」
「やめろよお、濡れるじゃんかあ」
「思春期か」
ふっと反省したかと思えば、すぐに下らない軽口が出てくる。
そういうとこも、昔から変わらない。
オレが子どもの頃から、同じように子どもみたいに遊んでくれて、でもしっかりおねえさんもやってくれて。
オレが年上が好きなのは、間違いなく千風ちゃんのせいだ。
※
全部乗せの大盛りはきつかったな。
千風ちゃんも普通盛りだけどぺろっと食ってるし。酔った千風ちゃんの胃袋に対する幻想が、最近消え気味だな。
「どうだった?」
夜道を歩く。街路灯が、ぽつぽつと灯っている。
「これ! これなのよね。中華料理屋のラーメン? 違うの。女の胃袋を掴むのは、あのこってこてのチェーン店の味なのよね」
「なにより。えらいぞ」
「何で上からなのよ」
手を繋いで歩く。街路灯が、ぽつぽつと灯っている。
「千風ちゃん?」
「なあに?」
「千風ちゃんのこと、ホント好き」
「あんたはなんでそんなに可愛いの?」
キスしちゃいけない。キスしたら、止まらなくなる。
毎回思う一線。
「双葉っ子。帰ったらマッサージして。私もうぐるんぐるんとおえっで死にそうなの」
「いいよ。死なれたら困るからしてあげる」
「ありがと」
「しゃびしゃびな身体触るチャンスだし」
「可愛くない。昔のあんたは目にいれても痛くない天使だったのに。時間って厄介ね」
「ひげも生えるようになったし」
「あの双葉っ子がひげか。そりゃ私も年とるわよね」
暗い夜道。近所のバーから近所のラーメン屋。そして帰り道。
まあそれでも、ちょっと前に比べたら日も長くなったな。春の夜の風と匂い。好きだったけど、もうすぐ夏が始まる。
「夏はどうして雨から始まるんだろう?」
「それおかしくない? 梅雨が明けて、夏が始まるんでしょう?」
「でもさ、あのくそ暑くてじめじめした梅雨が春って、なんか違くない?」
「確かに。梅雨ってさ、梅雨って季節にすればいいのにね」
「ね。雨季と乾季みたいに」
「ふふっ。梅雨、梅雨季、つゆきつゆき、うきうき」
「おバカ。アイスクリーム買ってあるから、マッサージ終わったら食べよ」
「ラーメンからのアイスか。いいでしょう、食べてみせましょう!」
「いつも食ったあと冷静になるよね、ちかちゃんは」
「うむむ。今は考えまい」
マンションに帰ってリビングのソファで寝転ぶ千風ちゃんの上にまたがる。
ここは快適だ。両親と三人で住んでいた空間が今はオレと千風ちゃんだけ。それはもう快適に決まっている。
今年の春、四月の初めに19歳になった。千風ちゃんは今年の夏で39歳。
子どもの頃から年上が好きで、それはもう遺伝なんだろうけど、オレたちのあいだの二十年が、愛しくて遠い。
子どもの頃思い出すのは、春の風のような千風ちゃんの笑った顔。
そんな事を考えながら、パジャマに着替えた千風ちゃんの背を、ぐいっ、ぐいっと両手の親指で指圧していく。
「あぁー、ぎもじいい。死ぬ、魂抜けてく」うつ伏せの彼女の背から、腿裏、ふくらはぎへと続けていく。
「次仰向き。足の三里」
「はーい」
千風ちゃんがごろんとひっくり返って、息を吐き切ったタイミングでぐいーっと足のへこみの部分に親指を当てる。
「くおお、きっくうー」
「父さんによくやらされてたよ。十分三十円で。よくやってたな」
「ケンさん喜んでたでしょ?」
「しまいには体のツボの本とか買ってきて、勉強しとけ、だもん。それでオレが教えたツボを父さんが母さんに押してあげるってパターンね」
「百花お姉ちゃん。あんたがいなくて今寂しいだろうね」
「19年一緒にいたんだ。今はお互い清々してるよ、きっと」
そうか。父さんと母さん、元気かな? そういや最近電話もしてない。
「30を超えるとね?」
「うん」
「もう40近いけど、30を超えるとね、まず自分に自信がなくなる。うちの家系はさ、年上好きが多いじゃない? だけど年上が好きって言っても、その年上の誰かが同じように年増が好きとは限らないのよね。年下の年増、嫌な称号付いちゃったな」
「千風ちゃんは……」
「うん」
「千風ちゃんは、世界中の誰よりも魅力的だ。いつかもっと年をとって、死ぬ寸前になっても、世界で一番、千風ちゃんは綺麗だ」
「ふふっ」
「…………」
「ふふっ、双葉っ子。あんた、年下にしておくにはちょっともったいないわね」
「そりゃどうも。そろそろアイス食お?」
「あーんしてあげよっか?」
「してして」
「世界で一番、あんたが可愛いよ」
それだと、まだまだだな。
オレは、世界どころか、自分よりも、千風ちゃんが好きなんだから。
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