火車
罔両 クハシヤ クハジヤ薩州
魑魅ノ類ナリ。葬送ノ時、塗中ニテ疾風迅雷、暴ニ至リテ、棺ハ損ゼズシテ中ノ屍ヲ取去、山中ノ樹枝、巌石等ニ掛置コトアリ。コレヲ、クハシヤト云。
『
一 九相図と九相観
あの
幼いころに、
小さな探検家はやがて美術品の森を抜けて
少年の輝く
それは、
少年が巻物を手に取った
自分が魅入られた
あの
二 縊死体
平成三年の五月の頃の事だった。
万事において穏やかに
どうせならば
花は散ってしまった時節であるから花見客であるはずはない。酒の酔いが
桜の木の下に横たえられた女の死体がそこにあった。
女は
――機会が訪れれば、次こそ
大学に通うよりも
三 腐乱の美
火葬さえ済んでしまえば、
――やはり、完全な
ペトリ
もっとも、この肉片が
「
しかし、
四 一通の手紙
「
お礼がしたいので
「彼が大学に来なくなってからずいぶんと
自分が信頼している者の正体に対して、
十二月十四日に
五 大罪を犯す
一昨年の暮れに
唯一の心の
「わたしにはもう
息子の
「あれは良い子だ。
母である
屋敷に帰った翌日に、
息子の身に何か良くないことが
「
巨大な
六 疑惑
十二月二十五日の夜に
「
友人に呼び出されて珍しく
「
息子を頼りにして生きている
「
「
「
「悪いがどうしても遊ぶ気にはなれない。やり残した仕事があるんだ。君が僕を心配してくれていることは知っている。だが、今はどうか独りにしておいて欲しんだ。今日のところは引き上げてくれないか」
「どうやら僕の手には負えないみたいだ。そろそろ退散しようと思う。迷惑をかけてしまったようで悪かったね。これが最後になるのだから、せめて見送りくらいはしてくれたまえ。
「君、ひょっとすると
そろりそろりと前を歩く
「
心臓の
「
二人は玄関に
「いろいろと
「僕がなすべきことは決まったようだ」
七 火車は亡骸を抱いて
――罪人は
ムッと
――
(了)
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