011.「いろいろと」忙しいおっさん

 おでかけ前半戦。

「いろいろと」忙しくなってきたぜ。



 最寄駅の弁当屋チェーン店で弁当を買う。あくまでも誰かのおつかいでパシってるというていで。

 のり弁当、日替わり幕の内、からあげ弁当、チキン竜田、カツ丼、カツカレー。

 のり弁当とカツカレーは大盛り。豚汁3杯、サラダ2種にドレッシングつけて。


 注文を済ませて、すぐ隣のスーパーへ。

 カップ麺とスナック菓子、缶ビール缶チューハイを適当にかごに突っ込む。いつもこういう買い方してるから気にはされないだろう。

 いつもと違うのはビスケットとか甘味が多いところだけど気付かれまい。


 20分ほど経って指定時間になったので弁当屋で弁当を受け取る。



 電車で2駅、繁華街のある大きなターミナル駅に。

 ショッピングモールの100円ショップで、白い皿にこだわらずいろいろ買う。

 ナイフフォークスプーンのカトラリーも。

 最初は素焼きっぽい陶器は避けてたけど、そのへんは買う人に委ねようかなと。


 古来日本では食卓で盛り付けられた肉にナイフを入れることは無かった。

 それが直接の理由ではないと思われるけど、陶器はやわらかいので刃物で傷つけてしまうおそれがあるのだ。


 あと梱包用の緩衝材を1巻き。昨日はまとめ買いする人、特大級の1件を除いていなかったから助かったけど必要よね。



 変な雑貨店。

 普段は便利グッズにしか目がいかないけど、露店で売ること、机に並べてえるものを探すのも楽しい。



 キャンプ用品店

 鋳物の鍋を。丸鶏一匹きっちり入るサイズで、フタにも炭を乗せて上から加熱できる優れものだ。

 あれもこれも買ってると(見た目)カバンに入りきらないので今日はこれ1点。



 リカーショップ

 本日本命のひとつ。コンビニではラインナップ期待できないからな。

 まあコンビニで買ったときは1本異世界に持っていって値段の確認するつもりだけだったのだけど。


 世界が誇る96度、これが欲しかった。

 75度のラムとウォッカ、60度になると選択肢が増える。ウイスキーとジン、泡盛。


 お店の人に聞いて、2,000円前後4,000円までで個性のあるワインを赤白何本か選んでもらう。


 あんまり買いすぎると持てなくなるからなあ。瓶10本でも肩掛けカバンに突っ込む量としてはレッドゾーンな気がする。

 とか言いながら清酒、純米酒と純米吟醸の4合瓶も追加する人。



 レストランフロアをまわって、いい弁当を買ってまわる。

 グリルチキン弁当や高級中華、松花堂弁当なんかが1,000円簡単に超えて2,000円とか平気でつけてくる。

 ちょっと前はこんな弁当無かったのになあ。いつもご時勢に文句言ってるけど、ここは良い流れ。


 とはいえ昨日の俺ならこんな金の使い方しなかっただろうけど。

 一度買えば、〈収納〉カバンに収めれば次から食い放題と思うと、もう歯止めが効かない。


 前からあったピザ専門店の持ち帰りメニューから、定番のマルゲリータ、クアトロチーズ、シーフードデラックスの3種も購入。

 トンカツ専門店の特上ロースカツ弁当までも!



 孤児っ子ちゃんのためにと、ケーキを20種ほど購入。

 あと野菜ジュース。個人的には甘くないタイプのほうが好きなんだけど普通にフルーツ味のやつ。

 これ飲んで健康になれよ。



 しかし、日本円での持ち出しが多いな。

 今の賃貸維持するだけでよければ数十年いける貯蓄はあるけど、二重生活続けるならせめて家賃と光熱費ぐらいは稼がないとなあ。


 あてというかアドバイス貰えそうな、うってつけの友人には心当たりがある。



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 やってきました異世界へ。

 もはやお馴染みの教会裏。

 路地裏でワイシャツ脱いでこっち産(たぶん)の生成りのシャツに着替える。



 15時に向こう出発して、こちら異世界着は9時頃の予定。

〈危険感知〉〈虫の知らせ〉を発動。今日も大丈夫そう。



 そして今になって気が付く非情な現実。

 ドアマット買うの忘れてたわ。今日もまた土足で部屋に戻るのか。



 という冗談はひとまず置いといて。

 恒例の、教会へ朝のあいさつ。

 昨日はいなかったけど今日はシスターアメリアさんいる。


「おはようございます」



「あ、タモツさんおはようございます。昨日も奉納ありがとうございました」


 アメリアさんが元気にあいさつを返してくれる。

 今日も元気に脅威の胸囲だ。



「それなんですけど、こちらで子供達何人ぐらい預かられているのかわからなかったのですが数は足りましたか?

 10人以上はいるつもりで献品させていただいてますが」


「ええ、現在16人預からせていただいています。」


「ちょうどよかった。今日はこちらをお持ちしました」


 ケーキの大箱を2箱。各10種づつ入っている。


「日持ちしないのでなるべく早くたべちゃってください」



「いつもありがとうございますぅぅ、きゃあ」


 礼拝堂に甘い香りが広がった瞬間、お礼を言ってる暇もなくふたりに孤児っ子ミサイル集中砲火、炸裂する。

 孤児っ子ちゃんに群がられて押し倒されそうだ。ケーキの箱はなんとか死守して机に置く。


 12センチ平皿、CDサイズのを10枚〈召喚〉してカバンから出す。

 洗ってないけど洗浄魔法とかできないかな。

洗浄クリーン〉、やっぱり思ってた通りできました。


 こういう基本魔法とか生活魔法的なのは魔法適正関係なく、知れば使えるんじゃないかなと。


 アメリアさんに10枚渡してもう1セット。


 野菜ジュースとアクリルのコップを〈召喚〉。

 野菜ジュース16人+1なら3本でいい? 足りない?

 開封しなければ常温で日持ちするので10本行っとけ。



「これは体にいいしおいしいので是非いっぱい飲んでください」と、ペットボトルの開け方を教える。

 底に溜まるので蓋をしめてよく混ぜろ、と。


「このコップはプレゼントです。みんなひとつづつ自分のコップがあれば嬉しいよね」


 孤児っ子を味方につけてシスターに有無をいわせない。


 シスターの孤児っ子捌きの奥義を見てほっこりする。買ってきてよかった。



 なんの神様かしらない女神様に手を合わせ、大銀貨2枚とキャラメル2箱奉納。

 教会出る気配に気付かれたけど、手が離せず「ありがとうございますうぅぅ!」と大声で返すしかできなかったようだ。




P.S.食にかける情熱と皮算用、ちょっとノリで盛りすぎた感。正直ドン引き

  これでも減らしたんですよ(笑

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