夢の世界

バブみ道日丿宮組

お題:僕の好きな王子 制限時間:15分第1話

夢の世界

 好きなもの嫌いなものと聞かれて、僕はないと答える。

 好き嫌いはしないのかと問われれば、しないと僕はいう。

 なぜ人は好き嫌いが気になるのだろう。

 僕は僕だから僕のことしかわからない。

 相手のことを深く知りたいとも思わない。

 僕は憧れでしか人を見れない。

 だから、彼が旅立った時好きは普通になり記憶になった。

 遠い星。

 それが彼の母星だという。ここにはエネルギーの補給によっただけで長居はしないとも。

 彼の言葉が嘘なのか本当なのか僕にはわからない。

 彼を縛り上げて、本音を母のように静かに聞けばわかったかもしれないけれど、もういない。僕の知ってる限りそんな情報は上がってこない。

 偽りの情報は情報員の反応をみればわかる。反応はいまいちなのは情報員だからなのかはわからない。一つだけわかってるのは、 

「……」

 母も、父も同様に反応がなくなってきたということ。

 彼ぐらいだろうか反応がなくならなかったのは。

 そういう意味だと、彼は未だに好きともいえるかもしれない。

「……っ」 

 痙攣が消えない。

 彼が消えてから、残る症状。

 医者はショックを受けたせいで残る後遺症の一種だと言ってた。

 僕は信じなかったので、医者にも同じ手段をもちいた。嘘も本当もこれでわかる。結果医者は数分として持たなかった。いかに僕の家族が強靭であったのかと少しあの時は喜んだものだ。

 とはいえ、反応がなくなるのは味気ない。

 外には好き嫌いを気にする野心家ばかり、その人達の反応を見るべきだろうか。

 情報員以上の反応はあるはずだ。

 少なくとも、数日前に出て依頼をこなした限りでは、まだ楽しそうではある世界だ。

 なら早いほうがいい。

 後始末するのは母と、父に任せるとして、まずこちら側に連れ込まなければならない。

「……」

 これは依頼と違って、その場に残せないのが難しい。

 あぁ、僕の王子様。

 ここに無事に連れてきて。

 あなたの味覚にあるーー美味しい果実を。


 そして僕は彼に再会した。


 感動はなかった。

 だって彼は彼でなくなってたのだからーー。

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夢の世界 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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