風邪のなかで
バブみ道日丿宮組
お題:日本式の風邪 制限時間:15分
風邪のなかで
風邪をひいたと思ったら、なぜか血を吐いてた。
なんでも風邪で肺を潰したとかなんとか。暇すぎる学校生活で忘れかけてたけど、お祖父様に近い体質だと思い知らされた。
「で、君は学校をサボって僕の観察かい? 暇人すぎるよ」
「んー、お前がいないと授業つまらないしな」
またオーバーなリアクションをするもんだ。
両手を広げたところで授業の内容は表現できないだろう。
「全く僕は別に授業で特段面白いことはしてないさ」
彼は口端をわずかにあげると、
「授業を半分乗っ取るのが面白くなくてなんだよ?」
「それは効率が悪いから僕が説明したに過ぎないよ」
深い溜息が漏れた。また肺が悪くなりそうだ。
一生付き合わなきゃいけないと医者に言われて、しばらくの入院生活だというのに非効率なのは僕か。全く日本は気温の落差が激しくて今後風邪を引かないかなんて気をつけようがないじゃないか。
「そう照れるなよ。みんなお前のこと待ってるから頑張ってくれ」
「頑張るもなにも身体は平気さ」
医者が止めてるからいかないにすぎない。最も学校の勉強が必要ないってのはお父さまが常日頃から口酸っぱくいってる。
早く社会に出られるようになれ、早く隣にたてと脅したてるくらい。
病室でいったいなんのことをいうのだろうと母さまと聞いてたのだが、本人は本気の本気。僕たちのことなんか気にしないくらいのマイペース。
母さまになんで結婚したのか聞きたいくらいだったが、それを聞いてしまうと自分の今の状況を聞かれるので恐ろしくて聞けない。
そう考えると、お父様の奥さんなんだという想像もできる。
「お前の母親にも今後のことお願いされたからな」
「君がいなくても僕は生きていける」
「お前はそうでも俺は違うからな。こないだ父親にもそういやあったな。数時間ぐらい面談みたいなことされたなー」
なんで僕のいない場所で話が進んでるのだろうか。非常に困る。絶対学校に戻ったら、冷やかされる。
「はぁ……めんどくさい」
「それは今更だな」
僕のタメ息はしばらくなくなりそうにないとこの時、確信してしまった。
風邪のなかで バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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