進撃しないお茶
バブみ道日丿宮組
お題:いわゆるお茶 制限時間:15分
進撃しないお茶
友だちに見つからないよういたずらをするのに最適だったのは、お茶。
色さえカバーできれば、あとは味のテイストの問題になる。いったんごくんとしたものを乙女が戻すわけもいかずそのまま飲み込むしかない。
狂気を凶器にするんじゃないって怒られたけど、私は懲りない。
とはいっても、この間罰を受けたばかりだからバレないようにしたい。
「……うーん」
その友だちがトイレにたった今。ドリンクに混ぜ物をする絶好の機会。
人間の味覚はある程度狂ってるので、いろんなものを混ぜると同じようなものを作れるの。
タバスコ入れまくったのはさすがにやばかったような気もするけど、友だちは頑丈。なんならデスソースをまるごと入れたってきっと平気。
そんなことを考えたら、タイムリミット。友だちがトイレから戻ってきた。
「何残念そうな顔してるのよ」
「元々こういう顔だよ」
失礼なことを言われた気がしたけど、こういう顔なのは事実。
「それでモテるんだからいいよな」
「私はモテたくないよ!」
なんで2日おきに告白されなきゃいけないんだよ。こっちの気持ちも考えてくれ。
「それはモテるやつのいいぶんさ」
「いいじゃん、そっちは女子にモテて」
頑丈なのはスポーツ万能な身体を持ってるから……だと私は推測する。
「あたしは可愛いほうがいいな。かっこいいなんて言葉が不適切」
「否定しないんだ」
まぁねと友だちはコップに入ったお茶を飲む。
「普通の味ね」
「そりゃお茶だからね」
「いや、懲りずになんかしたんじゃないかって思ったんだけど……」
思わず視線をそらす。
「しようと思ったんだけど、いいアイディアが浮かばなかった」
「そういうのが男子にモテる理由だろうな」
「どこが!?」
ただいたずらしてモテるなら、全世界の乙女が同じことするよ!?
「本人にはわからない点……だろうな」
「なにその自分はわかってますアピール」
笑う友だちは私の姿を凝視する。
その視線は男子が向けてくる視線に少し似てて、
「な、なんだよ!?」
ちょっと焦った。襲われそうな気すらした。
「いや……どうしたらあの母親と父親の間にこんな小さなこが育ったなってさ」
「そうだよ、いつまで経ってもちんちくりんのままだよ! 悪い!?」
「悪くはないけど、姿は確かに愛されるだろうね。小動物みたいで」
むき。
この時、ぜったいいたずらして乙女から落第させてやると私は決めたのだった。
進撃しないお茶 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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