牢屋の外と、中

バブみ道日丿宮組

お題:黄色い牢屋 制限時間:15分

牢屋の外と、中

 ……夢であればよかったのに。

 けれど、目の前の壁も嫌な臭いも一行に変わらない。

 記憶の繋がりが残ってない。

 ポイントごと区切られたものしか浮かんでこない。

 なにかあれば思い出すかもしれないけど、この牢屋には黄色い壁と小さな窓しかない。

 あとは牢屋の外に出るための鉄格子……くらいか。

「……はぁ」

 窓から外に出れる小さな身体があれば脱出する気も起こるのだろうけど、そんなおかしなことできるのは小人ぐらいだ。

 窓から見える外は電気の光。太陽の光じゃない。そのおかげで時間もわかりやしない。太陽というのもいつから見てないのか。

 牢屋といえば、囚人。

 囚人であればなにかうちに罪がある。

 そのはずだけど、検査という名目で牢屋の外に連れ出すことを考えれば人間として産まれたのかも怪しくなってくる。

 記憶が……記憶があやふやになってるのもそのせいだろう。

 検査で外に出たという記憶はあるのにいつ戻ってきたのかは定かじゃない。

 記憶が書き換えられた。そんな捉え方もできるかもしれない。

 ただ、生かされてるのは間違いない。

 ならば、外の世界にはなにが待ってるのか。ここよりも良い世界なのか。悪い世界になってるのか。答えを聞いたとして誰も答えてくれない。ここはそんな場所。わかってる。

 考えることをやめれば平気になるかな。

 だけど、意識を失くすことはできない。

 失くすことを許されないように、

「検査の時間だ」

 牢屋の前に白い塊が現れた。

 うちとは違う肉体。大きなもの。

「……はい」

 手錠をされ、うちは検査に向かう。

 今回も記憶は残らなかった。部屋のように色を塗られた。 

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牢屋の外と、中 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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