③みんなまとめて最強にします!
冒険者生活は順風満帆。
ギルドに馬鹿正直に卸してばかりではバカを見ると気がついた俺たちは、確かな目利きをもつ露天商と結託して卸し業を兼任していた。
ギルドは俺たちに仕事のノウハウと、依頼をくれる。
しかし目利きの腕が悪いのか、品質が高くても最低値の値段での査定額。
食ってくのもやっとだ。
だから採取系の依頼は塩漬けされてることが多かった。
冒険者の多くは野生の獣や魔石を宿すモンスターを討伐することを生業とするものが多い。
そちらの方が報酬が高く、肉や毛皮が臨時収入となるためだ。
腕っぷしの強さが冒険者としてのステータス。
グルストン王国はステータスの高さで優劣を決める。
俺たちだってそれなりに上げてるが、受付嬢は俺たちにはモンスター退治はまだ早いと採取依頼のみを持ってくる。
このまま一生薬草採取か?
それはちょっと困る。
ステータスを上げるには敵を倒す力とか欲しいもん。
だなんて思っていたからか、俺は新しいガチャを獲得してうた。
それが素材合成ガチャ。
ポーションの素材となる薬草と、新たに湖の水を根こそぎガチャにぶっ込んだのがきっかけで生まれたスキルである。
まるで俺の悩みを具現化したかのようなスキル。
都合が良すぎる。
が、実際問題それを売るのは多くの問題が付きまとう。
薫曰く、品質が高ければ高いほど価値は上がるが同時に商売敵から目の敵にされるというデメリットがあった。
じゃ、身内で消費するかーとレギュラーの水野にプレゼントしてみたところ、ものすごい食いつきをされた。
話を聞けばやはりというか、レギュラー同士でも成長に差があるらしく。周回遅れが目立つ水野は自分の戦闘スキルの少なさを呪ったそうだ。
手に入れた天性次第では成長のしやすさが大きく変動するのだとか。
なーに贅沢言ってんだ、と言いたい。
俺たちからしてみればレギュラーに入れただけで勝ち組だ。
泣き言いってんじゃねーよ。そう言って多めにポーションを渡した。
そして水野から託された言葉。
ガチャを回す場にオレも参加していいか?
そのセリフを翌日みんなに話した。
そうしたら女子の方からもステータス差で上下格差がつくのを恐れてるという声が散見されたそうだ。
俺たちのステータスアップは、レギュラー達から見ても羨ましいと思えるほどになったという証明だ。
ガチャの力というより、商売のことになった途端目の色を変えた委員長や薫のせいだけど。
まぁ、それはそれとして稼ごうという気持ちにさせてくれる。
相変わらず薬草採取の依頼しか寄越してこないギルドに辟易しつつ、新しい採取品もガチャに投入していくと、俺たちはそこでとんでもないお宝の原石を見出した。
あまり表に出回らない、秘薬。
万能薬。
それが、ただの近隣素材だけで出来上がってしまう奇跡。
委員長の【識別】でその価値を知ってさらに驚愕。
銀貨30枚相当。
それは俺たちが扱うにはあまりにも眩しく、そして喉から手が出るほどの価値である。
仮ライセンスを正式のライセンスにしたり、借金を帳消しにしてあまりある。
が、売れないことには絵に描いた餅。
ギルドに持ってけば二束三文で買い叩かれるのが目に見えている。そこで薫は粘り強い交渉で銀貨35枚を手に入れた。
借金の返済、武器の購入。
それを終えても銀貨を12枚残す。
薫が仕事をしてくれたからこその枚数。
その日、集まってくれたクラスメイトから賞賛を浴びたことは語るまでもない。
その日を境に俺の人生は180°変わったといっても過言ではない。
正直、すまんと思っている俺がいるくらいだ。
ステータス五桁は流石にやりすぎなんだよなぁ。
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