デート

バブみ道日丿宮組

お題:強い彼氏 制限時間:15分

デート

 待ち時間の1時間前には彼は到着してた。

「……」

 なんだか遅れてるみたいで飛び出すタイミングが掴めない。

 こんなことなら……2時間前に出発すれば良かった。

 でも、でも……2時間前に彼がいたらどうしよう?

 さ、さんじかんまえ!?

 腕時計で逆算すると、午前6時。

 どう考えても電車がない。

 そうなると……近くのホテルに止まってってそんなお金なんて持ってない。

「……うぐぐ」

 計画の数歩先行く彼にはやっぱり上回ることはできないか。

 覚悟をきめろ、私。

「なんで隠れてるの?」

「えっ? えっなんで後ろに?」

 振り返れば待ち合わせ場所に彼の姿はなく、後ろにいた。

「視線を感じてそこ見てみたらいたからさ、どうしたもんかって」

 彼の笑顔が全てを語ってた。

「そ、そう。ちょっと早すぎたから、どう、しよう、かなって、お、思って!?」

 びっくりしたせいで、舌が回らなかった。心臓がびっくりして飛び出すかと思った。実際飛び出す人なんていないだろう……けど。

「なるほどね。俺も若干早く来すぎてたからちょうど良かった」

「……ちなみに何時に?」

 彼はスマホを取り出すと、

「えっと始発に乗ってきたから6時過ぎかな?」

「え、えっ? そんな待たせたの……?」

 若干はやいってレベルじゃないじゃん!

「うーん、今日楽しみだったからそんなに待つのは嫌じゃなかったよ」

 ほらと彼は私の手荷物をいつものように持ってくれた。

 なんか……いつもされるがままだな、私。

「さて、映画館も水族館もまだ開いてないし、公園でも歩こうか」

「う、うん」

 差し出された彼の手の温もりはいつもと同じで安心。他の誰でもない私だけを包み込んでくれる手。色んな場所を示してくれる優しい彼のもの。

「あのさ、深海生物の展示で大丈夫?」

「大丈夫。見たことないほうが面白そうだし」

 変わったものが好きというのが彼と趣味があうところ。

「そっか。きっとびっくりすると思うよ」

 水族館が開くまで私たちは公園で学校の話とか、これからの話をした。

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デート バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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