第8話 2021年7月7日 夕方
「あー今日は、楽しかった」
俺たちはショッピングを楽しんだ。
ジャラッ
「にしししっ」
嬉しそうに自分の腕に付いているブレスレットを見せてくる織姫。
何かプレゼントしてあげたくて、一緒に雑貨屋さんで何と何を混ぜるかきめて作ったブレスレット。
店員さんが大げさな人で「世界に一つだけしかないブレスレット」と言っていたけれど、まぁ、組み合わせは基礎の範囲内だったと俺は考えて適当に流していたけれど、織姫は喜んでいた。
だから―――
ジャラッ
「にしししっ」
俺も織姫の真似をして、ブレスレットを織姫に見せつける。
こんなの俺の柄じゃない。
普通ならイタイ奴って引きつった笑いをされたり、皮肉を言われたり、気持ち悪いと言われるところだが、目の前のエンジェルは俺がやるともっと嬉しそうな顔をする。というか、地元に長い間、根を生やしている俺だったが、こんな美少女と歩いているところを同級生に見られなくて本当に良かった。そういう感じのノリの奴が地元に残っているのを俺は知っている。そしたら、織姫を不愉快な思いにさせてしまう。それだけは避けられて良かった。そこら辺はまぁ・・・カミナリの主が気を遣ってくれたんだろうか。そうだとすれば、感謝したい。
「あっ」
「どうしたの?彦星」
「んにゃ、なんでもない」
すっかり、織姫を楽しませることと、織姫と一緒に楽しむことばかり考えていたら、自分の誕生日だということを忘れていた。なんだろう、自分の日で自分が特別じゃなきゃ許せないくらいの気持ちで、この日が来ると片時も忘れることが無かったのに、今は自分よりも織姫のことしか考えていない。それが、なんだか気恥ずかしくも悪い気がしなかった。
ショッピングモールでは俺がどうしてもと、頼み込んだら試着まではオーケーしてくれた。
二人で選んで、まぁ、そんなに派手じゃないTシャツとかを選んだんだが・・・織姫の奴、その・・・女性の胸を守る・・・あれをしていなかった。って、スパッと言わないのが童貞臭い?とかいうなよ、ブッ、ブラジャーだよ。
見たのが俺だけで本当に良かった。
本当に良かった・・・眼福でした。
あぁ、その時もカミナリが落ちて停電したか。
でも、あれは事故だったせいか。俺は失神せずに済んだ?ようだった。
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