第3話 2021年7月7日未明

「って、あなたは相変わらずね。まったく。も―こんなに散らかして。ちゃんと働きなさいよねっ」


「おかんや」


「誰がおやんやっ!!・・・って、下手な関西弁喋らせないでくれる?」


 これは驚いた。

 この美少女と喋れる、この俺に。

 久々に人と目を3秒以上合わせているのも、家族以外と目を合わせながらも、どもることなく安心して喋っているのもいつぶりかわからない。


「家族なのか?もしかして・・・」


「それは・・・彦星次第よ・・・」


「まじっすか」


「まじっす」


 照れながらも冗談っぽく言ってくれる織姫。


(てか、俺光彦だけど・・・)


 今はそんな野暮ったいことはどうでもいい。

 こんなかわいい子と夫婦になれる可能性があるとか俺の人生史上最大のチャンスじゃないか。


「結婚しよう」


 ピカッゴロゴロゴロゴロゴロ!!!!!


 物凄い雷が家の前に落ちた。


「目がっ、目がああああっ!!!!」


 夜中だし、こんなかわいい子を見ていて、ギンギンに開いていた瞳孔がその眩しい光で、めっちゃ痛くなる。


「そういうこと」


「見えぬ、何も見えぬぞ」

 

 ムニッ


「ひゃんっ」


 分厚い衣に隠されつつも、確かにおはしまするは、二つの肉まん。

 

 ムニッ


「ひゃんっ」


 一度揉めば、一囀り申して、


 ムニムニッ


「ひゃんっ、ひゃんっ」


 二度揉めば、二囀り申す。それでは三・・・


 バチンッ


 父さん、痛いって感覚初めて知ったよ・・・僕。


「やめんかーいっ!!!!」


 織姫にビンタされた。やばい。小さくて柔らかい手にはたかれるとか、何かに目覚めそう。


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ねぇ、#毎回__・__#説明するの面倒くさいから止めて欲しいだけど、彦星がそんなんだから、私たち一年で一回しか会えないし、結婚もできないんだからね?もう、会えなくていいの?私と」


「やだ、絶対やだ・・・」


 俺は首をブンブン横に振る。


「じゃあ、ちゃんと行動で見せてよね」


「うん、わかった」


「じゃあ、なんで脱いでるの?」


「え、だって、男女で夜にやることって言ったら、一つしか・・・」


 俺は上半身を脱ぎだして、ピクピク胸筋を動かして見せた。


「・・・ばかっ」


(かわいいっ!!!)


 恥じらいながら、目線をそらし、袖で口元を隠す織姫。やーばいっ。可愛すぎ。


「据え膳喰わぬは武士の恥っ!!はじけろ、俺のパトスっ!!!」


「あんた、武士じゃなくて牛飼いでしょっ!!きゃっ」


 ピカッゴロゴロゴロッ

 

「あへっ」


 俺の家に雷が落ちて、点けた電気は消えて、俺も気を失った。


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