人間が脆弱になった未来にタイムスリップで現代人無双!

JOKER

第1話 強く生きること

 現代人げんだいじん脆弱ぜいじゃくだ。

 戦国時代の人たちを見てみろ。何kgもの鎧を身につけ、いくつもの山や谷を超え、重い武器を振り回して戦っていたんだ。


 それに比べ現代人ときたら、苦労せずとも食料が手に入り、座っているだけで目的地に着く。平均寿命が伸びた分、身体機能がかなり衰えてしまったんじゃないか?


 日本史の授業を受けながらこんなことを考えている俺はごく普通の高校3年生


「ツバサ」


 偉そうなことをほざいているが、 俺もその脆弱な現代人の1人だ。小学生のころ剣道をやっていたが、今はなにもしていない。


 というのも、小学生の時に両親を事故でなくし、いまは祖父母の家から高校に通っているからだ。


 早く家に帰り祖父の畑を手伝う。畑を耕すのは重労働だ。今どきなぜ耕運機を使わないのか。現代っ子の俺にはキツかったが祖父母のためと思い頑張った。


 しかし俺ももう卒業の年。まだやり残したことがある。


 恋。そう恋。恋である。


 祖父母の家に引っ越してきてから隣同士になった「アヤカ」小学生の時からなんだかんだ一緒にいる。


 誰にでも優しく文武両道、ルックスもドタイプときた。


善は急げ!行動力だけはある俺は、次の日には想いを伝えていた。


「ごめんなさい」


 なぜだ。いや、理由は何となく分かる。


 成績はそれほど良くはなく運動もやっていない、こんな弱そうな男、俺が女でも好きになんてならない。涙すら出なかった。


家に直帰し布団に潜り号泣した。


いや、さすがに泣く。家となりよ?あと1年どんな顔して学校行かなきゃいけないのさ!


これからの生活、終わったー。


『ツバサ、強く生きなさい。』


 優しく、暖かく、それでいて良く響くこの声。母だ。


 俺は母のことが大好きだった。周りの子たちからはマザコンと言われいじめられていたこともあったが、そんな奴らは気にしない。


 自分の母親を大切にできない奴が他の何かを大切にする資格はないと思っている。


 母は生前、俺に良く言っていた。


『強くならなくてもいい、強く生きなさい。』と。


 小さい時はよく理解できず、強くてかっこいい侍に憧れて剣道を始めた。それが母が言いたかったことでは無いのは成長してから分かった。


 が、かと言って正解を見つけた訳でもない。どうしたら母の言うように強く生きられるのか。


 俺はいつの間にか、ぐっすりと眠っていた。


 ブン―――――――


 眩しい光で目が覚めた。いやぁよく寝たなぁ。


 どうやら変な体勢で寝てしまったらしい。身体が思うように動か、


 な、、


 い、、、????


「んなぁぁぁぁあああ?!?!」


 俺は見たことも無い部屋で、ベットに全身を拘束されていた!!


「ガキンッ」


 訂正する。もう拘束はされていない。

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