『箱』
さくらぎ(仮名)
『箱』
……いいからさ、とりあえず一回開けてみようよ、その箱。ね?
ね。とりあえず、一回、開けるだけ。
だいじょぶだいじょぶ!別になんも無いから。
え?イヤそんなこと無いって!ほんとになんも無いから!いやほんと!だからさ、早く開けてみな?
いやだから……ほんとになんも無いって!危ないことなんか、なんにも、無いって。ね?ハハ。ハ。だから早く開けてみなよ!
あーほら、なんかさ、なんかいいモノが。いいモノが入ってるかも知れないじゃん?たとえばさ、箱とか!あ、箱は別に……いいモノじゃなかったか。ハハハ、そだね〜。
でもさ、いや、ほんとに、もしかしたら、ほんとにいいモノが入ってるかも知れないよ?なんかさぁホラ、ボクらの想像を絶するような、開けてみるまで絶対に分からないようなモノがさ!
あとはそうだな、ホラ、いざ開けてみたら全然大したこと無かったな〜、って、思うかも知れないじゃん!こんなんが何の役に立つんだよ!みたいなさ。生ゴミ同然のオブジェクトが入ってるかも知れないじゃん。
え?そりゃぁ〜、箱はまだ閉じてるし、中身が透けて視えるわけじゃないから。中になにが入ってるかなんて、誰にも分かんないわけよ。当てるなんて無理無理!てか最初から中身が透けて視えちゃってたら全ッ然面白く無いじゃん!
だからさ、ホラ、開けてみよ?
君が最初なんだよ?一番風呂でもなんでもそうじゃん!自分がなにかを最初に成し遂げることが出来るって、素敵じゃん?最高じゃん!ね?なんか得したな〜って気分になるでしょ。
だからさぁ、早く
…………さ、茶番はもういいでしょ。いい加減早く開けようよそれ。君が開けないなら、早くボクに代わってよ。どっちにしても、いずれ開けないといけないんだからさ。
もっかい言うよ?
君が開けるか、ボクに開けさせるか。
二者択一だよ。
さぁ、どっちにすんの?
『箱』 さくらぎ(仮名) @sakuragi_43
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます