第26話、風魔法

 依頼達成なのか確認のため、ギルマスのところに連れていかれた。


「古き龍に会ったというのは本当か?」


「ああ、少し前に近くまで送ってもらったぞ」


「それで、望みをかなえてもらえたのか?」


「ああ、魔石を少々と、魔法を使えるようにしてもらった。

まだ確認してないがな」


「そんなものが望みだと言ったのか」


「ああ、なんでも王にしろとか最強の力を望んだモノもいたらしいが、そんなものは要らねえよ」


「クククッ、欲のない男だな」


「だが、龍が言うには、そいつらは身を滅ぼしたらしいぞ」


「ああ、伝承でも確かにそう伝わっているな。

わかった、依頼は達成で処理させよう」


 屋敷に帰って確認したところ、魔力量は1万近くまで増加していた。

エリスの魔導銃も問題なく発射できる。

俺は自動小銃もどきの魔導銃を3丁と、自分用に拳銃タイプのもの2丁を作った。

魔法プログラムはPCから直接コピーできたので手間いらずだ。


 ほかにも、衝撃を吸収するプログラムがあったので、全員分の革鎧を買ってきて魔道具化しておいた。

カラータイマーみたいだが背に腹は変えられない。

それ以外には目新しいものは見つからなかったのだが、グラビティーロッドの魔法プログラムに改良版があった。

これは、使用者自身の重力を制御するもののようだった。

俺は添付されていた図面に基づき、ベルト型重力制御装置を完成させた。


 ベルト型重力制御装置には0から5までの目盛りがあり、5にすると自分にかかる重力をゼロにすることができる。

俺は外に出て1から順にジャンプして確認していった。

目盛り1では1m弱ジャンプできた。

目盛り2で3mほど。目盛り3で10m、目盛り4で30m、目盛り5で無限大だ。

とはいえ、空気の抵抗はあるので無重力のようにどこまでも飛び続けるわけにはいかない。

それに、高く飛び上がった状態で、急に目盛りを0にすれば落下して死ぬこともある。

故障でも同じだ。

俺は予備のコアを作ってカバンに入れておいた。

これは、収納を持たない彼女たちには危険な代物だった。



「お、おじさん、本当に飛んでる……」


「絶対に手を離すなよ。離したら落ちて死ぬぞ」


 俺はエリスやシルビア達と手をつなぎ空の散歩を楽しんでいる。

これに、安全用のプログラムを組めれば、彼女たちにも使わせるんだが……

俺には無理そうだった。

それに、風魔法を組み込めば空中でも方向転換できそうだよな。

もう一度、初球を読み返してみるか。


 だが、その必要はなかった。

ゼータがプログラムに関する知識を持っていたのだ。


「故障した場合の予備プログラムですね。

別にプログラムを組みましょう。これを起動すると、地上1mで制止するようにしておきます」


「すまん、助かる」


「それと、風魔法ですが、足の裏や手のひらから風魔法を発射するように腕輪タイプのものを作りましょう」


 こうして俺たちは空を飛べるようになった。

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