第4話 おいでませ夏休み

定期テストが終わり、案の定再提出となったレポートを教授の手をこれでもかと煩わせながらなんとか仕上げて…それでもまだ大量の授業の単位落として、何も大丈夫じゃない前期が終わって5日がすぎた。


もう一度、より簡潔に述べる。

大学生としては何一つ大丈夫ではないし問題じゃない部分を見つける方が難しいが、今、私には、夏休みが訪れている。


そこかしこから聞こえてくるのは生を駆け抜ける蝉の声。

燦々と空から降り注ぐのは眩く輝く太陽の光。

輝く青空の下、いつものように外に出た私はそれらを一身に浴びることになるだろう。そうして、少し特別な一日が始まったり始まらなかったりする…


というのは理想論。あくまでも空虚な妄想。


現実で目覚めた私の見回した先には…これでもかと散らかった部屋と雨戸すら開けてない部屋、そして『11時』だと時間を表示する時計(一瞬午後のだと誤認して二度寝に走りかけたが目を閉じる直前に正気に戻った)。


向かいの道から響き渡る蝉の声だけが無情にも部屋に漏れ聞こえてくる。

眩い日差しなんて感じられるわけが無い。ゴミ出したら部屋に直帰だ。万年面会謝絶。ご近所づきあいとか引越しだらけの学生街には要らんねん。

そして…いつも通りのゲーム三昧な一日を3回は繰り返したかな。何が特別な一日だ、そんなもん仮性とはいえ引きこもりにゃ来ねえよ。未来は掴み取る物、すなわち掴む手を伸ばさないものには訪れないのよ。


いやでも例年よりはこういう人間も増えたでしょ。だってコロナ禍。不必要な外出は自粛するし、ヒトカラとかも行ったら白い目で見られるだろうし、コラボカフェとかライブとか、オタク垂涎のイベントごとなんか数が明らかに減ってるよね?

そりゃインドアオタクは外出なくもなるよ。普段からそんな出てくわけでもないのにさ、外出る理由が減っちゃってるもん。


だから、まあ私ほどの人は少ないかもだけど…いわゆるリア充は激減してんじゃない?

多分一番楽しい時期って言われてる2年間を全力でコロナに叩き潰されたわたくしたちは…言うなれば第二のロストジェネレーション(各方面から怒られそう)。胸踊るような盛大な学園祭なんてなかったんや。ああもうやってらんねえ。

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