かわる

 川の土手を歩いている。辺りは暗く、手元には提灯ひとつしかない。ざり、ざりと砂利を踏む足音が、ひとつではなく二つあった。

 ――変わらねばならない。変わらねばならない。お前は変わらねばならぬのだ。

 果たして自分の心が話すのか、後ろの誰かが告げるのか、分かりもしない言葉だけただ静寂に低く響いている。

 変わらねばならない。変わらねばならない。皆がお前を嫌うのは、お前のその曲がった性根が原因だ。

 なおも声は続く。にやついたような嫌らしい声だった。歩を進める。明かりがちらつき、ざり、ざりと砂利を踏む音がする。

 変わらねばならない。変わらねばならない。お前は変わらねばならぬのだ。俺と変わらねばならぬのだ。

「何故」

 明かりが揺れる。

「何故俺が皆に嫌われるからと、お前に変わらねばならんのだ」

 振り返る。後ろをついてきていた影法師の顔をみる。自分そっくりのその男はにやりと笑って闇に溶ける。

「分かっているじゃないか」

 どこからか、あのにやついた声が聞こえたと思ったとき、川の向こうに朝焼けを見た。

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