第6話 揺れて揺れて

言葉も掻き消えるほど

いくつもの想いが溢れ

渦巻き 重なり 混じり合い

溶け出して風に流れていく


そんな想い はぐれてしまえば

楽なのに

楽なのに


想いの他に 頼る標を知らない

外を風がそよいでも

胸の内を逆風が逆撫でる


頼る標は この胸の内

残った この夜

あなたじゃないと

そっと告げたかった


サヨナラの言葉も無い夜に

あなたの肩が頼れない夜に

そよぐ風が言葉を消し去り

ただ窓を 揺らすだけで


揺れて 揺れて

ただ独り 言葉を求めていた

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