❺【人外存在】神属・ホムンクルス他

◆神属〈デウス〉・天上の眷族

 渦ノ柱頂上、天上階層に住む鬼属と同じ吸血生命体。ヒト属に「渦ノ柱を齎し、世界を創生した超高次存在」と誤認されている。作中世界の実質的な支配者で絶対の存在だが「とある目的」以外で地上世界に干渉することはほぼない。ごく稀に各国の支配層のみ接触する。

 元々は鬼属と同じ存在だったが自らの意思で更に術式強化を肉体に施し、残りの鬼属を地上世界に追放した。地上での鬼属の復活には特に脅威とは思っていない。

 渦ノ柱の地上世界への露出は神属の意図ではなかったが、結果的に世界が安定して人口増加に転じたため肯定的に捉えている。

 鬼属とほぼ同じ純白の肌を持つが髪も瞳も純白(瞳孔だけ黒い)で男女とも存在する。時おり各国の支配層や隠遁する魔ノ王を唆して争いを起こし、地上のパワーバランスを調整している。


*「とある目的」とはヒト属の胎児を密かに魔法で奪って食すこと。約一万年前に鬼属と争う原因となったグロテスクな食習慣。作中現在の世界人口約十五億に対して神属は数百人足らず、また彼らはエネルギー消費が少なく食事は半年に一度程度です。「大勢は変わらない」が彼らの主張であり、地上のヒト属を苗床程度にしか思っていません。


▪️神隠し

 地上世界全体で起こる「胎児が突然消失する」現象を指す言葉。各国の支配層は神属の所業と知っているが、絶対的に手が届く相手ではないため止む終えず受け入れている。

 地上世界の女性達には流産に近い感覚として捉えられているが、時おり狂う女性も現れる。


◆ホムンクルス〈ヒト型錬成生命体〉

 渦ノ柱第一階層に錬成式が記されていた人工知性体。高度な知性を持っており、シリシスの「魔法言語」を解明して一般利用可能な魔法言語セット「術式」を作る役割を担っている。実は超高次存在の端末だが作中世界の理りに縛られるため、その能力は限定的である。

 ヒト属より長寿だが肉体は弱く、通常の大気中では満足に呼吸できない。そのため生活には常に丁重な介助と酸素マスクが必要とされる。

 魔法言語解明のため各国ともホムンクルスを保有しているが、錬成が難しく総数は極めて少ない。

 知能の高さからいずれも気高く尊大、甘い物には弱い。鬼属と同じ純白の肌に銀の髪と浅灰の瞳を持つ子どものような容姿。性別は男女どちらでもない無性である。所属は王立魔法院。

 真の創造主が神属ではないとを知っているが、ヒト属が疑問を持たないので教える機会がない。


◆魔ノ王

 魔法使いや魔獣使いの生き残り。盗賊等の小規模な反社会組織を率いる、もしくは人里を離れて隠遁している。魔法兵器に対抗できなかったため、地上世界に対する影響力は小さくなっている。魔法強度は渦ノ柱の第三階層相当。

*現実世界で言うマッドサイエンティストのような扱いです。


◆魔獣

 魔法により変異した獣。鷹や蛇など鳥類・爬虫類も含む。多くがシリシス歴以前に魔法使いや魔獣使いの手により造られた生き残りである。強化・巨大化しており魔法兵器でなければ駆除できないため、それ以外の獣とは区別されている。

 同様に生み出されたヒト属とのキメラ(獣人)や神属が渦ノ柱保守に使役する翼竜は含まれない。


◆翼竜〈ウィングドレイク〉

 天上の眷族により生み出され、渦ノ柱を守護する体長約三十メートル超の巨大翼竜。エングラシアがシリシス発見に先んじながらも独占できなかった理由は、偏に翼竜の妨害に依るものである。

 渦ノ柱周辺で各勢力が戦闘を始めると妨害対象を選別する振る舞いを見せるため、シリシスへの接触機会を均等に与えようとする神属の意図が推測されている。

 ヒト属と同水準の高い知性を持ち、神属に揺るぎない忠誠を誓っている。最上位の防御魔法を纏っているため、通常の魔法兵器では歯が立たない。


◆人工鬼属

 魔法兵器の保有数がほぼ軍事力に直結するため、主にバロークで密かに研究が進んでいる造られた鬼属。ホムンクルス錬成式を基礎として生み出された存在であり、鬼属に匹敵する高速術式伝導を行えるが、極端に短い寿命など問題点も数多い。


◆魔法兵器ゴアブレイド・スパイドラ

 バロークが人工鬼属に合わせて開発した蜘蛛型魔法兵器。長く甲殻類に似た四本の脚と回転槍と一体化した長い腕を持つ蜘蛛のような輪郭を持つ。全高は伸脚時で二十メートルを超える。

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