友だちの作り方
バブみ道日丿宮組
お題:昼の人々 制限時間:15分
友だちの作り方
誰かを選ぶということは、誰かを選ばないということ。
かつて祖父がそんなことを言ってた。
親はそれを実行したのかどうかはわからないが、幼い頃に2人とも愛人を作って出ていった。
私を育ててくれたのは、ヤンキーのおじさんで、私は自然とその様子を見て覚えた。
だからこそなのか、そうなるべくしてなったというべきか、
「……あむ」
高校生にもなってもぼっち飯。
同じ中学校に通ってた生徒が受けなかったということもあるが、というか他県に行く生徒のほうが少ないだろう。
まぁ仲良かったこがいたのかと言われれば、いなかった。
つまり、最初からゼロ。
「……はぁ」
友だちを作るという選択肢をしなかった自分が一番いけないのかもしれない。おじさんは契りを結べるような相手だけと組めということを言ってた。中学の私は孤立してた。目をつけたら、コンクリートをドラム缶に入れられて海に沈められるとか噂されることもあった。
だからこそ、他県に行くしかなかった。心機一転というやつだ。
……誰かに声をかけてみるべきか?
談笑してる中、突然声をかけたら不自然か? 迷惑か?
迷ったらいけ。
それも祖父が言ってたことだ。
「ーーでさぁ。なにあんた?」
談笑してる1つのグループの側に移動した。
「ちょ、ちょっと怖いんですけど?」
真剣になると、鬼のような顔をすると聞いたがもしかしたらそんな顔になってるのか?
そう思って、口端を上げて、笑みを作ろうと努力した。
その結果、
「ごんですごせてるのか、おい」
とんでもない言葉が漏れた。
「ご、ごめんなさい! ごめんさい! だから、殺さないでください」
立ち上がった同級生たちはひたすら頭を下げた。
「い、いや……そ、その……」
頬をかきながら、続く言葉を探す。
「……一緒にご飯食べてほしい」
「はい?」
頭だけ起用に動かして、こちらを見上げる同級生はとまどいに似た色を持ってた。
「別にいいですけど……、わたしたちでいいんですか?」
「どういう意味?」
気になる言い回しだったので、つい言葉がでた。
「孤高で美人! お嬢様に手を出したら、親衛隊が黙ってない! ってのがあってね?」
親衛隊みたいなのがいるとは聞いてたが、まさ自分のだったとは……。
「それでも食べてもらえる?」
ちょっと照れた声が出ると、同級生からピンク色の声が響いた。
「ずっとわたしたち話してみたかったんです」
こうして、私は友だちを作ることに成功した。
選ぶことができたのだろうか。それはわからない。
友だちの作り方 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます