異世界で全力の恋をしたら英雄になっちゃった件(仮)

Rabbi

第一章 ハートロック王国編

プロローグ 「恋石 太郎」

晴天─


晴れ渡る空の下、恋石こいし 太郎たろうは絶好の告白日和に意気込み、そして軽い緊張に包まれていた。


時間は午後4時


意中の相手、田中真希を呼び出したのは彼らの通う高校の屋上だ。


自慢じゃないが太郎は歴戦の勇士と言えなくもない。


しかし人間不思議なもので緊張するものは何度やっても緊張するのである。


─ガチャ


屋上の扉が開き息を飲む


「よっすーお待たせ」


田中真希が現れた。


「よっ」


ギリギリ裏返らない声で軽く挨拶する。


─危なかった


「話ってなにー?こんなとこ呼び出して~まさか~?」


彼女が体を傾けながらニヤニヤしている。


あどけない仕草がとても可愛い。


─何だかいけそうな気がする。


彼女とはクラスでも気さくに話せてたわいもない会話で笑い合える仲だ。


時折肩を叩かれる事から『あれ?こいつ俺の事好きなんじゃね?』と思う事が良くあった。


よし!いける!


「田中さん!好きです!付き合って下さい!!!」


「ごめんなさい!」


ん?ごめんなさい?


「気持ちは嬉しいんだけど恋石くんの事異性とは見れないっていうか正直タイプじゃないっていうか付き合うのは無理です、ごめんなさい」


ペコリと大きくお辞儀すると彼女は去っていった。



「え~~~」



一人屋上に取り残された太郎は大きく息を吸って力の限り叫んだ



「「「女子、こえぇえええ!!!」」」



幼稚園の頃から好きな子にフラれ続ける事30人目


達成


太郎は沈みゆく夕陽と共に一筋の涙を流した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る