置き去り者の勇者

十番のいるか

プロローグ

つまらない…


いつも通りの生活

いつも通りの学校

同じ動作をくり返し

そこそこの結果しか求めていない



別にとっておき勉強ができる訳でもないし、目立つことをしたいという訳でもないけれど


自分の存在感の無さに困っている


全く気が付かれないということでは無いが、なぜか普通に歩いても足音さえしていないらしい

他の人から見れば誰もいないところからにょきっと人が出てくるのだろう


それは、まぁ、怖いかもしれない


おかげで誰からも嫌われることも、好かれることも無く……

いや、存在感の薄さを活かして色んな人驚かしてたけど…

まあ嫌われていないと信じておこうかな

とにかく、俺、平川健人は平凡な学園生活を送っていた



でも

そんな平凡な生活には飽きた

驚かそうとしても皆慣れてしまったし、

別に何が得意とかでもなく、運動も平均程度にしか動けない

だから、アニメに例えると、主人公のクラスメイトで顔を描いて貰えないモブAってところだ


「はぁ〜。 異世界にでも転生したい気分だよ…」

「いやいや、そんなファンタジーなこと現実にあるわけないだろ」

独り言を呟いてみると、よく話しかけてくる鈴木がつっこんだ


「人生何があるか分からないだろ?

それに全人生の運をかけてでも行きたいとは思わないのかよ!」

「そんなに熱くなんなって

異世界とかどうせ危険ばっかりだろ」

確かにそうかもしれない…

でも、今みたいな平凡な生活をするよりももっとスリルある人生の方が楽しそうとも思ってしまう


「いいよなぁ鈴木みたいになんでもできて、これぞ優等生ってやつは。

1回鈴木と入れ替わってる!?やってみたいわ」

「とりあえず平川はその影の薄さをどうにかしてからだな」


『グラッ』

「地震だ!大きいぞ!」

緊急地震速報を鳴り響かせながら担任が走ってきた


「机の下に隠れろ!」

そんなこと言ったってもう高校生だそ

机の下に収まりきるかってんだ


「なんか光ってね?」

さっきまで楽しそうに話していた鈴木は顔が真っ青になりながら何かに気がついたようだった


その瞬間

目の前が真っ白になった


最後に見たのはクラスメイトが粒子化している真っ白な世界だった

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