揺れる街

ねこのほっぺ

「ある日、夕陽が差す教室で」

「ねぇねぇ、知ってる? 『セキチョウサマ』の話」

「知ってるよ。三度目までなら聞き入れてくれるけど、四度目は絶対に許さないって神様だろ」

「へっへー。その三度目まで、どんな願いを聞いてくれるかはご存知かい?」

「なんだっけ……『嫌な事や悪い思い出』だっけ?」

「せーかい!」

「胡散臭い」

「都市伝説なんてそんなもんでしょ?」

「大抵こういうのって、出処も不明なら証言者も不明、煙みたいな話ばっかで証明できる要素ってどこにも無いんだよなぁ」

「都市伝説なんてそんなもんでしょ。キミは何か知らない? それともカタブツにはこういうお話は早かったかなー?」

「ならお前、『夢屋』って知ってるか?」

「ほぇ?」

「なんでも生き方に迷った奴の前に現れて、生きる理由を見失ったら、その人を食っちまう店なんだと」

「それお店なの?」

「店らしい。逆に『夢屋』から出てきたって奴は、今度はめっちゃ生き生きとしてるらしいんだが」

「証明は?」

「ないな」

「そういや『セキチョウサマ』も実際に会ったって人は聞かないねぇ」

「都市伝説なんてそんなもんだろ」

「んーむ。なら儀式やってみない?」

「は?」

「『こっくりさん』みたいにさ。『セキチョウサマ』に会う為にはちょっとした儀式が必要なんだって」

「知ってるけど。一人でやれるだろアレ」

「会うなら複数人で?」

「そんなルール聞いた事もないぞ」

「今作った」

「さよか」

「まぁ、折角だから皆でやりたいじゃん? こういうワルガキみたいな事はさ」

「被害者増やしたいだけじゃないのかお前」

「それ以上に証言者も増やしたいじゃん」

「……んーまぁ、理由としては正当か?」

「あとひとしきり騒ぎたいのもある」

「やっぱりお前が遊びたいだけじゃん」

「バレた?」

「バレてる」


「この話を盗み聞いてるそこの貴方も?」

「バレてるよ。そんな所で黙ってないでこっち来いよ。こいつは言い出したら止まらんぞ」


「「どうしたの?」」






「「「はじめないの?」」」

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