寝ている女の子の横で昼寝をしたら、横にいたのは未来のお嫁さんだった

@zelikun

第1話 昼休みの出会い

〜現実〜


異世界に転生したら、魔王と戦ったり、学園で無双したり、ダンジョンで冒険できる。

そして出会った仲間たちと数々の物語をつくっていける。


とそう思っていた。


なぜ俺は、異世界に転生することができたのに、普通に学校に通っているのだろう。


理由は単純。


(俺の転生した世界は、ありえねぇくらい平和なんだよなぁ〜)


戦争なんて起きないし、凶悪なモンスターや魔王もいない。ダンジョンに入るには資格がいる。これでどう物語をつくればいいと言うのか。


「眠い」


この学校の昼休みは2時間とかなり長いため、いつも昼寝をする時間として使っている。

(友達と一緒にいれば良いじゃないか)

と言う人もいるかもしれないが決して友達がいない訳ではない。

もう一度言うが友達がいない訳ではない(汗)


「今日はこの辺で……」


と言いかけたときだった。

そこには、ベンチで横になっている女の子がいた。ここは学校の敷地内なのに、パジャマを着てぐっすりと寝ていた。顔立ちは整っていて、 真珠のように白い肌。髪はベンチの後ろ側に咲いている白いカーネーションのような綺麗な白髪だった。

こんなに可愛い子が目の前で無防備に眠っているのだ油断したら、つい手を出しそうになる。


(どうしようかな?)

①抱きしめる ②立ち去る ③一緒に寝る

①は社会的にアウトだ。

②を選ぶのが1番いいのだろう。

だけど今から別の場所に行くのは面倒だ。


それに眠い。


俺は③を選ぶことにした。

③もいろいろと良くないと思うが、このままこの子が一人で寝ているよりはいいだろう。

そして、俺はベンチの左半分に寝転んだ。


(こんな子がメインヒロインだったら…)


らしくもなくそんなことを考えてしまった。

理性を保つため早く眠ることにしよう。

眠るのにそれほど時間は掛からなかった。


~夢〜

懐かしい夢だった。

それは昔読んだライトノベルの物語だった気がする。

主人公が定められた運命を変えるため、何度もタイムリープをして望んだ未来を手に入れる物語。

最後は確か…


〜現実〜

目が覚めるとそろそろ昼休みが終わる時間だった。横を見ると寝ていた女の子はいなかった。

その代わりに頭の下に柔らかな感触があった。

このベンチは木製なので柔らかいはずがない。

どうやら寝ている間に誰かが膝枕をしてくれたらしい。

(ん、誰か?)


「おや、目が覚めたようですね」


とそんな声が聞こえた。

顔を上げるとさっきの女の子がいた。

どうやら、彼女が膝枕していてくれたらしい。

起きたので「おはよう」というべきか、膝枕をしてくれたことに「ありがとう」と言うべきか悩んだが、そんなことどうでもよかった。


「君の名前は?」


気がつけばそんな言葉が出ていた。

彼女は困惑していたが、すぐに答えてくれた。


「わたくしは 愛実 東雲愛実ですわ。」


これがお嫁さんとの初めての会話だった。











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