勧誘

@kakou_otumami

第1話

「はぁ、ベンチャー企業社長にアドバイスするイベントだめだめだったなー。俺才能ないのかな……。いや、俺はまだまだやれる!とりあえず今日は早く帰って寝よう!!」

「シャチョさん!シャチョさん!!」

(そういやここ夜11時の銀座だったか。客引きくらいいるよな。無視無視)

「シャチョさん!シャチョさん!!返事いらないカ?無視するカ??」

(最近多いよなー、外国人客引き。やっぱ日本人より率いいのかな?)

「シャチョさん!シャチョさん!!ワタシ道迷ってる。困ってるヨ!」

(いやいや、無視だ無視。)

「シャチョさん!シャチョさん!!おいしい酒あるヨ。おいしい女もあるヨ!!」

「いや、道に迷ってるんじゃないんかい!」

「ア、ワタシ道迷ってる。おいしい酒はご褒美ネ!」

「思わず反応してしまった。仕方ない。で、どこ行きたいの?」

「ここネ!」



ካባሬት: - ቀዳዳዎን ድብዎን መቀንጠጥ ይችላሉ!



「読めるか!というか、何の言語だこれ」

「ア、間違えたネ。本当はこっちネ。ちなみにこれアムハラ語ヨ」

「知らねえ。まぁいいや、えっとなになに……」



キャバクラ:あなたの穴熊こじ開けます!



「キャバクラじゃねえか!やっぱり客引きだろお前」

「チ、ちがうヨ。道迷ってるネ。ここ行くだけネ」

「……そうか。じゃあ行き方教えるぞ。そこの信号を右に曲がって、2つ目の角を左、3つ目の建物が目的地だ。じゃあな」

「チョット待つネ!日本語難しいヨ。一緒に連れていくネ」

「い・か・な・い!!」

「困ってる人見捨てる、シャチョさん悪魔ヨ!でも背小さいから小悪魔ネ!!」

「小悪魔はそういう意味じゃねえよ!悪魔でもない!!」

「『小』は小さい意味だから合ってるヨ。まさかシャチョさん自分小悪魔系男子と思ってる?自信過剰ネ!」

「……」

「返事いらないカ?ワタシの勝ちネ。お店行くヨ!」

「だからい・か・な・い!!」

「オ、着いたヨ。さぁ入るネ!」

「え、店はあっちだろ?」

「フッフッフ。ワタシ客引きのプロ。隙ついて系列店に連れて行く得意ネ」

「まじか……。って引っ張るな!そもそも俺はインドア派のプロだ!こんな店で楽しめるわけないだろ!!」

「シャチョさんプロすごいネ!ここはそんなシャチョさんも楽しいお店ヨ?看板見るネ!」



ካባሬት: - ፈጣን ታህ ሚሊኒየም-ልብዎን ይፍቱ-



「だからわかるか!アムハラ語はもういいわ!!」

「ア、日本語はこっちネ」



キャバクラ:瞬間解凍ミレニアム~あなたの心を解き放つ~



「日本語でも意味わからんわ!」

「わからないなら入って確認するヨ、シャチョさん!」

「しつこいな。い・か・な・い!!」

「シャチョさん頑固ネ。わかったヨ。でも案内料貰うヨ」

「金取るのかよ!とんだぼったくりだな!!俺は払わないぞ。さっさと帰らせ……って」

「ここに来た、シャチョさん負けヨ。お金払わないとこの人達にシャチョさん返事いらなくさせるヨ」

「……ッ。いくらだ?」

「これ請求書ヨ」



ደረሰኝ

የአልሀራ ክሶች

አንድ መቶ ሚሊዮን የን



「アムハラ語はわからないって!!」

「2度あることは3度あるネ。じゃあこっち見るネ」

「3度目の正直っていう言葉もあるけどな。えっとどれどれ」



請求書

アルハラ代

一億円



「って、むちゃくちゃすぎるわ!!」

「アムハラ語で書かれたアルハラ代の請求書ヨ?面白い?」

「しょーもな!なんも面白くないわ!もうええわ!」

「ありがとうござシタ!」

「いや、終われるか!漫才じゃあるまいし」

「ヘ、シャチョさんこれ漫才よ?」

「え……?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

勧誘 @kakou_otumami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ