4-7. パパの置き土産
レオが落ち着くとパパは淡々と説明を始めた。パパはレヴィアの部下としてこの星の副管理人として働いていたが、宿屋の娘と恋に落ち、結婚してレオが生まれた。しかし、
「えっ!? 死んじゃった……の?」
レオが不思議そうに聞く。
「そう、だからこのパパは本物のパパじゃない。パパが残した残留思念なんだ。レオが来た時のために準備しておいた思念体だよ」
パパはそう言って寂しそうに微笑んだ。
「残留思念……。でも、パパはパパだよね?」
不安そうに聞くレオ。
「そうだね、パパの一部だと考えてみて」
パパは優しく笑い、レオも微笑んだ。
「そうだ、今、僕ピンチなんだよ」
レオが眉をひそめて言う。
「分かってる。今からイマジナリーをレオに教えよう」
「イマジナリー?」
「レヴィア様みたいな不思議な力のことだよ」
「えっ!? レヴィア様みたいになれる?」
「うん、パパの息子ならレヴィア様よりうまくなれると思うぞ」
「やったぁ!」
レオは両手を上げて喜んだ。
「ここに来れているなら自分の心の扱い方はもうわかっているはず、次はデータのアクセス方法だ」
「データ?」
「この世界は情報でできている。物は全てデータなんだ。リンゴでも人体でもみんなデータとして管理されている。だから、データを呼び出せば……」
そう言ってパパは手のひらの上にリンゴをポンッと出した。
「うわっ! すごい!」
「レオもやってごらん」
「えーと、リンゴ、リンゴ……」
「あ、そうじゃなくて、まず、システムに意識を繋げるんだ」
「システム?」
「深呼吸すると、意識の底の方に硬い物があるはずなんだ。それに意識を集中して、そこにリンゴのイメージを送るんだ」
「やってみるね!」
ス――――、フゥ――――。
レオは目をつぶり、深呼吸を何度も繰り返し、意識の更なる奥底へ降りていく……。
すると、確かに何か硬い物がある。
レオはリンゴを思い浮かべ、そのイメージを硬い物に送った……。
手のひらの上にズシッとした重さが伝わる。
目を開けるとそれは真っ赤で美味しそうなリンゴだった。
「うわぁ! できた!」
「上手いぞ! さすがパパの子だ!」
そう言ってパパはレオの頭を優しくなで、レオはうれしそうにパパを見た。
◇
しばらくパパの特訓が続き、一通りイマジナリーの伝授が終わると、パパは優しい顔で言った。
「これで基本は全て終わりだ、レオは優秀だな」
「ありがとう!」
レオは満面の笑みで答えた。
「お前はパパの自慢の息子だ。ありがとう……」
パパはそう言ってレオをギュッと抱きしめた。
「ふふふ、パパ、大好き……」
レオはパパの胸の中で幸せそうにそう言った。
すると、パパの力が徐々に弱くなっていく。
「えっ!?」
驚いてパパを見ると、パパの身体はどんどん薄くなって透け始めていた。
「ど、どうしたの!? パパ!」
レオが叫ぶと、
「時間切れだ。ありがとう……。元気にやるんだぞ……」
パパはそう言って寂しそうにどんどん薄くなっていった。
「嫌だよぉ! パパ! いかないで! もっといろんな話聞かせてよぉ!」
泣き叫ぶレオ。
「さようなら……」
最後にかすかな声でそう言うと、パパは消えていった。
「うわぁぁぁ! パパ――――!」
レオの絶叫が静かな異空間に響き渡った。
崩れ落ちるレオ……。
「みんなひどいよぉ! なんでおいてくんだよぉ――――! わぁぁぁん!」
彼の心を温かくする存在はことごとく去っていく。それも、うまくやり、成功しているのに去っていく。それはまだ幼いレオには耐え難い心の痛みだった。
「ぐわぁぁぁ――――!」
レオの
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